~ ここまでのあらすじ ~
プロジェクトGのダブルエース、藤原タッカイと高橋(弟)の挑戦を辛くも退けた酸素だったが。
Gとの戦いに終止符を打たない限り、自室エリアに安息の日々は戻らない。
プロジェクトGの頭脳であり住み屋界のカリスマ、高橋(兄)との最終決戦は避けられないものと思われた。
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Ψ 第13話 回想 Ψ
電気代と引き換えに絶え間なく換気扇を回し続けることで、自室への侵入ラインをブロックする荒業「酸素ゾーン」。
早くもその効果は現れ、数日に亘りGのマシンを見ない日が続いた。
そして2週間もすると、遭遇することが一切なくなったのである。
とうとう「酸素ゾーン」に到達出来る猛者も居なくなったかよ。
こんなことを思うようになった、ある夜のことである。
布団の中で眠りに就こうとしていた酸素の耳に、ある音が飛び込んで来た。
耳を澄まし、音の出所を探る。
断定は出来ないが、寝所であるロフトよりも上からのようだ。
そこにあるのが三角屋根に沿った造りの天井だけということを考えれば、発信源は屋根の上であろうか。
トタトタトタトタトタ・・トタ・・トタタタタタタタタッ・・!
いずれにしても、かなりのハイパワーマシンが発するロードノイズのようだ。
仮にGマシンが発するそれを、ゴキブリが耳元を走り抜ける音に例えるとするならばだが。
こちらは差し詰め、ネズミが天井裏を闊歩するくらいの大音量
なんだぜおまえら!!である。
「例え上手な自分」に酔うまでもなく、酸素はこの音に聞き覚えがあった。
それは、かつてネットゲームで知り合った友人の家を訪問した時のことである。
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トタトタトタトタトタ・・トタ・・トタタタタタタタッタ・・!
ドタ!ドタタタタタ!ドタタタタタタタタ!!
酸素「おいィ?天井裏で大運動会が始まってるんだが?」
友人「いつものこと。ちょいちょい部屋でも逢えるお^^」
ガリガリガリガリガリガリ!ガリガリガリガリガリガr(ry
酸素「ちょwwwかじられてるがなwwwこの家やばくね?マジやばくね??」
友人「へ、平気に決まってるけど、そこまで心配なら後で対策考えといてあげる!><」
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こんな回想を終え、不吉な胸騒ぎに襲われた酸素だったが。
気のせいだと思うことにして寝た。
~ つづく ~
Ψ 第14話 蝕 Ψ
ガリガリガリガリガリガリッ!!ガリガリガリガリガリガr(ry
私の名は酸素。かつてはツィマッド社に通う平凡な一営業マンであり、退屈な日常と戦い続ける下駄履きの生活者であった。
だが、あの夜、ロフトの寝床から聞いたあの衝撃の音が私の運命を大きく変えてしまった。
現実逃避で夢の世界に強行就寝したその翌日から、世界はまるで開き直ったかのごとくその装いを変えてしまったのだ。
いつもと同じ部屋、いつもと同じ家具、いつもと同じ生活。だが、なにかが違う。
床からは行き来するGマシンの影が消え、木造住宅の壁に新たなノイズ発信源が増え、天井の各所で慌しく運動会を行う気配さえする。
この部屋に、いやこのエリアに私だけを残し、あのふてぶてしい住み屋のチームは完全に姿を消してしまったのだ。
オラァッ!!(ドンッ!!)
・・・・シーン・・・・
音の発生源である壁の一角に、スピードと正確さを両方そなえた拳を叩き付ける酸素。
しかし、沈黙は長くは続かなかった。
・・・・ガリガリガリガリガリガリッ!!ガリガリガリガリガリガr(ry
悪魔のR(ラット)か!!
酸素も噂だけは耳にしたことがあった。
そのマシンは狂おしく、まるで身をよじるようにして齧(かじ)るという・・・
まずいな・・。
インテリア、エクステリア共にモダンに仕上げられたマイアパートだが・・。
先にも触れたとおり、実態は築10年を超える木造のポンコツ。
いつ大地震が来てもおかしくないこのご時世に、これ以上ライフポイントを削られたら堪ったもんじゃないぜ!
だが、待てよ?
本当に悪魔のR(ラット)なら、あの特徴的なホーンサウンドが一度も聞こえてこないのは不自然だ。
それにだ。
そもそも姿さえ見ていない現状で、奴だと決め付けるのは早計に過ぎるってもんだぜ。
うるさいだけで人畜無害な、悪霊とかポルターガイストの可能性だってあるからな。
一縷の望みにかけたいとか、藁をも掴みたいとか、
猫の手も借りたいというのは、正しくこんな心境だろうか。
それとも単に、ちょっと上手いこと書けて満足してしまったのだろうか。
その日の酸素は、霊のせいだと思うことにして寝た。
~ つづく ~
Ψ 第15話 律動 Ψ
トタタタタタタタタ!トタタタタタタタタ!!
ドタタタタタタタタ!ドタタタタタタタタ!!
チュチュッ?!
ヂュヂュゥ~・・・
トタタタタタタタタッ!!トタタタタタタタタタタタタッ!!1
ドタタタタタタタタッ!!ドタタタタタタタタタタタタッ!!1!11
チュ・・チュウウゥウッ!!
ヂュヂュッ・・ヂュヂュヂュッ!!
チュ!チュチュッ!!・・チュッー!!///
ヂュヂュヂュ・・ヂュヂュヂュヂュヂュ!!1
チュ・・・・チュゥ・・・・(はぁと
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
R確定ktkrwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
てか繁殖自重wwwwwwwアキオwwwwwwレイナRwwwwwwwwwwwww
wwwwwwwwっうぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
. .
, ; .'´ `. ゙ ; `
,.'.;´," :´,´' . ゙ .` . ドンッ!! ドッゴアアアアアアァァァァァッ!!
,.'.;´," :. 、ヘ___
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ゴアフ!! ドゴアッシャアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッ!!1!11
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l l ̄ ̄l l l. l ノ l ヽ,_,ノ ,l
ヽヽ ヽヽ__ノ ヽ,, \,__ ノ
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~ つづく ~
Ψ 第16話 知将 Ψ
いよいよまずいぜ!
こう思った酸素のアクションは迅速だった。
エンジン内に取り込めば即ブローを引き起こす、対R専用トラップを部屋の随所に配置。
あの夜の友人も後日採用、R撃退に成功した霊験あらたかな秘密兵器だ。
・・・・が、相手は悪魔。
数日を経ても、何ら変化は起きなかった。
嫌な予感はしていたが・・。
そういえば一度として、Rが室内に侵入した形跡が無いのだ。
どうやらこのアパート、狭いながらも天井裏が存在し、更には部屋同士を仕切る壁の中にも空間があるようなのだが。
Rはそれらをメインステージとしつつ、順調に建屋全体を蝕んでいる様子。
悔しいが、ここまで次元の違いを見せ付けられたのは初めてだぜ!
室内の住み屋と壁内の齧(かじ)り屋。
両者の間に、まさかこれほどまでの壁があろうとはな!!
厚い壁とは思わねえ・・むしろ薄すぎて絶望してるくらいだが・・。
それでも俺には、この壁をブチ破ることなど出来そうにねえぜ・・・弁償したくねぇかr(ry
こう呟くと、室内レベルの住み屋としては驚異的なタイムで不動産屋に苦情を入れに出かける酸素。
感のいい読者は既にお気づきのとおり、ついでに別の物件を探し始めたことは言うまでもない。
~ つづく ~
Ψ 最終話 出発 Ψ
ガリガリガリガリガリガリッ!!ガリガリガリガリガリガr(ry
ドラァ!(ガンッ!)
・・・・シーン・・・・・
ガリガリガリガリガリガリッ!!ガリガリガリガリガリガr(ry
アリアリアリアリ!(ドガッ!)アーリアリアリアリーデヴェルチ!(さよならだ!!
・・・・シーン・・・・・
ガリガリガリガリガリガリッ!!ガリガリガリガリガリガr(ry
ボラボラボラボラ!(ガタンッ!)ボラボラボラボラボラーレ・ヴィーア!(飛んで逝きな!!1
・・・・シーン・・・・・
ガリガリガリガリガリガリッ!!ガリガリガリガリガリガr(ry
もうやめてアキオ!!アパートのライフはとっくにゼロよ!!><
果てしのないドロ沼
永遠に出口の見えないトンネル
マイルームにハマって争奪戦にハマって
やってよかった…というヤツは一人もいない
最後にはみんなボロボロになって降りてゆく
そうゆうのはゴメンだと、ずっと思ってましたヨ
でも…本当に戦ってきた者にしか──
わからないものが必ずある。
その時いっしょに戦った者だけが──
見るコトができた世界がある
もう2度と聞くコトはないだろう
フルパワーで齧(かじ)る、お前のその音。
~
賃貸ミッドナイトかしらもG 完 ~
Ψ かしらもG アフターストーリー Ψ
引越しを決めた酸素は、費用を節約するため自ら家財道具を運搬していた。
そんな作業も峠に差し掛かった、ある日のことである。
まとめた荷物を新居に運ぶべく部屋を出た酸素の目に、意外な風景が飛び込んで来た。
今まで一度も開いているのを見たことがない、隣の部屋のドアが開いているのだ。
アパートを出るには前を通過する必要があるし、その際にさりげなく中を見てやれ。
そんな酸素の思惑は外れ、覗いた瞬間に足が動かなくなった。
灯台下暗しとは、このことだぜ・・!
まさか、ノーマークだったこっちの部屋がプロジェクトGの本拠地だったとはな!!
後から現れた撤去作業員に許可をとり写真に収めると、速やかに引越し作業に戻る
スネーク酸素。
しかし、荷物をとりにアパートに戻るたびに、Gの恐ろしさを改めて思い知らされるハメになる。
夕方近くになっても、撤去作業がワンルームの室内に及んでいる様子が無いのだ。
「こりゃトラック2台は覚悟しないとなw」
等と午前中は笑っていた作業員達も、もはや無言。
顔は蒼白かつ涙目である。
後日、あらかた荷物の運び出しを終えた酸素が不動産屋から聞けたのは、次のような事実だった。
◆1日を予定していた撤去作業は丸2日かかり、トラック6台を要した。
◆部屋の主はY電機の店員で、今は滅多に戻らず女の所にしけこんでるっぽい。
◆つかまんないから親を呼びつけて、部屋を見せてやりましたヨ。
◆ドアがちょっと開いて中身がはみ出て来てる、ってゆー住人からの通報で発覚しました。
◆酸素さんの部屋もだいぶ傷んでますが、敷金は全部お返ししますね。
◆修繕費は全部あそこんちの親に請求しますから。
◆言うまでもありませんが、これには大家さんの怒りも有頂天ですヨ。
◆あ、あと近いうちに、燻煙タイプの殲滅兵器でアパート中のGを一網打尽にしますんで^^
今更感がハンパなかったが、ようやく大家と不動産屋が本気になったようだ。
しかし、まだGに余力が残っていたらしいのは驚きだったぜ。
女の所に逃げた高橋(兄)を除けば、全てが狂おしく、身をよじるようにして齧(かじ)られたと思っていたからな。
それと──
Rについても、既に何台かはトラップ検問により拘束されたらしい。
建屋の構造上、黒い怪猫ブラックキャットでも連れてこない限り駆逐は難しいだろうが・・。
果たして、燃料が無くなっても残り続けることが出来るかナ
こう考えると・・
つくづく勝者のいねえ場所だよナ・・
誰がいつ住みだしてもいい・・
すべては自由・・約束事なんか何もねえ
・・そして引っ越すのも自由だ
永遠に勝者なんかいねえ
去るヤツと残るヤツ・・それだけだ
~ 完 ~
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