冒頭画像は
United Kingdom COVID - Worldometer
https://www.worldometers.info/coronavirus/country/uk/
のスクリーンショットです。
7/19でロックダウンを解除した英国ですが、7/17をピークに新規感染者数はむしろ減少していました。ここ最近は少し下がり止まっているのか、毎日25,000〜30,000人ペースです。
成人の75%がワクチン2回接種を終えたとされますが、人口7千万人弱の英国はまだ日本よりも数多くの感染者を出してます。
日本と同じくデルタ株の蔓延ですが、ワクチン接種が奏功し重症化せずに死者数もさほど増えておりません。
アストラゼネカ製ワクチンの開発者の一人であるオックスフォード大のアンドルー・ポラード教授が、デルタ株が蔓延している現状で集団免疫の獲得は困難である事、2回接種済の人が感染するブレイクスルー感染の事例も多い事、ブースター接種よりは途上国へのワクチン寄付を行なうべきである旨の発言をしたと報じられております。
ワクチン追加接種より寄付を、英オックスフォード大教授が要請 | Reuters
https://jp.mobile.reuters.com/article/idJPKBN2FB22Z
英国の成人75%が2回接種 集団免疫獲得は困難との指摘 | 共同通信
https://nordot.app/797961230314946560
その道の大家である専門家に一素人の自分が物申すのはどうかと思いますが、はっきり言ってポラード教授の考え方は間違っています。
今求められているのはワクチンの大幅な増産であり、限られたパイをどう分け合うかを考える時期は過ぎました。ワクチンを必要とするすべての人のもとにワクチンを届けるためには、ワクチンを増産するしかありません。
ファイザーやモデルナのmRNAワクチンに比べて若干効果が劣り、稀に重篤な血栓症を発生するとされるアストラゼネカ製のウイルスベクターワクチンですが、それでも一定以上の効果を発揮しているのは明らかです。
ワクチン接種のリスクよりも有益性がはるかに上回るのが明らかになった以上、前回も書いたように、
・一刻も早く希望者全員のワクチン接種を2回済ますこと
・適切な時期にブースター接種できるようにワクチンを確保すること
・集団接種体制を整備すること
が、今人類に求められている行動です。
勿体振っていないで、ワクチンの大幅な増産をすべきです。
その上で今ポラード教授らに求められているのは、今後出現してくると懸念されている、より凶悪な変異株、特に既存のワクチンに耐性を持つ変異株に即応出来るようにワクチンの改良、開発を続ける事です。
また、小児へのワクチンの適応拡大も急務です。デルタ株のように若年者でも重症化するケースが伝えられている変異株が出現している以上、小児でも重症化し得る変異株が出現するのは時間の問題と考えるべきです。
体質的にワクチン接種を躊躇せざるを得ない人は一定数います。
移植手術後で免疫抑制剤を服用しているなど、ワクチン接種しても充分な免疫を獲得出来ない人もいます。
新生児や乳児へのワクチン接種の安全性を確認するには何年もの期間が必要でしょう。
そのような「ワクチン接種出来ない人」「ワクチン接種しても効果が不十分な人」を守る為にも、ワクチン接種出来る人は一刻も早くワクチン接種を受けるべきですし、必要に応じて追加接種を受けるべきです。
追加接種の時期を逃してしまったら、次の冬にはもっと悲惨な状況が発生するでしょう。
現在までの知見を総合すると、日本でも年内に希望者全員のワクチン接種を2回済ますと共に医療関係者、介護施設職員、救急隊員、高齢者等へのブースター接種を開始すべきです。
集団免疫獲得が困難だとしても、ワクチン接種者が数多くいればいるほど流行の規模は縮小していきますし重症化も防げます。
ワクチン不足を問題視するなら、幅広く資金を募りワクチンの増産を進めるべきです。躊躇する理由はどこにもありません。
追記;
この記事を投稿した直後、ロイターのこんな記事を見つけました。
アストラ製ワクチン接種後の血栓、接種年齢制限で発症に歯止め=論文 | Reuters
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-vaccine-clots-idJPKBN2FC2GF
アストラゼネカやジョンジョンのワクチンによる血栓症は、これらのワクチンの若年者への接種を制限する事で予防可能だとの事です。
小児への適応拡大にブレーキを掛ける話ですが、安全には代えられません。
益々mRNAワクチンの優位性が明らかになってきました。
先人達によるおびただしい犠牲があった上で、それを教訓に医学の進歩があります。
ワクチン接種が先行した国々で明らかになったこのような知見を、日本のようなワクチン接種が出遅れている国々はありがたく参考にさせてもらいながら接種を進める事が可能になります。
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2021/08/12 23:47:48