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ファルケ少佐のブログ一覧

2010年04月21日 イイね!

インセクト


 闇の中、ゆきは先を急いだ。
 気の遠くなるような長い歳月をかけ、あちこちを経巡りながら、ある時は潜在意識の中で、またある時は狂おしいほどの情念に駆られて探し求めてきたものが、今まさにすぐ近くにあるのを感じていた。ゆきの瞼には、遠く信州佐久の故郷の山河が、鮮やかに映し出された。


 ゆきには惚れた男がいた。
 その男は、矢島平三郎という諏訪家の旧臣で、主家を武田晴信に滅ぼされたのち、血縁を頼って佐久まで落ち延びて来て、ゆきの屋敷に居候していた。ゆきの父親は、志賀城主・笠原新三郎清繁の被官で平三郎の伯父に当たる。一七歳のゆきは、この三歳年上の従兄に思慕の情を募らせ、やがて二人は恋仲となった。

 天文十六年の七月、武田晴信が甲府より大軍を発し志賀城を包囲する構えを見せるに及び、ゆきも平三郎も一族郎党とともに志賀城に籠城することとなった。笠原清繁は志賀城の危急を知らせるため、関東管領上杉憲政と小県の村上義清のもとへ使者を送ることにした。足が速い平三郎は村上への使者に選ばれた。新月の夜、平三郎はゆきに必ず帰ると言い残して城から脱出した。ゆきが平三郎を見たのはこの日が最後となった。

 八月になって救援に駆け付けた上杉勢は、浅間山麓で武田勢の急襲を受けて惨敗した。平三郎が救援を要請した村上義清も、種々の事情からついには動けなかった。平三郎は志賀城への帰還を強く望んだが、武田の包囲が厳重であったため、平三郎の命を惜しんだ村上義清がそれを許さなかった。

 孤立無援の志賀城は間もなく陥落し、笠原清繁以下およそ千名の男はすべて殺された。女子供は甲府に連れてゆかれ、人買いの市で売り飛ばされた。ゆきは甲斐黒川の金山衆相手の遊び女宿に買われて行った。ゆきは生き別れになった平三郎のことを思って毎晩泣いた。生まれ変われるものなら、鳥か昆虫になって平三郎の所へ飛んで行きたいと思った。金山衆の慰みものという過酷な生活の中で、いつしか労咳を患い痩せ衰えたゆきは、過ぎ去った月日を数える気力すらなくして行った。さらに何年か経った夏の蒸し暑い明け方、ゆきは多量に喀血して喉を詰まらせた。窒息する脳の片隅で平三郎の名を叫びながら、ゆきは死んだ。

  


 白く輝くそれは、瞬く間にゆきの目の前に近づいた。
 ゆきの魂は待ちに待った邂逅の喜びで激しく揺さぶられた。





 「平三郎様…」










9010041813
9010041813 posted by (C)どれみそくん




戦車のときインセクトストライクの痕を見ていたせいか、
昨夜は重苦しい夢を見ました。
辻褄が整合しないのは夢の常、
ある程度、話になるように尾鰭を付けました。

もしかすると、前世で愛し合っていた相方が、
あなたに逢いたい一心で小さな虫に転生して、
あなたの近くにやって来ているかもしれませんよ。
この世の縁とか因果というものは、そういうものかもしれません。
Posted at 2010/04/21 22:42:48 | コメント(5) | トラックバック(0) | この間見た夢・追想 | 日記
2010年03月16日 イイね!

夢象の風景

夢象の風景









峠への取り付きの三叉路の脇に大きな欅の木がある。
季節を問わず、いつ行っても鮮やかに紅葉している不思議な木だ。
そこをいつもと逆の右に入って、深い谷にかかる小さな橋を渡り、
鬱蒼とした杉林の九十九折りを急登すると、
やがて熊笹の茂る稜線に出て視界が開ける。
ここからはアップダウンのある直線路と、
中・高速コーナーがセットになったダイナミックな山岳路となる。

電話で道路管理局に予約をしておけば、
シロモノやバイクは締め出され、
要所にはご丁寧にもコースマーシャルまで配置される。
ポルシェカードをETC車載機に挿入するとゲートで自動的に決済できるから便利だ。

しかし、今日は助手席の客人のためにゆったり走ることにした。
貸切を予約したのは、無粋なクルマを見たくなかったからだろう。
客人と何を話したかはっきり覚えていないが、
ハイブリでスポーツカーを騙れるかとか、
公道でレースまがいの暴走をする困った輩や、
それを交通憲兵隊に通報することを生業にするニート崩れ、
ハテさてどうしたものかというような、
そういった現実を引きずった話題だったように思う。

コースの中ほどに年中雪不足でクローズドになっているスキー場がある。
スキーはできないが展望レストランと温泉だけは営業している。
レストランで眼下に広がる夜景を見ながら、猪肉ソテーのメニュー料理を食べ、
食後にアイスコーヒーを2杯飲んでから温泉に入った。
湯殿の入口に寝そべっていた大きな紀州犬かナニかをかまっているうちに、
客人が静岡駅午前二時発の新幹線に乗りたいと言い出したので、
最寄りの新幹線駅まで送るべく、クルマに鞭を入れて走り出したが、
在来線を乗りついでこそ旅の醍醐味があるなどと、
客人は利いた風なよくわからぬことを仰るので、
じゃ、トイレに行って考えようということになり、
小便器の前でファスナーを下ろそうとしたところで目が覚めた。


この山岳路は、いつも同じレイアウトで夢の中の稜線を縫っている。
途中に雪不足のスキー場があり、そのあと稜線を下って落葉広葉樹の林を抜け、お寺の脇を通って農協前の交差点で終わっている。一人で走る時も、誰かを乗せている時も、はたまたシロモノに前を塞がれイラっちしている時も大略同じ道だ。だから、夢のとっかかりでこの道が出てくると、「ああ、今夢を見ているんだな」という自覚がある。実は全く違った道なのかもしれないが、少なくとも夢を見ている時にはそういった自覚はない。

何故、この道が夢の中に何回も出て来る(出て来る気がする?)のかはわからない。
恐らく潜在的な葛藤やフラストレーションかナニかがあるのだろう。


救われない贋軍師に愛の手を♪
(´・ω▼`メ)ヒベサバ
Posted at 2010/03/16 23:46:25 | コメント(12) | トラックバック(0) | この間見た夢・追想 | 日記
2009年12月18日 イイね!

雪は降る…

誰もいない駐車場にしんしんと雪は降り積む。
雪は降る アナタは来ない。
(´Tω▼メ)…larmes blanches
明け方、漠然とした悲しい雰囲気の夢を見ました。
具体的にナニが悲しい雰囲気だったのか思い出せません。
ただただ、白い雪は降るばかり。




この冬一番の寒さです。
画伯のマジックでヘッダ画像にも雪が降ります。
Magie blanche!
年賀状は勿論、
コラム記事もまだなのに、
締め切り近いのに、、
お客様から頂いたファンレターへのお返事は、
寝る時間を削ってでも翌朝までには必ず書くのが、
二十数年来のお約束だから、
ホントは画伯なんかやっているヒマなんてないのに、、、(苦)







とうとう動けなくなってしまいました…

自虐絵ですな、、、コレは(笑)

またハシが切れてしまいました。
ホールイメージが見たい酔狂な方はコチラへ。








Tombe la neige
Tu ne viendras pas ce soir
Tombe la neige
Et mon cœur s'habille de noir
Ce soyeux cortège
Tout en larmes blanches
L'oiseau sur la branche
Pleure le sortilège
Tu ne viendras pas ce soir
Me crie mon désespoir
Mais tombe la neige
Impassible manège

Tombe la neige
Tu ne viendras pas ce soir
Tombe la neige
Tout est blanc de désespoir
Triste certitude
Le froid et l'absence
Cet odieux silence
Blanche solitude
Tu ne viendras pas ce soir
Me crie mon désespoir
Mais tombe la neige
Impassible manège


学がないのでフランツェージッシュはよくワカリマシェーンが、
Tombe la neigeというと
Snow is fallingとか
Schnee falltより物悲しく聴こえるのはなぜでしょうか。




ところで、話は変わりますが、
雪で動けぬのは一時的でしょうが、
天災とりわけ地震や集中豪雨等による崖崩れによって、
高所の山岳道路に閉じ込められてしまったら、、、と
不安になることはありませんか?
人間は最悪歩いて下山することもできますし、
ヘリをチャーターして脱出することもできます。

昨今のクソ仕分けブームで、
道路予算は削られる一方なので、
何年かかるかわからない復旧工事を待っていたら、
クルマは朽ち果ててしまいます。

以前、この件を保険屋さんに伺ったことがあります。
大型輸送ヘリをチャーターして空輸する場合、車両保険の10%が出るそうです。
クルマを空輸するのにどれくらいかかるかわかりませんが、
アエロスパシアルAS355をチャーターして、北アルプスの稜線から一人の登山者が脱出するのに、
条件にもよりますが、仮に一日で簡単に済むとして、、、

大体130諭吉かかるそうです。
人一人に(汗)

クルマの場合は、はてさて大変なことになるに違いありません。





こうなったらCH47で逝き松か(爆)
しかし、気流の悪い痩せ尾根のヘリポート、
きっと海千山千の猛者フェーン少佐もイヤがるに違いありません。


で、脱出不可能の場合、どうなるかといいますと、
全損扱いになるそうです。
Posted at 2009/12/19 00:04:11 | コメント(12) | トラックバック(0) | この間見た夢・追想 | 日記
2009年11月10日 イイね!

追想そのヒト(霧の展望台編)

追想そのヒト(霧の展望台編)












私は勤勉実直・真面目一筋。
創業家嫡流十一代目の男。

唯一の楽しみは朝イチみんから。
社員には内緒だが、これだけは絶対に外せない日課である。
今日はお気に入りのヘッダ画像を復活させた。
半分は手描きしてでっち上げたが、
誰もいない駐車場と、○にPの紋所が内心素敵だと思う。

早朝の社長室でそれを眺めていると、
シーナリの中を漂浮している自分がいる。
時折霧がかかる展望台の錆びた鉄の手すりは、
触ると冷たく濡れている。

「ファルケくん…」

背後から懐かしいハスキーヴォイスがかすかに聞こえた。
振り返ってみたが、誰もいない。

どこだったのだろうか、あれは。

ふっと自嘲気味に微笑んでクルマに乗り込んだ。
夕闇せまる霧の展望台を後にして、スロットルを踏み込む…

良き敵御参なれ。
出て来い、オリーヴ・ドラブのダルマセリカ野郎。


「おはようございます」
@@子ちゃんの声で我に返った。
彼女を採用した理由はほかでもない。
三十年前のハスキーヴォイスの主に似ているからだ。

そう、
私は勤勉実直・真面目一筋。
創業家嫡流十一代目の男。


このお話はフィクションでつ♪( ̄ ̄m ̄ ̄*)
Posted at 2009/11/10 23:57:08 | コメント(7) | トラックバック(0) | この間見た夢・追想 | 日記
2009年08月07日 イイね!

墜落夢

墜落夢







 あの日、私はドーヴァー海峡上空6000mを北上していた。私の後にはカレーの戦闘機基地を離陸した11機が続いている。英国南東端にあるグリ・ネ岬の海岸線が左翼前縁に近づく頃、われわれはゆっくり左旋回して西南西方向に機首をとった。旋回によって編隊がやや間延びする格好になったので、無線で僚機に注意を促す。目を皿のように見開いて、四方遍く注意を払い見張りを続けるが、敵機の姿はない。

 海峡上空はコバルトブルーに晴れ上がっていたが、英本土の方向には密な積雲があって、ところどころ塔状に発達していた。断雲の下に見え隠れする、白い石灰岩の海食崖を辿るように、われわれのBf-109E4戦闘機は進撃する。機首と翼端そして垂直尾翼に塗られた黄色の戦術識別塗装が鮮やかに映えている。
 
 アドラーターク*1から1週間、英国南部の敵空軍基地に対して、我々は精力的にフライエヤークト*2をこなした。大部分は旧式のハリケーンだったが、われわれは遭遇した英空軍を一蹴した。この調子なら、あと一押しで英空軍戦闘機隊に引導を渡すことができるかもしれない。計器盤に目をやると、K子ちゃんに貰ったフレシュヒェン(ケロちゃん:本官のお守りネ)がブラブラ揺れながら笑っている。

 その時だった、第2小隊長のポルヒ中尉の声が飛び込んできたのは…
「3時上空敵機!急降下する!」
「@@@@野郎、来やがったぜ」

 500mほど上空から黒いゴマ粒のような敵機が急降下してくる。地上からレーダー誘導されて、断雲の陰を巧みに利用して接近してきたのだ。1、2、3、4…12機、その後ろにさらに12機。敵はわれわれの倍、しかもこちらは劣位。全く不覚を取ったものだ。接近するにつれ特徴的な楕円形の主翼がはっきりと見えてきた。スピットファイアだ。

「ブレイク!攻撃開始せよ」

 とは言ったものの、ここは各機思い思いに反転急降下して逃げるしかない。第一撃をかわせばなんとかなる。急降下速度はわれわれの方が速いのだ。フットバーを左に蹴って、操縦桿を左に倒す。右上空からスピットファイアの一番機が覆い被さるようになって撃ってくる。8挺の7.7㎜機銃が火を吹き、主翼前縁が真っ赤に燃えているようだ。私は機を左横滑りさせて、敵機のまき散らした曳光弾の火襖を掻い潜った。

 一撃目は何とかかわしたものの、敵はわれわれの倍だ。態勢を立て直す暇もなく、二撃三撃される間に、われわれは高度を失い、Bf109が優位に立てる縦方向の機動を封じられてしまった。敵の注文通りに右に左に割り込まれて、たちまち低空での乱戦となった。隊長機は列機を失い、列機は隊長機を失う。こうなると旋回性能に劣るわれわれは不利だ。

 いつの間にか、私の後ろにスピットファイアが2機忍び寄っている。前の1機がを発砲するのと同時に、私はスローロールを打って火箭をかわした。しかし、この機動によって速度が落ちたのがいけなかった。後方の敵機が射撃しながら距離を詰めてくる。絶対絶命とはこのことだ。

 その刹那、私は良いことを思い出した。スピットファイアのマーリンエンジンはキャブレター式なのでマイナスGがかかると燃料供給が滞ってエンジンが息をつくという弱点を抱えているのだ。それに引き換えわれわれのダイムラーベンツDB601は燃料直噴式なので、どのような機位になろうとも、燃料供給は安定している。背面飛行をすれば奴らはついてこられない。

 どうしてこんな簡単なことに気がつかなかったのだろう。私はもう一度スローロールを半分打って背面になった。どうだ、思い知ったか@@@@野郎。


その時、レシーヴァーからポルヒ中尉の素っ頓狂な声が聞こえた。
 


「背面飛行をしているのは少佐の機だけです」

ΣΣ┏(_□_:)┓iii




 バックミラーに機銃から火を吐くスピットファイアの姿が映る。機体のあちこちに被弾して、カウルが吹き飛び、滑油が噴き出した。あっという間に、風防ガラスは噴き出した滑油で真っ黒になってしまった。大きな衝撃とともに右翼端が無くなり、時計回りの錐揉みが始まる。操縦桿を左に倒し、フットバーを左に蹴ってカウンターを当てたが態勢は回復しなかった。機を捨てて脱出しようと渾身の力で風防を押したが、フレームが胴体に食い込んだのか、テコでも開かない。ああ、ここで死ぬんだな。私が死んだらK子ちゃんはダルマセリカ野郎の所へ行ってしまうのだろうか…。ドーヴァーの青黒い海面が近づいて来た。私が覚えているのはそこまでだ。




*1アドラーターク(Adlertag)
「鷲の日」
1940年8月13日から16日にかけてドイツ空軍が英国に対して実施した一日当たり延べ1000機規模の航空作戦の暗号名。 

*2フライエヤークト(Freiejagd)
直訳すれば自由狩猟、ここでは制空権奪取のための航空撃滅戦。





ココまで読んで下さったアナタはエライ!
実際に見た夢はイタリック体のところですが、話が繋がるように前置きをつけました。
今回は残念ながらオリーブドラブ色のダルマセリカ野郎やK子ちゃんの実体は出てきませんでした。
毎度のことですが目覚ましムジークのローゼマリーに救われました。
また、ご本人に無断で出演して頂いたみん友のポルヒ・キャララさんにお礼を申し上げます。

それにしても夢の中とはいえヴァカ丸出しをしたものです。
知らず知らずの間にストレスがたまっているのでしょうか。
Posted at 2009/08/07 23:35:34 | コメント(13) | トラックバック(0) | この間見た夢・追想 | 日記

プロフィール

「神の加護は我らと共にあり続けん」
何シテル?   01/13 00:25
大ガミラス帝星第2航宙艦隊第26戦闘航宙団  ( ̄w ̄;;) の落ちこぼれ万年少佐。ときどき総統や井上靖の山本勘助キャラになる自己韜晦的人物。
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