堅雪かんこのブログ一覧

　よく考えてみると、なぜ私たちはこれほど車の形に魅了されるのか不思議だ。すでに幼少期より男の子は車に興味を持つようだ。
　特にポルシェは子ども受けする。先日も高速道路のサービスエリアに停めていたら小学生がわざわざ近寄って見ていった。

　世の中の車はすべてデザイナーの手によって生み出されるわけだが、そのデザイナー自身も、そのデザインの源泉がどこからくるものかはわかっていないだろう。

　カート・ヴォネガット・ジュニアの小説「タイタンの妖女」の出だしで、ある資産家が愛犬と宇宙旅行に出た途中で時間等曲率漏斗という時空の歪んだ空間に入ってしまい、その体が「波動現象として存在している―その基点を太陽内部に、そしてその終点をペテルギウス星に持つ歪んだらせんの内部で、脈動を続けているらしいのである」と散り散りになってしまった。それでも生きているというところがおかしいのだけど、そしてそのらせんと地球の軌道が交差する時のみ、その資産家と犬は「実体化現象」と称して実際の肉体を持つことができるのだという。
　このアイデアには唸ってしまった。（ウ～と実際声を出したわけではないが）

　つまり私達の存在は地球も含めて、すべて宇宙の塵からできている。ただの塵のままでなく、それが寄り集まってなんらかの形となる。
　ではそれが集まって実体化する時、そこにどういった力が働いているのか！？これが大いなる謎なのだ。家の中にも街にも様々な形としてのデザインが氾濫している。そこに私達は自分の美意識をもって優劣を判断できる。美醜の区別には過敏に反応する。

　　ヌードグラビアなら生物学的な理由がつけられるが、美しい車を嬉々として眺める私達の心の奥にある本当の理由はなんなのか、興味のつきないところである。