約2週間に亘り、ダラダラと書き続けてきたトヨタ現行車種の試乗記も、やっと最後の4車種目になりました。
本当は4車種全てで、1記事にするつもりでしたが、書いているうちに書き残しておきたいことが次から次に出てきてしまい、、、
乱文にお付き合い頂き、いいね!やコメントを頂いた皆様、ありがとうございます。
さて、最後の車はトヨタとダイハツが共同開発したRAIZEです。
より正確に言うと、RAIZEの製造責任はダイハツで、トヨタは企画・開発に携わっています。
このようなTOYOTA×ダイハツ体制によって販売された車種は以前にもありました。
2004年にはTOYOTA「パッソ」(後にBb)、ダイハツ「ブーン」。

モデルチェンジも。
2006年にはTOYOTA「ラッシュ」、ダイハツ「ビーゴ」。
2016年にはTOYOTA「ルーミ」、「タンク」、ダイハツ「トール」。
今回のTOYOTA「RAIZE」も、ダイハツから「ロッキー」と言う名前で販売されます。
ダイハツというとどうしても軽自動車のイメージが強く、何となく敬遠していたのですが、今回トヨタの担当者さんに勧められるがままに試乗し、その完成度に驚きました。
180万円〜という車体価格も含めて衝撃的で、セカンドカー計画のTOYOTA第一候補に上がりました。
◯エクステリア
試乗車のカラーはメタリックの空色でした。
ターコイズブルーマイカメタリックというカラー名らしく、ロッキーには設定されないRAIZE専用色とのことです。
SUVならではのアクティブ感のある色で、塗装のラメ粒も細かく綺麗でした。
自分で買うとなると、中々躊躇してしまう目立つ色ですが、販売台数が多い車だからこそ定番色(白黒銀)を避けた選択をしてみても面白いかもしれません。
エクステリアに関して最も驚いたのは、RAIZEの車体サイズです。
何と、全長3,995mm全幅1,695mで今時珍しい5ナンバー。
フロントから見るとRAV4の弟分とも言えるような、SUVらしい力強さを感じさせるデザインとなっており、実際よりも余程大きく見えます。
ドアパネルにキャラクターラインのプレスが無いことで、メルセデスのGクラスやスズキジムニーのようなクロカン寄りのSUV感が出ています。
今回試乗したのは最上級グレードのZでしたから、17インチのアルミを履いており、足元もおしゃれです。
リアのデザインはこんな感じ。
こちらも、リアフェンダーに膨らみがあり実際のサイズよりも大きく感じられる力強いデザインです。
この車両はツートンカラーになっていて、ルーフがブラックアウトされていることも、デザインによる視覚的低重心化に一役買ってます。
凝った作りはないですが、全体的にSUV然と纏ったいいデザインだと思いました。
プレスラインがシンプルなので、後述の外装オプションを追加する事で、個性を出しながら遊べそうです。
◯インテリア
(インテリアは写真を撮り忘れてしまったので、拾い画像中心になります。。)
まず、乗り込む前にドアを開けて、その軽さに驚きました。
この点に関しては、正直なところ悪い意味でダイハツ感出ちゃってました。
軽自動車っぽいです。
ドアの開閉音も、バシッとか、バシャッとか言った感じで安っぽさは否めません。
まぁ、価格が180万円〜と下手な軽自動車よりも安いので文句は言えませんが。
側方や後方からの衝突に対する安全性が少し心配になってしまいます。
スピードを出す車じゃないですが、相手が速度超過で突っ込んできた場合は避けられないですからね。。
と、批判から始まってしまったインテリア編ですが、
乗り込んでしまうと中々goodでした。
いい意味で遊び感に溢れてます。
高級感を出そうとして、逆に下品にになったり、
的外れな加飾が目立ったりするインテリアが多い中、
厳しいコスト制約下で車のキャラクターを活かした良いインテリアデザインだと思います。
例えば、シート。
もちろん化繊ファブリックではあるのですが、
パイピングにオレンジが用いられていて、安物感はありません。
表皮にも、ハニカムのデザインが施されており、
立体感もあります。
また、センターコンソールにある小物入れ。
何を入れるのかわからないサイズで、実用性は謎ですが、こちらにもオレンジの差し色が入っており遊び心があります。
インテリア全体に差し色のオレンジと、ハニカムデザインで共通感を持たせていて、高級・上質ではないものの、拘り・おしゃれを感じました。
次に驚いたのが、後席の実用性です。
先に試乗したヤリス、C H-Rは、身長178cmの私がドライビングポジションを合わせると、運転席後のスペースは相当に狭小になってしまいました。
同じ感覚でドラポジを合わせて、RAIZEの後席に着座したところ、膝から前席背もたれまでに拳一つ分以上の余裕がありました。
これは、1前席の背もたれが薄いこと、2後席が車体後方に寄っていることからもたらされるスペースですね。
軽自動車などで室内スペース確保のために用いられる方法ですが、往々にして1前席の座り心地、2荷室スペースをスポイルしてしまうものです。
ただ、このRAIZEでは、そのどちらも確保されており、非常に好印象でした。
最後にトランクスペース。
トランクを開けると、それほど大きいスペースがあるわけではないのですが、床下収納が望外に広大でした。
誰しもトランクに積みっぱなしになる荷物があると思いますが、RAIZEであればその全てを床下に放り込めそうです。
ドライブシューズを放り込んでおけば、たとえサンダルを履いて出かけても、ドライブ中は履き替えることもできますしね。
後席の居住性にしても、トランクの容量にしても、実用性が非常に高いと感じました。
地味な点ですが、インテリアランプがLEDだったのも嬉しかったです。
◯走り
RAV4チックなSUV然としたエクステリアも、遊び心と実用性に溢れたインテリアも、好印象だったRAIZE。
走りに関しても、予想以上の出来の良さでした。
先述の通り、1.0Lエンジンですが、低回転から効くターボと、車重の軽さが幸いしてとても元気に走ってくれます。
アクセルレスポンスも悪くないので、発進〜時速40kmの加速でも、時速40km〜時速60kmの加速でも、必要十分な勢いがあります。
街中での力不足を感じるシーンはありませんでした。
RAIZEには今回試乗したFFモデルだけではなく、4WDモデルもラインナップされるので、ぜひそちらも乗ってみたいと思う出来でした。
重量増が、重さとして現れるのか安定感として現れるのか、試してみたいです。
足回り、及びハンドリングも、悪くなかったです。
ヤリスの時に感じた妙なふにゃふにゃ感はなく、クイックとは言えないまでも、しっかりとしたハンドルの手応えがあります。
中央の不感帯も、神経質なハンドル操作を要求されず且つダルじゃない範囲で調整されていました。
試乗車は17インチを履いていたので、標準の16インチとはハンドリングが異なるところは有るとは思いますが。
走りで気になったのは、遮音性の低さです。
エンジン音、排気音は気にならないのですが、ロードノイズが非常に大きく聞こえます。
価格を考えると仕方のないところですが、高速道等でこのロードノイズに、エンジン音が乗っかってきた際に多少疲れそうです。
◯オプション
TOYOTAで試乗した4車種の内、唯一このRAIZEだけはカタログをもらいました。
驚いたのはオプションについて纏められたアクセサリーカタログ。
純正エアロを纏った6つのカスタムスタイルが紹介されていて、どれも中々かっこいいです。
加えて、エアロセットで15万円前後という価格も魅力的でした。
ギブリだったら、フロントカーボンリップだけでそれ以上しそうです。
基本的に車はノーマルで乗ることが多いですが、販売台数が多い車種だからこそ、あえてエアロ等で遊んで個性を出すのもアリかと思ってしまいました。
◯総評
RAV4チックなSUV然としたエクステリア、
遊び心があって実用的なインテリア
街中で乗るには十分な動力性能
そして180万円〜の車体価格。
トヨタでセカンドカーを検討するなら、
このRAIZEにしようと思える出来の一台でした。
気になったのは2点。
一つは、今はまだ新型車でそれ程多くは見かけませんが(それでも相当見かける)、あと1年もすれば一時期のFITレベルで見かけるようになりそうな所。
ただ、多彩なオプションパーツが用意されているので、比較的個性は出しやすそうです。
二つ目は、インテリア編で触れたドアの薄さ。これは走行編で触れた遮音性の低さ・ロードノイズの大きさと無関係ではないと思います。
ドア開閉時の高級感がない、遮音性が低い、そんな事は価格を考えれば全く問題ないレベルなのですが、気になるのは衝突安全性能です。
先日、首都高で起きた痛ましい交通事故。
速度超過のポルシェ911GT3が追突事故を起こし、追突された乗用車に乗っていたご夫婦が亡くなりました。
テレビや新聞では乗用車としか報道されていなかったように思いますが、被害者が乗っていたのはBbだったようです。
Bbは本記事の導入で紹介したように、RAIZEとおなじく、トヨタが企画開発にたずさわり、ダイハツが製造した車です。
もちろん当時に比べ安全性能は上がっているでしょうし、そもそも、相対速度100km/h(加害車両は200km/h出ていたとの検証結果も)で突っ込まれればどんな車両でも無事では済まないとは思うのですが。
ただ、価格を考えた時には非常にコストパフォーマンスが良い一台だと感じました。
道具として使い倒して、アウトドアや釣りなんかでも活躍してくれそうです。
かなり魅力的に感じました。