また大型バスの事故。
乗用車で起きることは少なくなりましたが 摩擦材開発経験者として すこし説明させていただきます。ブレーキ摩擦材は一般的に フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を 結合剤として その他の バインダー 摩擦調整剤 潤滑材 アブレッシブなどと共にプレスしながら粉末焼成されて固められます。
摩擦材が4-500度近くの高温になると このフェノールが気化し始め ローター、ドラム表面との間に気体潤滑が始まります。摩擦を発生させたい部分が気体潤滑されているので 摩擦力が低下します。
通常ブレーキパッドなどには このガスを抜くためのスリットが用意されています。ベンチレーションディスクなどは穴あけ、ソリッドなどでもスリット等 工夫されています。
しかしながら 穴あけはドリリングのみの簡単な加工で済みますがリスク管理を行う必要が有ります。
「穴あけディスクローター」yaf********のブログ | みんから ビートしま専科 - みんカラ (carview.co.jp)
(ソリッドローターで穴あけに意味がないのは これで理解できると思います)
フェードで 最も温度が高くなる停止時 ガス逃げが悪くなり顕著に摩擦力が低下。
ターンパークの料金所で 止まれなくなることが以前は有りました。現在ではAT CVTでも制御でシフトダウンするので ほとんど乗用車ではなくなりました。
常時 摩擦材を焼いている競技車両はすでにガスが抜けているので 対フェード性が高いのですが 普通は 降坂時に初めて熱が入るので ガスが多く出ます。
大型車両は ドラムが基本で 対フェード性は良くなく 熱がこもりやすい為 べーパーロックも起こしやすい構造です。
MTで早めにシフトダウンすれが良いのですが エンジン回転数があるレベルを超えると シフトダウンによりエンジン回転数は更に上昇する為 シフトダウンできなくなります。 シフトレバーは 単なるスイッチなので 破壊防止のため 制限が掛かります。
坂道に早めのシフトダウンと表記されているのはこのためです。
昭和の時代はベテランと新人のペアで 技術を伝えていきましたが コロナで大量解雇 その後の旅行支援で 急遽バス会社に増注 このパターンは多いと思います。
学生時代 スキーブームだったころ 添乗員のアルバイト募集があり 雑居ビルの一角に3人くらいの旅行会社があり 添乗していましたが 大したバスでもなく いきなり調達したバスだったので 石油暖房ヒーターから白煙や 後方のエンジンルームからの出火など経験しました。 今ではニュースでしょうが 当時はそんなもんです。ドライバーは一人 大阪から志賀高原まで一気に仮眠無し。
今の様な過激な事故が無かったのもベテランのスキルのおかげかもしれません。
かわいそうな錆びた個体ですが 順を追って手を入れていきます
標準で自動送り ねじ切りトレインが付いています
おそらく サカイマシナリー ML-360の原型になっていると思われます
こちらにユニマット3と共にアップされています ユニマット3はML-210の原型
Emco Compact 5 Lathe (archive.org)
EMCOの突っ切りホルダー
真似たサカイより剛性のある作りです
左がサカイ製
自動送りユニット
ノブはOリングにより節度感を出しています。
送りギヤ出力軸のアルミシャーピンが折れています。
防錆剤が固まった状態で 無理に送りを掛けたために 折れたものです。
EMCO社は多くの機械に この様な安全機能を付加していますが これを知らないと壊れたと勘違いします。シャーピンがせん断されたおかげで 樹脂ギヤは無事です。
修理品無事に頂きました。
実際には使用してみないとわかりませんが、綺麗にリビルトしていただいたものと感じております。
リビルト品は他社の物も使用しておりますが、貴殿のコストパフォーマンスの良さを鑑み、
今後はできるだけ利用させていただきたいと思います。
今回は 専門店からのご依頼
若干錆びていますが 焼結鉄系合金ですので 錆びて当たり前です
シャフトも S45Cメッキ無しですので錆びます。これらの錆は デスビロックとは全く関係ありませんし
シュウ酸何とかとか対策しても 気持ちだけですのでご注意ください。
焼結合金は硬くないので冶具を噛まして引き上げます。
シャフトを抜く際 バリを旋盤上で取っていきます。オイレスメタルは通常の砲金より柔らかく すぐに傷つきます。
シャフト研磨後 シール部の段付き 0.03mm片側 今までにない摩耗レベルです。
新しくシールを取り付けるにあたり シール位置加工の必要が有りそうです。
ゴムシール側
完全にコンタクトリップが摩耗しています。
ベアリング
グリスが下へ落ちていっているのが縦デスビの弱点
ベアリング寿命が半分ぐらいになります
上面 下面 洗浄後
この様な乾燥化した グリスが出てきます。2004年製ですのこの辺りが限界です。
100%化学合成グリスを充填して組み上げます。
グリスは 小分けして使います。 コンタミ(ゴミ)が入ると すべて廃棄になってしまうためです。
化学合成の高級品は風車など 重大なトラブル災害を引き起こすような所で使われます。
1-200kgは使いますので 1交換 1000万です。
今回のグリスは NOKクリューバ ISOFLEX NBU 15 エステル バリウムコンプレックス
スイス製シャブリン旋盤の純正指定として購入しています。自動車では高すぎて 通常はミネラル系リチウムグリスが使われます。 当ガレージのシャブリンも40年たっても何も問題なく最高速まで使えます。
簡単なブラスト後 タップ通し 純正なのにすこし曲がっているような
工場での工具交換前のタップだと 公差には入っていますが やや小さめ
長年の腐食で メネジが小さいことが多いので 組立前にはサラエが基本です。
オーナー様との相談で ハウジングの加工を行います。 座面を1mm下がるようボーリング
奥まって目視出来ないのでデジタルスケールで数値確認
その後 エンジンとの接合面 リフレッシュ
この様に 加工して あらゆる対応が出来るのが 当方の強みです。リビルト業者さんはオリジナルのまま組み上げるので この様な調整は不可能です。
座面が1mm下がりました シールを 冶具で圧入、純正パッキン併用
液体パッキン無しの古い個体では 時折 圧入部からオイル漏れがあります。
ボール盤で3600rpm 1分 シールを慣らして 異常が無いか確認 実車 7200rpm相当
上ローターのスプリングピンの位置調整
量産ではランダムに打ち込まれていますが 割のある方を シャフトに接しないようにセット
錆びた時に割の部分は弱い為 ローターにガタが出るのを防ぐためです。
この後発送
ご満足いただけて良かったです
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本日届きました。
早速MLを組み立てましたが回転もスムーズ異音も無し
嬉しくなりました。
コンパクトはラックを組んで設置してから可動させます。
ありがとうございました。
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ML-210のプーリー改修と EMCO社コンパクト8のチャック取り付けのご依頼がありました。
速やかに返送できるよう 事前にベアリングや 冶具の準備を進めておきます。
ネジを締めることでアーバーの径が少し大きくなる 内拡コレット
木工中心とのことですので 粉塵が入らないよう ベアリングは接触型ゴムシール
コンパクト8は チャック準備
木工中心とのことですので 4インチのスクロールを用意
この後 バックプレート材のFC材が送られてきます
オーナ様から 改修部品が届きました
ML-210 中間プーリが振動するとのこと 内径8mmが 8.42mmまで摩耗していました。
サンドペーパーなどの粉塵のせいかもしれません
前回作った冶具で プーリー保持 14mm超硬リーマーでベアリング座を両面から開けます。
このサイスで両面接触シールが国産にないので ここだけ輸入品です。
粉塵に対しても効果が期待できます。
回転センター 流石にベアリングも寿命のようですので 発注掛けます。
かなり粉塵が入ってますので 手前は接触ゴムシール、奥は金属シールで対応
センター部分のみ長い寸法で SK4材から加工
火入れ 仕上げ ハイスほど焼き入れ温度が高くないので 利用範囲は広いです。
振れは0.01レベル 木工用ですので これで完成。 金属用なら回転軸ベースで再研削となります。
バックプレート準備
送っていただいたチャック 本体と 爪はセットで 研磨仕上げされているので 爪を無くすと替えがありません。すべて番号8469でセットされています。
中古で爪無しを買う際は注意してください。
これでマスター冶具を作るので 細かなバリもスクレーパーやオイルストーンで取っておきます
FC材 粗どり 材は 御釈迦にした時を考慮して2枚準備 良い方を選択します。
請求は1枚分です
5インチに4インチのチャックを加えて テーパー合わせ 7度7分30秒
テーパと平面がギリギリ合うところを探していきます
本加工
下穴34φでドリリング このサイズは MT2にはないので MT3のテーパーをMT2に加工しています。コンパウンドスライドはそのままで バックでカット
短いテーパーですが 落ちません。最終的に半径方向のガタが無いことを確認して 穴あけ
0.125勾配のテーパーなので 端面の隙間が僅かな時は テーパー部分は ペーパー掛け程度で合わせます。 隙間0.04mmの時 テーパー面0.005mmとなります。
SONY DRO 分割機能で割り振り
メネジの強度を上げるためにヘリサートを併用 本来はユーザー様の旋盤での仕上げがベストですが
こちらのコンパクト8に取り付け勘合面仕上げ。 振れ0.04mmですので OKです ハンドル位置に0刻印を打っておきます。
チャックの初期清掃と ダウコーニング モリコート 44MA 二硫化モリブデン組立グリスで再組
輸入チャックは切り子 ネジゆるみが多いので確認です。
サービスでバイトの研磨 研いだ形跡が無いようです
この様に研いでいます
刃先の僅かに光っている部分のみオイルストーンで仕上げるだけです。
小さな再研磨は オイルストーンで、大きく再研磨の場合は 元のRに合わせて グラインダーで研ぎます。ハイスなので 常に冷却は必要です。オイルストーンはすぐ使えるよう 漬けています。
この後 発送となります。
本日届きましたので 分解していきます
通常の冶具を使った分解により ダメージ無しで作業
特に ベアリングを抜く際 最も注意が必要です 冶具が少しでも傾くと アウターレースに荷重がかかるので ベアリングが破壊されます。DIYでされる際は プーラーをベアリングにかけないよう注意してください。
乾燥化が完全に進み 油分が有りません。良いタイミングでした。あと1年は持ちません。
乾燥化したグリスを加熱すると バーニッシュ成分、不純物が残ります。
この様なバーニッシュが無いのがこのグリスのいい所です。
今回シャフト研磨後でもコンタクト溝が残りますので ハウジング加工で ずらすのがお勧めです。 リビルト屋さんは部品交換のみですので この様な細かな作業は不可能です。
一般的に シールを交換すれば何回でも使えるものでは無く すこしずらして 新しいジャーナル面にコンタクトさせなければなりませんので 同じオイルシールを入れ替えただけでは元には戻りません。カムシャフト等でも3回ぐらいしか動かせません。 その場合は ジャーナルにフェルールをかぶせるか 肉盛り溶接で 再研磨するしかありません。
こちらでは 症状に合わせて 軽微な場合は厚み違いシール、 今回の様に爪で溝が判るようなものは 旋盤による座面加工をお勧めしています。
本当に必要な部分は 高精度な機械加工、部品交換。流用しても問題ない部分はそのまま使います
パーツのSDGsと考えています。
DROを使いながら1mm奥へ座面を削り込んでいきます。
今回は5mm厚を使っています
5と6mm厚を用意して対応しています
現行の新品デスビでも 本体からのオイル漏れがあるようです
「【ビート】E07A改 バルタイ・バルブリフト調整、デスビ交換」mistbahnのブログ | mistbahn MOTOR WEB Blog - みんカラ (carview.co.jp)
一昨年から多発している、新品ディストリビュータ―のオイルが漏れの件のその後とお願い。 | イソマサオート 軽カー・スポーツカー・中古車・未使用車販売 茨城県水戸市 (isomasa.com)
上ローターの固定用スプリングピンの確認
ギザ部分が腐食しやすいので 錆の確認と ギザが軸と反対側に来るように打ち込みなおします。
純正はランダムに打ち込まれているようです。
組み上げ後 発送 ヘリカルギヤの 元のへこみ側に白ペイントを付けています。
巷で売られている リン青銅製のカバー?
ローターとの干渉が有りましたので 外して同梱します。デスビ内部で完全に固定できないものは外れた際にロックになりかねないので 注意してください。
これを被せるなら 新しいキャップにすることをお勧めします。
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