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2025年02月27日

道路交通法と法の伝統

みんカラは趣味用なので、マークXの事投稿してますが、法を学ぶ立場の人、たま~には法律家らしい事を書こうと思います。
例えばですが、制限速度50キロ、片側一車線の道路があったとします。
Aさんが歩きスマホしながら50キロで走行する自動車の直前で飛び出したことにより接触する事故が発生したとします。
この場合、過失割合はAさん3対自動車7辺りが相場となります。
もちろん、ここから色々な要素で修正されたり、裁判官によっては「歩きスマホなんてけしからん」とAさんを悪く評価する場合もあるので、ケースバイケースですが、大体7対3くらいが相場です。
まず、道路交通法17条1項では、歩行者は自動車の直前や直後を横断してはならないと規定していますから、この事故は飛び出したAさんが3割責任があります。
しかし、自動車の運転は他人に危害を加える恐れのある行為であって十分交通注意して運転しなければならないから、この場合においてはAさんが飛び出す事を予測し注意して走行すべきであったから責任の7割を自動車の運転手が負うというものです。
ただ、考えてみてほしいです。
例えば、駅のホームで歩きスマホして線路に落ちて列車と接触した場合、悪いのは列車の運転手ですか?鉄道会社ですか?
どう考えたって歩きスマホしてホームから落ちた人ですよね。
もちろん、ホームから落ちるといっても、体調不良や不注意等によるものもありますが、歩きスマホして周り見えず線路に落ちたなんて言語道断、どう考えたって線路に落ちた人が悪いですよね。
実際、人身事故が起きた場合、ほとんどの場合で非難されるのは接触した人であり、警笛鳴らしてなかったとか非常ブレーキかけてなかった等の事情がない限り運転手を「過失がない」「回避不可能」等と擁護する声が上がる事も多いように普通に考えて運転手が悪いということはないだろう。
でもおかしくないですか。
先ほどのAさんと自動車の場合、自動車は他人に危害を加える恐れのあるから十分注意しとありますが、そもそも列車の方が重くスピードも出すわけだから先ほどの原理で言えば「ホームドアの設置されていない駅に進入する場合、線路に人が落ちる事も予測した上でこれを回避しなければならず、接触した場合列車の運転手が責任を負わなければならない」ということになる。
もちろん、列車運転するに辺りホームドアの設置されていない駅は人が落ちてくるかもしれないから注意して運転すべきなのは言うまでもありませんが、限界はあります。
つまり、同様の事故が起きても自動車と人が接触した場合自動車が悪くなり列車と人であれば人が悪くなるということです。
もちろん、「線路は本来人がいない場所だから、列車の運転手に事故の責任を科すのは酷であるのに対し道路は人も自動車もいる場所である」「道路と線路じゃシチュエーションが違う」との指摘もあるが、それであれば道路交通法17条1項で飛び出しが禁止されているわけだから飛び出してくる歩行者は本来いないはずだし、道路と線路は交通という面で共通しており、適用される法規が道路交通法か鉄道営業法かという点で異なるが、これらの違いをもってもなお同様の事故が発生した場合に運転手の責任の割合が異なるという事について合理的な説明ができないという事をナナ猫は指摘しているのです。
しかも、列車の運転手は道路を走行するドライバーなんかよりもはるかに高い危機管理能力を持っている。
これらをもってもなお回避できない事故を道路を走行するドライバーが起こした場合全てドライバーの責任になる。
どう考えたって理不尽極まりない話である。 
これはなぜなのか。
ナナ猫が思うにこれは法の伝統が深く影響していると思う。
例えば、中学、高校の社会で憲法を学習する際に親を殺した場合に通常の殺人罪(刑法199条)の場合と異なり死刑又は無期懲役になると定めた旧刑法200条を最高裁が憲法14条を理由に無効としたケースを教わるだろう。
法の世界では、尊属殺重罰規定事件と言われている判例(昭和48年4月4日 刑集 第27巻3号265頁)であるが、そもそも親殺しを重く処罰するという発想も元を辿れば江戸時代の名前は忘れたが、何とかという法規に規定されているのを刑法にも規定され、昭和48年4月4日に違憲判決が出るまでずっと江戸時代の考え方に基づき判決が出されてたのである。
何が言いたいか。
今考えられてる法の通説や判例は結局元を辿ればかなり昔に出された判例や大昔にあった法律や慣習が元となってる事が多いのである。 
これを道路交通法に言えば、大昔は自動車は普及しておらず、道路はあぜ道や路地みたいな感じだった。
そんな所を歩行者が歩いてる中、一部の金持ちが自動車乗ってる。しかもぶつかれば怪我するのは歩行者。
自動車に多少無理言ってでも歩行者の保護を徹底させる必要があるというのは分かりますよね。
今で言う歩行者天国みたいな所を自動車が走ってるわけだから。
しかも、歩行者天国はコンクリートやタイルなどなのにこの時代の道路は舗装すらされてなかったりする。
自動車には何が何でも歩行者を怪我させてはならないというのは分かりますよね。
一方、鉄道が日本に伝わって、全国に線路が敷かれた際、それは非常に便利な交通手段となった。
運賃を払えば誰でも乗れて、そこまで高いわけでもない、早く楽に移動できる。
つまりこの時代で言えば鉄道は市民の足、自動車は金持ちの道楽である。
しかし、今は違う。
自動車が普及し、地域によっては車がないと生活できないようなところもある。
それに、Amazonが配達するのも自動車、その辺にあるお店の商品もほとんどがトラックで運んできてるわけだから。
コンビニに売ってるおにぎりは陳列棚まで転がってきますか?スーパーに売ってる洗剤が工場から歩いてスーパーまで来ますか?
そもそも食品にしろ日用品にしろ都会に工場建てる場所もなければ騒音とかの問題もあるから、結局工場は地方に建てられる訳であって、そこからお店までいろんな所経由して運ぶわけである。
何で運ぶのか?トラックである。
つまり、今の時代昔と違って車が贅沢品という訳でもなければ、道路もほとんどが舗装され綺麗になるどころか歩道や路側帯が整備されてきた。
昔とは時代が変わったのである。
だが、昔の「自動車は歩行者を何が何でも保護すべき」という考えは変わらない。
こういった事言ってる判例も調べれば新し目の判例だったりしますが、その判例の裁判官も判決するにあたり過去の判例を参照する、またその過去の判例に係る裁判官もそのまた過去の判例を参照する。
だから元を辿れば昔の自動車が普及してないような時代に辿り着くんですよね。
もちろん、最近少しずつこの風潮が変化してはいますが、恐らくずっとこのままでしょうね。
時代に合わせて社会は変化していってる、しかし、法は変わらない。
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Posted at 2025/04/23 11:59:18

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