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2014年３月15日，先週末土曜のお昼頃，郷里にいる長兄から携帯着信．滅多にかかってくることはないのと声のトーンで内容はすぐ予想がついた．

とにかく実家へ，嫁に支度をしてもらい，自分も喪服を詰め込んで車を出す．危篤とかではなく既に息を引き取っていることもあり，飛ばさず慎重に東名，新東名，名神と走った．途中は海老名SAと養老SAで休憩，彦根インターを降りたのは夜21時過ぎ．ちょうど一ヶ月前に来たばかりだったのだけど．．．

実家に着くと長兄夫婦，姉の家族がいる中，冷たくなった母と対面．母はもうここ数年寝たきりだった．認知症もかなり進み，言葉を発することすらできず，食事もヘルパーさんが口の中に食べ物を詰めこんではむせながらも何とか飲み込んでもらうという状態だった．そんなつらい状態もこれで終わり．ここまでよく頑張ってくれた，これで14年前に先に行った父のもとへ行ける，などなど様々な思いが去来する．

その夜は妻には近くのホテルに泊まってもらい，自分と長兄が夜通し母の傍につくことになった．歌が好きだった母なので，長兄の持ち込んだミニアコギで弾き語りなどしつつ夜を過ごした．母の好きな曲は弾けないのだけど，その辺は勘弁してもらうとして．

しかし，土曜の夜は寒く，また母のドライアイスから発せられる冷気でほとんど眠ることができないまま日曜日を迎える．

日曜昼，葬儀社から人がやってきて納棺の儀式．とにかく手先の器用だった母，実家にたくさん残っていた母の作った折り紙細工を棺に一緒に納める．

日曜午後，葬儀場に移動．次兄夫婦も合流して通夜の儀式．翌日東京へ戻ることから疲れすぎないようにと，夜は自分も葬儀場近くのホテルで休み，母の付き添いは長兄と母の弟に任せる．

おかげでゆっくり休むことができ，月曜の本葬となる．

本葬には，父と母に極めて縁が深い京都のあるお寺の住職（故人）のご子息（現住職）が駆けつけてくれていた．これで先代の住職夫婦と父と母の４人があの世で再会して，さぞかし昔話に花を咲かせられることだろう，なんて父母の思いを知ってるつもりだけに想像するだけで目が熱くなってしまう．

その後焼き場で骨となった母を見て，何とも丈夫な骨だったことに改めて驚かされる．脳以外は極めて健康だったのにと考えると，認知症含む脳疾患の恐ろしさを実感．

葬儀場に戻ってそのまま初七日法要，普段着に着替えて東京へと向かう．鈴鹿山脈を国道で三重に突き抜け，四日市から伊勢湾岸道，東名，新東名，東名と走り，おおよそ６時間をかけて自宅に帰着．

享年81歳，現代ではまだまだ若いし，おそらく最初に病的な物忘れの症状が出るようになったのは退職して間もない60歳頃，つまり20年ほど，特に最後の十数年は本当に思うようにいかない人生だったのだろう．自分はといえば，親には迷惑心配かけっぱなしの親不孝者．全くろくな親孝行もできないうちに両親ともなくしてしまった．．．

昨年夏に仕事の都合で帰省できず，ずっと気になっていたため，時間を作って帰省したのが先月のこと．聞けば同じく東京に住む次兄は今月頭にふらっと母に会いに行ったらしい．今思えば母が遠くに住む子供を呼び寄せて最後の別れをしたのだなあと(-_-)

合掌