リスクなくして栄光なしの話

当時、高校生活を半分を過ぎたあたりから

金晩、土晩の夜は走り屋等を見て楽しんでいたのだが
友達やバイトの関係上から先輩等も混じるようになってもう一つの夜を知ることになった

それはいわゆるナンパってやつで、昼間に街で声をかけるのではなく、夜に行動することだった

ゆっくり説明していくと当時、奈良は今みたいに観光の外国人や日本の旅行者の数はそんなに多くなく、夕方になると店のシャッターが閉まり閑散としていた

静かな奈良公園周辺なのだが夜になると、そこに若者が集まっていたのだ

爆音でアクセルベタ踏みするようなAT車が多く

初期のステップワゴンやオデッセイ、bbにS-MX、

ガンダムですか？と聞きたくなるようなバニングにVIP車等だ

ファブレスのエアロにディッシュホイールが印象的だ

彼らの目的はただ一つ、

女性だ

ここには男を求める二人組の女性が奈良公園周辺に車を横付けし待機していたのだ

女性の車はライフ等の軽自動車が多かった

この車に男二人組の車が横付けしナンパするシステムができあがっており、男車の列ができていた

成立すると、それぞれの助手席側の人間が入れ代わり

おのおので楽しい時間を過ごすというものだ

特に金、土曜日の夜はヤバかった

女性車が平日より多く、男車はめっちゃ並んでいた

ヤーさん等はいなかったように思うが変なチンピラにドカチン、ヤンキーがめっちゃ多かったのだ

特にドカチンが幅を利かせており、中には明らかに40〜50代のオッサンも混じっていた

そんな場所で俺は先輩とナンパするようになっていた

先輩とゆってもヤンキー臭のしない、面白く、ニタニタした、のび太君みたいなやつでこちらも気を使わず自分を出せた

俺は助手席だったので声掛け担当だ

先輩「よっしゃ！行くで、リスクなくして栄光なしや！！」

自分達の番になると「リスクなくして栄光なし」とよく多用していたから覚えている

最初はビビリながら

俺「なあなあお姉さん」

みたいな声掛けだったのだが場数が増えるにつれ、

「ボスジャン当たったんやけど見にけーへん？」

とかになり

「今日、どう？マジ上手いからほかのやつと比べて欲しいんやけど」

みたいな声掛けになっていった

楽しい時間も過ごすこともあったが、成立していなくなってしまうことがほとんどだったような気がする

特にめっちゃ並んで自分達の前で持帰りされるときは最悪だ〜〜〜〜

振り出しに戻るのだ〜〜〜

先輩「くそ〜っ！この◯ーメン便器どもがっ！」

と先輩の口は悪かった

この先輩だが、後にドカチンに絡まれ、前歯２本が差し歯になりナンパを引退するという結末を迎えている

俺は目をバキバキにしながら走って逃げたが靴は脱げ、5時間程度かけて歩いて帰宅した