黄砂の雨にうたれて

　　カレラ４を購入し、早いもので3年目に入り今年の秋には最初の車検が来る。走行距離も6万5千キロを超えた。日常の使い勝手は抜群のクルマで、毎日乗っていると国産車のように気兼ねなく使える。そうなってくると気持ちは楽だ。


　しかし、昨日もそうだったが変に気を遣い始めるとよからぬことが起きる。一応、駐車場に停める時は割と隣とのスペースが保てる広めの駐車場を選ぶ。駅前にある駐車場の３階に注意深くクルマを停めて、歩き出そうとしてふと振り返ったら、隣のクルマが斜めに停めてある。しかもサイドの後部ドアが凹んでいる。運転のヘタな持ち主のクルマであることが窺える。
　新幹線の時間が迫っており、入れ直す時間はない。頭の中で自分のクルマに擦って出ていく隣のクルマの姿が浮かんだが、なんとかそれを振り払いつつホームに向かった。


　戻ってから見てみると、隣の場所にはすでにあのクルマはなく、代わりにワゴン車がきちんと正確に停められていた。自分のクルマにも擦り傷はない。ひと安心もつかの間、カレラ４の前に茶色のガラス片のようなものが散らばっていた。そういえば駐車する時、ブチブチと何かを踏んだ音がした。氷かなんかと思っていたがこれだったのだ。破片の中には鋭利なエッジを持つものもあった。もしかしてタイヤに突き刺さっていないか心配になった。そうだったらパンクの危険性もある。


　　翌朝、出発前に空気が抜けていないか確認し、タイヤの表面を点検したが、カレラというのは非常にタイヤの表面が外から見えにくい。リアなんか、女の子のスカートを下から覗く様にして（小学校時に限る行為）見ないとわからない。視認した範囲では傷はない。そんなこんなで高速道路にあがり快調に走る。雨がほど良く路面を濡らし、冬の間こびりついた融雪剤の洗浄にもなると喜んで水しぶきをあげながら飛ばした。
　しかし、八戸道からみちのく有料道路に入ったとたん、空が薄茶がかってきた。黄砂だ！と思ったらすでにクルマは降雨に混じった泥で汚くなり始めていた。


　このように、日常的にクルマを使用するということは、次から次とクルマに良くないことが起きる。あまり神経質になると乗れなくなる。幸いポルシェはそのような使用状況には充分耐えれるので、問題は使う方で、ある程度鈍感になって乗らないとだめだ。
　映画『2001年　宇宙の旅』のボーマン船長のように寿命をあっという間に縮めるサーキット走行だって、割り切らないととても走れないだろう。


　　クルマの寿命というのは犬の年齢に似ている。1万キロを犬の1歳としてみるのである。元気に走りまわり、やがてヨレヨレになる。老犬用の餌は7歳以上らしい。クルマも7万キロを超えるとそろそろみたいな感じを持つだろう。ただ犬は寿命を終えると天に昇るが、クルマはメンテナンス次第で寿命をのばせる。

　
　　　今年はいろいろ手直しして、少し若返りをさせてみようかと思っている。