
ここで愛機の燃料が乏しくなったことに気付いた男は、事前に調べておいたポイントで給油を行うことにした。
建物の半分が群馬、半分が長野に位置する“渋峠ホテル”のガソリンスタンドだ。
べ、べつに自力でも余裕で辿り着ける予定だったが。
支払いを終えた男は、壮年の男性店員に目的地の場所を訪ねてみた。
気難しそうな表情の店員は急に打ち解けた笑みを浮かべると、
男が走って来た方向を指差し答える。
「こっちに出て、車なら1、2分ってとこだべな。」
なんという良スタンド能力・・・
気がついた時には任務完了していた
このスタンド名は間違いなく「
いともたやすく行われるえげつない行為」(AA略
原作でもやたら繰り返しててカッコ良かったので真似すると
いともたやすく行われるえげつない行為(Dirty deeds done dirt cheap)!
いともたやすく行われるえげつない行為(D.D.D.D.C)!!
いともたやすく行われるえげつない行為(D4C)!!1
しかし、初到達したからには証を残さねばならない。
各国のライバルに示しがつかないからだ。
そう考えた男は、すぐに引き返すと問題の地点に向かった。
そして撮影に成功したのが、誰も皆逝きたがるが遙かな世界、と書いて国道最高地点。
「じゃあ、なんで下の方が写ってないのよ?」
ってことになるし、それは画面下でハシャぐ子供の霊をフレームから追い出すため。
最初はアムンゼン隊、あるいは別の、初到達を争うライバルかとも思えたが。
冷静に考えれば、こんな空気の薄い場所に生身の人間が居ようはずもない。
そんなことをすれば、5分で肺が腐ってもおかしくないからだ常識的に考えて。
そしてそれは、超人的な訓練を積んだ男とて同じ。
浮かれる霊どもを前に
「こちとら、
遊びでやってんじゃないんだよおおおっ!!」
と呟くと、速やかに撮影を終え撤収を開始した。
実際これ以上ここに長居したら、今頃は酸素欠乏症でガラクタがオタカラに見えていただろう。
それでも帰りがけの一枚には、愛機を同フレームに入れることも忘れない。
これでライバル国から、でっち上げだと主張されることもないはずだ。
頂点を極めてしまったなら、後はそこに踏みとどまるか、転げ落ちるだけ。
「家に帰るまでが任務」という諺(ことわざ)に則り、迷わず後者を選んだ男だったが。
この疲労感と、込み上げる虚しさは何だろうか。
今となっては、そう。
高みを知らぬまま焼けるような渇望に苛まれていた、あの頃が愛おしくさえ思える。
いっそ、あのまま朽ち果てていた方が幸せではなかったか。
とか書けば深い感じになるかな~?
などと考えながら男は帰路を急いだ。
それにしても、最近の現実は実に出来がいい。
プレステ3の最新ゲームと比べても、遜色ないリアルさなのだ。
運転席の完成度など、気合いの入った別売りコントローラーに肉薄するレベルと言える。
惜しむらくは、Gなどと云う無粋なモノが体で感じられてしまうこと。
シフトダウン時のショック軽減に、相変わらずブリッピングが有効な点も旧態依然と言えるか。
おかげで無駄に難易度が上がっており、とてもじゃないが踏む気分にはなれなかった。
そんな5連スピンアウトを精神的な意味で繰り返している内に、戦が出来ない腹減りモ-ドに突入。
しかし抜かりのない男は、
国道最高地点と同じwebページ上で近隣の名店を調べ上げていた。
そしてアッサリしたものを欲する本能のまま、水沢うどんの超名店「
元祖 田丸屋」に突入。
まぁ実際は、ランキング一位である「
清水屋」の住所を入力しておいたのだが。
店名を忘れたまま到着したら、周囲は水沢うどんの店ばかり。
最高地点の近所のように書いてあったくせに2時間もかかった点から見て、これも敵方のトラップと見て間違いないだろう。
勘のいい読者は既にお気付きのとおり、男が直感で「元祖 田丸屋」を選んだことは云うまでもない。
味にかんしては多分「清水屋」も「元祖 田丸屋」も変わらないでしょ。
「清水屋」入ったことないから知らないけどランキング1位かどうかでそんなに変わったらアホ臭くてだれも「元祖 田丸屋」なんて入らないでしょ。
個人的には「元祖 田丸屋」でも十分に旨い。
嘘かと思われるかも知れないけどMAPPLE観光ガイドで★5つ位でマジで「清水屋」を抜いてた。
つまりは「清水屋」ですら1人の投票で★5つになった「元祖 田丸屋」には勝てないと言うわけで、それだけでも個人的には大満足です。
ボクの
田丸chanを愚弄すると許さないぞ!><;
腹ごしらえを済ませたら、すぐに弔い合戦である。
「じゃあ、誰の弔い合戦よ?」
ってことになるし、それはあの日の自分。
なぜならここ、
かつて渋滞に敗れて攻略を断念した「テディベア博物館」が目くそ鼻くその先なのだ。
当然ながら、同じく仕留め損なった連邦の隠れ家的カフェ「夢や」も墜とさねばなるまい。
長くなりすぐたためフォトギャラリーで復讐劇
Ⅰ&
Ⅱを終えた男は、意気揚々とハイウェイをクルージング。
帰還の方向は民族大移動とは真逆なだけに、そのスムーズさたるや往路の比ではなかった。
そう、少なくとも「
緊急工事渋滞」の真っ直中に突入するまでは。
「フン、どうやらヤッコさん、どうあっても俺に初到達のブログを上げて欲しくないらしい。」
アムンゼンの祖国ノルウェーは、日本政府に幾ら積んだのであろうか。
延長30㌔近かった往きの渋滞に対し、15㌔2時間程度と規模自体は小さく思われたが。
動かざること、山野剛。
相手もプロとは云え、渋滞内部で2回も事故を発生させて来るとは読めなかった。
たっぷり1時間ほど捕まった後、目にとまった表示板に踊る文字。
「 ここから渋滞15㌔4時間以上 」
あれこれなんて3歩進んで3歩下がって片足切断された状態?
数分後、高速出口から夕闇迫る一般道に消えて逝く男の姿があったと云う・・。
いともたやすく行われるえげつない行為!
いともたやすく行われるえげつない行為!!1
~ Fin ~
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