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NDロドスタ乗りのブログ一覧

2022年05月12日 イイね!

NDロードスター 冷却系カスタマイズ画策の巻

実は今年に入って早々くらいの頃から。NDロードスターの冷却系に手を加えてみようと思い、色々と作業を行っていました。そもそものきっかけは、OBD2(故障診断等の為に使う)コネクター接続タイプの水温計を取り付けた事。水温がきちんと1度単位で表示されるようになった為、欲が出て油温も把握したいと思うようになったからです。
ですがNDロードスターのOBD2コネクターからは油温の情報は取れない為、当然ここに接続するタイプの簡易メーターは付けても無駄になります。そして油温等のセンサーを取り付けたアダプターを組み込み、配線処理を行うのであれば。どうせなら、一緒にオイルクーラーも取り付けてしまおうと考えました。

まずオイルクーラーとして、最も一般的なのは空冷式。冷却水を冷やすラジエターと同じように、冷却フィンの付いたオイルクーラーコアの中にオイルを流し。走行風や電動ファンの風などを当てて空気中に熱を放出します。
一番単純な仕組みだと、ただ熱いオイルを引き出して。オイルクーラーで冷却してそのまま戻したりしますが。これだと外気温の低い時などに、オイルを適温以下まで冷やしすぎてしまうオーバークールの可能性が出て来ます。そこで、これまた冷却水と同じようにサーモスタットを配管経路の途中に設置し。油温が適温以上に熱い時のみオイルクーラー側にオイルが流れるようにするのが一般的です。
なお、この配管に使われるメッシュホースの寿命は約10年くらいの模様。それを超えて使い続けると、ホースの途中などからオイル漏れを起こして走行不能になったり。最悪、火災の恐れもあるので。こまめな点検と寿命前の交換等が必要になります。

そして、もう一つの方法は水冷式です。ロードスター用として最も一般的なのは、NA型、NB型向けに『マルハモータース』さんが販売している製品でしょうか。
一般的に、普段の街乗りくらいの使用環境下では、油温は水温+10度くらいになるようエンジンは設計されているみたいです。ただ、冷却水にはラジエターという冷却装置が存在するのに対し。エンジンオイルは、エンジン内部を回りながら冷却水によって冷やされているのみ。スポーツ走行やサーキット走行等で高回転高負荷の環境下では、水温+10度を大きく超えて油温が120度以上まで上がったりもします。
しかし、仮にそれでも水温が95度くらいを維持出来ているのであれば。それはラジエターの冷却能力にまだ余力があるという事。そしてエンジンを出た直後の一番熱い状態の冷却水でも、まだエンジンオイルを冷却する事が可能な温度に留まっているという事です。
そこで、エンジンから出てラジエターに入るまでの間の配管に水冷式オイルクーラーを割り込ませ。そこでエンジンオイルを冷却した後、ラジエターへと流します。ここでの熱交換により、冷却水は熱い状態から更に加熱された上でラジエターに入りますが。冷却水の温度と外気温の温度差が広がれば、ラジエターの冷却能力も連動して一緒に向上する為。ラジエター通過後の冷却水の温度は、水冷式オイルクーラーによって加熱された分ほどは上昇せず。余分に熱を放出した上で、エンジンへと戻っていきます。冷却水の温度にはまだ余裕がある為、ラジエターから戻ってくる冷却水の温度が多少上昇しても、それを吸収する余地はあり。その若干のデメリットと引き換えに、エンジンオイルが冷却されて油温が適温に近づくのであれば。差し引きしたメリットは非常に大きくなります。

もう一つ、ND5RC型ロードスター専用の製品として。『R magic』さんの『RM オイルクーラー内蔵アルミラジエター』があります。これは分厚いレーシングラジエターの、サイドタンクの一部にオイルクーラーを内蔵した製品になります。以下は、商品紹介ページからの引用になります。

『サイドタンクに水冷オイルクーラを内蔵したラジエターです。
油温の厳しいNDロードスターにおススメです。
温度の高い物体と温度の低い物体を接触させると、必ず熱が高い物体から
低い物体へ移っていきます。これを熱伝導といいます。
水温と油温を比較すると、油温のほうが高くなることが殆どなので
オイルは水によって冷まされます。
また、物質の温まりやすさや冷めにくさを表す比熱は水が1、オイルは約0.5。
水はオイルと比較すると、温めるのも冷ますのも2倍の熱量が必要です。
( 水は温めにくく冷めにくい )
逆に同じ重さであれば、オイルは水に比べて倍のスピードで冷めていきます。
ラジエター内の水の容量はオイルクーラー内の容量の約25倍なので
水温は油温の影響をほとんど受けず、油温だけが下がるのです』

本格的な性能を持つ水冷式オイルクーラーは、とりあえず身近なところではこの2つでしょうか。それに対し、『CUSCO』さんが先代86及びBRZ向けに販売している水冷式オイルクーラーは、幾分簡易的な製品になります。
オイルクーラー本体は、純正のオイルブロックとオイルフィルターの間に挟み込んで装着する小型タイプのものとなっており。冷却水経路のアッパーホースとロアホースに、それぞれアダプターを割り込ませて。本流に比べてかなり細い支流の冷却水でエンジンオイルを冷却し、また本流へと戻っていく形になります。
製品としては安価であり、装着も難しくはありませんが。ただ『マルハモータース』さんの製品とは異なり『オイルとの熱交換で加熱された冷却水を、ラジエターを通さずにそのままエンジンへと戻してしまう』という基本構造となっている点に若干の不安を感じます。水冷式オイルクーラーを通る支流の流量は、本流と比べ圧倒的に少ない為。ロアホースへと戻されて混ざれば、ほぼ問題は無いのかもしれませんが。感覚的に、あまり気持ち良くはないですね。

と、ここまで考えてふと思いついたのが。サーモスタット無しの空冷式オイルクーラーで、まず油温を意図的に適温以下まで下げて。その後にCUSCO製の水冷式オイルクーラーを通してみるというのはどうだろうか?という案でした。
冷却水とエンジンオイルの間で熱交換を行うという構造上。水冷式オイルクーラーには、オイルの温度が水温より低い場合には暖めるという機能も備わっています。そしてオイルを温めるという事は、冷却水の側の温度が下がります。
つまりこの2つを組み合わせれば、空冷式オイルクーラーはいわば『油冷式追加ラジエター』としての機能も同時に担う事となり。水冷式オイルクーラーを通った側の冷却水も本流と同様に、きちんと冷やしてからロアホースへと戻してくれる訳です。

ただ、闇雲に空冷式と水冷式を組み合わせれば良いというものではありません。意図的にオーバークール状態に持ち込む以上。空冷式オイルクーラーが、およそ考え得る最高の環境下で最大限油温を下げたとしても、それをきちんと適温まで戻せる範囲に留めなければなりません。例えるなら『ライターの炎は、スプーン一杯の水を温めるには十分だけど。バケツ一杯の水を温めるには力不足。水の器の大きさは、火力に見合ったものでなければならない』といった感じです。
そこで着目したのは、オイルクーラーの冷却容量を示す数値でした。CUSCO製水冷式オイルクーラーの容量は、製品情報によれば4000Kcal。空冷式オイルクーラーの容量もこれとほぼ同じものにすれば、理論上は空冷式の側が目一杯冷やしたものを水冷側で再び冷やす前と同じくらいまで暖められるはず。まして元の温度と同じところまでではなく、適温まで暖めるだけであれば。きちんと余裕を持って適温に戻す事ができるはずだと考えました。
そんな事を考えていたところで、折良く中古のCUSCO製水冷式オイルクーラーがオークションに出品されているのを発見。無事確保する事が出来ました。そして空冷式オイルクーラーも、とりあえずセトラブ製の製品サイトをチェックしたところ、一番小さいサイズのものが、CUSCO製とほぼ同じ4200Kcalとなっており。ちょうどバランスが取れそうです。
そして、この2つをオイルクーラーとして使用した場合の性能はどうなるかを考えると。まず空冷式オイルクーラーの冷却能力で対応できる熱量の範囲では、前述の通りに空冷式のみで冷却が終わり。水冷式は、あくまでその後の油温を適温に保つのみとなります。そして負荷と熱量が上がり、空冷式オイルクーラーを通過してもまだ、油温が水温を上回るのであれば。ここでようやく、水冷式オイルクーラーがオイルの冷却を開始します。つまり冷却容量は、空冷式の4200Kcalと水冷式の4000Kcalを合計した8200Kcalとなり。CUSCO製水冷式オイルクーラーのもう1つの弱点である、簡易型ゆえの冷却容量の少なさもカバー出来ると思われます。

さて問題は、他車種向けの製品であるCUSCO製水冷式オイルクーラーがNDに装着出来るかどうかですが。現物を入手して検討した結果、十分に勝算はあると思われた為。試しに挑戦してみる事にしました。製品側を完全無加工で装着する方針で挑戦すれば、失敗したとしても再び中古部品として購入した時と同じくらいの価格で売却出来ますし。その場合はサーモスタットを追加購入して、単に空冷式オイルクーラーのみ取り付ければ済む事です。

そんな感じで、埼玉方面の調査と並行してずっと作業を行っていましたが。最近、ようやく完成の目処が立ちました。現在、部品の装着は既に完了し。オイルラインもウォーターラインも完成して、NDは問題なく走行可能な状態。油温計などはまだ装着していない為、そちらの温度はまだ不明ですが。水温側は90度前後で安定しており。恐らく装着による悪影響は出ていないものと思われます。

・・・が。狭いガレージ内でずっと作業を進めていた為、運転席側側面のウインカー付近とリヤ側のトランク上部に小傷が付いてしまい。それを綺麗にしようと薄く市販スプレー塗料のクリアーを吹き、1000番の耐水ペーパーで水研ぎをしたところ。NDの塗装がMR-S辺りの頃のものと比べ圧倒的に薄く、また1000番ペーパーの研磨力が予想以上に強かった為、ちょっと目立つ外観となってしまいました。
いずれは予算をきちんと組んで、しっかり塗装屋さんに塗り直してもらう予定ですが。それまでのつなぎとして、現在市販スプレー塗料で手直しを試みています。基本的には晴れていれば塗装、雨ならばメーター装着等の作業を進める方針で、全ての作業終了目標は5月末を目指しています。

全ての作業が完了したら、ブログに作業の内容をまとめて載せる予定ですが。ちょっと先出しとして、ツイッターにて『P5-VP(RS)』というアカウントを立ち上げ。細々とした画像や文章を投稿したりしていました。
また、整備手帳の方も暇を見て。作業内容を載せて行こうと思っています。
オーバーワークにならないよう、適度に休みを入れたりしつつ作業を進めておりますので。ご報告まで、もう少々お待ち頂ければと思います。









Posted at 2022/05/12 21:36:44 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2022年04月26日 イイね!

完璧な回答の巻

以前とある方のツイッターにて、『理系の人が研究室や実験、といいますが、そこらの学生がやる意味があるんですか?二流三流大学の研究とは、すでに発表されていることの単なる確認やトレースではないのですか?』という質問に対する完璧な回答を見た、というコメントが書かれていました。興味を引かれて、紹介されていたページを覗いてみたところ。確かに完璧としか言いようのない、見事な回答が寄せられていました。
私も、文章を書くのは嫌いではないのですが。ここまで高度な知識を理路整然と並べて。しかも無駄なく簡潔に、分かりやすく説明できる力量はありません。
正直、心底感嘆させられたコメントでした。世の中、すごい方がいるものですね。

https://jp.quora.com/%E7%90%86%E7%B3%BB%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%8C%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%AE%A4%E3%82%84%E5%AE%9F%E9%A8%93-%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%8C-%E3%81%9D%E3%81%93%E3%82%89%E3%81%AE%E5%AD%A6%E7%94%9F/answers/272581130?ch=2&oid=272581130&srid=tX0tg&target_type=answer
Posted at 2022/04/26 08:23:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年04月25日 イイね!

個人的調査活動の巻

私自身は元より。身内や周囲の知人等とも、全く関係の無い件ではありましたが。2月頃から個人的に、埼玉にて以前営業していた三菱系チューニングショップ『ECI TURBO プロショップシリウス』に対する調査活動を行っていました。
事の始まりはネット上の『web option』が公開した『「被害者は20人以上か!?」名門の皮を被った悪徳チューニングショップの闇を追った』を読んだ事です。
記事の内容としては、簡単にまとめるとこんな感じでした。

・埼玉県の、オールド三菱を得意とする某チューニングショップに、愛車を預けたらいつまで経っても仕上がらない。
・その後店主とコンタクトが取りづらくなり、自分の車の姿も消えて。尋ねてみても、車の所在を教えてもらえない。
・SNSで情報収集をしてみたら、同様の状況で困っている三菱車オーナーが多数存在する事が判明。同時に愛車が、ショップから近い河原の駐車場に放置されている事も分かった。
・警察に被害届を出した方や、車両返還と損害賠償を求める民事訴訟を起こした方など。被害者はざっと20人以上。
・どうにか車は取り戻せたが。保管状態が悪かった為、外装の状態は大幅に悪化。身に覚えのない傷やへこみも散見され、修理箇所も手つかず。もちろん、最初に支払った修理費は帰ってこない。
・2番目のユーザーは、警察に行ったところ。『おたくが納得してクルマを預けたんだから事件化はできない』と相手にされず。
・3番目のユーザーは、同様にいつまでもクルマを返してもらえず。かなり経ってからショップを訪れて愛車を確認したところ、店主から『終わった』と説明を受けていた箇所も含めて全く手つかずである事が判明。民事訴訟を起こしてみたが。店の口座残金が119円しか無く強制執行もできない状況。
・4番目のユーザーは、諸々の被害について警察に相談したが。『電話が繋がる時点で詐欺には当たらない』と言われたとの事。
・雑誌の取材で、オーナーと共にホームページに記載されている店舗所在地に行ってみたところもぬけの空。その後の調べで、ショップは2021年10月に店舗を同一県内へ密かに移転させていた事が判明。なおそちらも、日を改めて訪れたがシャッターは閉ざされた状態。
・某ショップは2カ所の駐車場に入庫車両を保管しているが。どちらも保管とは名ばかりの野ざらし状態で、年単位で放置されたからかどれも劣化が激しい。
2つめの駐車場では、車の周りに深い穴が掘られているが。これは賃料を滞納された地主が、車を持ち逃げされないように行ったもの。
・刑法235条により。ショップに預けた車を、自分の愛車だからと許可無く持ち帰る行為は違法となる。
・店主はそれを匂わせる発言を度々しており、その為に被害者達は愛車を取り戻せずにいる。
・記事の編集部は、店主のSNS裏アカウント(ゲームアカウント)を特定しており。そこには2022年1月時点でオンラインゲームに熱中する様子が更新されている。

とまあ、簡単にまとめただけでこんな感じです。記事を読んだ感想は、腹が立ったなんていうものではないですね。端的に表現するならば『フルパワー、100%中の100%』の怒りに点火した感じでしょうか。
とはいえその怒りは、あくまで記事からもたらされた情報のみによって引き起こされたもの。単一の情報源のみに頼り、入ってきた情報を全て鵜呑みにしてしまうと思考や判断を誤る事があります。そこでこの件に関してはなるべく多くの情報を集め、まずは記事の内容が事実であるか否かを自分なりに納得いくまで検証してみようと考えました。私は東京都在住で、埼玉は余裕で行動圏内なので。感染予防対策にはしっかり気をつけつつ、ネット以外にも自分の足で情報収集を行ってみます。
その為にも、まずはネットで基本的な情報を下調べ。程なく記事内の某ショップが『ECI TURBO プロショップシリウス』である事が判明。その現在のホームページと、かつての旧ホームページを確認。店主らしい人物のツイッターも発見。更に店主と思われる人物の、無編集の顔写真なども見つかったので保存しました。
そうして調べてみると。『web option』の記事が掲載された直後辺りから、ネット上の店舗情報が閉業に変わったりして。件の記事を読んだ店主が逃げに入った様子が窺えました。なお、ショップのホームページに載っていた旧住所の店舗物件は、新たな入居者を募集中である事も不動産サイトで確認しました。

さて、ここまでの情報を得た上でどう動くかですが。一般的な手段で考えると、民間人が会社の情報を取得するにはその会社の登記簿を取得するのが早道ですね。という訳で、まずは会社登記簿の取得方法を確認。
で、さっそく行動に移したのですが・・・そこでいきなり勘違いをして、霞ヶ関の法務省へ向かってしまい。周辺を見て回ってもそれらしい受付窓口への入り口が見当たらなかったので、入り口の守衛さんに尋ねてみたところ。「ここではないですね」と、九段下の法務局の案内図を渡されるという些細なミスが発生。で、少しばかりロスをして法務局に無事到着。意気込んで登記簿の取得を申し込んだのですが、結果は該当情報無し。どうやら法人としての名称は、ホームページに載っているショップ名とは異なっている様子で。情報取得の為には、その正式な法人名もしくは法人番号が必要との事でした。

ならば法人名や法人番号を調べる為にはどうするか?そこで着目したのが『古物商許可第431050011464号』の情報でした。この番号は新ホームページと旧ホームページのどちらでも同じ。つまり、以前まだまともに仕事をしていた頃から公開していた番号であり。もしかしたら、まだ将来これらの行為に及ぼうとは考えていなかった頃に登録していたものである可能性があるので。そこに付け入る隙があるのでは?と考えました。
そこで埼玉県公安委員会のサイトを見てみたところ、『許可を受けた古物商の業者一覧』であ行~わ行までのリストが見つかったので。まずはさ行のリストを全て確認。それで見つからなかった為、あ行~わ行まで全てのリストを複数回確認。それでも許可番号、代表者名のどちらでも見つからなかったので。全てのリストを地道にワープロソフトにコピペしていった上で、文字列検索機能を使ってみても、やはり該当情報は引っかかりません。あるいは他の都道府県に?とも一瞬思いましたが。頭が43から始まるのは、やはり埼玉県の番号の模様です。
ここで、ホームページに公開している許可番号は架空のものである可能性が浮上。そこで埼玉県公安委員会に電話をかけて、件の番号が実在するか否かを質問してみたところ。ひとまず実在する番号である事は判明しました。しかしそれ以上の情報は電話では明かせないので、情報開示請求の手続きが必要との事。
なので早速、車で埼玉県公安委員会を訪れて、事情を説明した上で情報開示請求手続きを行い、その日は帰宅。後日、請求の審査が通ったとの通知が来た為。書面に記載された通りに現金10円と郵送用の切手1枚を現金書留で埼玉県公安委員会宛に送付。程なく、開示された情報が手元に届きました。
そうして再度、九段下の法務局を訪れて会社登記簿の取得を申請。しかし今度も、やはり目的の法人情報は見つかりませんでした。開示された用紙を窓口の方に渡したりして調べて頂きましたが。そこに書かれていたのは、『有限会社』も『株式会社』も付かない『シリウス』の文字だけであり。この情報では見つからない。代表者名や記載住所等では検索できないという話でした。
それで、再度埼玉県公安委員会を訪れて。この情報では会社の登記簿が取得できなかった事を説明し。追加の情報開示を依頼してみましたが。調べて頂いた結果、この古物商許可番号は法人ではなく個人で申請されており。これ以上の情報は、この番号からは調べられないという結論になりました。

公安委員会を後にした私が、次に向かったのは埼玉地裁。記事では、ショップに対して複数の訴訟が起こされていると書かれていたので。ショップもしくは代表者に対しどのような訴訟が起こされ、検察側と弁護側がそれぞれ大まかにどのような主張を行い、どのような判決が下ったのか。個人情報等は黒塗りで良いし、内容も大まかなもので構わないので。とにかく起こされた全ての裁判の概要を知る事ができないか?と、窓口で質問してみました。
しかし残念ながら、それは不可能との事。○年△月□日の第×××××号裁判という具合に、きちんとどの裁判なのかを特定した上で。原告名と被告名の双方も知っていなければ、裁判内容を知る事は無理。また、行われた裁判の一覧表なども無い為。リストの中から自力で裁判を探す事もできそうにありません。

と、ここまでの調査結果に至るまでの途中で。3月に『ベストカーweb』が『今度は新潟のアメ車ショップが夫婦で夜逃げ・・・多発する「クルマ屋の夜逃げ」発生の理由と腹立たしい事情』という記事を掲載しました。こちらは『カスタムショップホープ』という店で、ざっと被害総額は5000万円以上、被害者数は30名以上。そして警察に相談しても被害届は受理されず、刑事事件として扱われた例もまだ無いとの事。そして記事内では『シリウス』と長野の『デュミナスレーシング』の件にも触れられていました。なお長野の件に関しては、きちんと警察が動いている模様なので。問題は先の2件ですね。

個人的な調査で行き詰まった事と、看過できない案件が1件から2件に増えた事で。これはもう、捜査を求める陳情書を書くしか無いかな?という結論に達し。2つのショップに対する捜査開始を願う文章を書いてみようと決断。とはいえ、埼玉県警や新潟県警宛にそうした陳情書を提出してみたところで。これらの案件に対し全く関係の無いよそ者から届いた文章に対し、まともに取り合って頂けるとも思えません。ならばやはり、地元である東京の警視庁と警察庁宛に提出する方が良さそうですね。なお、とりあえず頭の中で考えてみた文章の内容はこんな感じです。

・このところ。自動車のカスタムを請け負うショップが、悪質な行為に及ぶケースが多発している。今年に入ってからニュースになったのは『ECI TURBO プロショップシリウス』『カスタムショップホープ』『デュミナスレーシング』など。
・そのニュース記事とは『web option』の『「被害者は20人以上か!?」名門の皮を被った悪徳チューニングショップの闇を追った』と、『ベストカーweb』の『今度は新潟のアメ車ショップが夫婦で夜逃げ・・・多発する「クルマ屋の夜逃げ」発生の理由と腹立たしい事情』。
・記事の内容によれば、少なくとも『ECI TURBO プロショップシリウス』と『カスタムショップホープ』共に、埼玉県警と新潟県警は被害者からの訴えを冷たくあしらっている。そのうえ刑法においても、不正行為を行っているショップ側に優位なのが現状である。長野県警がきちんと動いてくれている事が書かれていたのは救いではあるが。全体的には、警察組織に対し悪印象な内容となっている。
・そうした状況を伝える記事が、異なる2つの媒体から相次いでネット上に公開された。恐らくどちらも多くの人々の目に触れており。読んだ人々の多くは、強い怒りを覚えると思われる。そしてその怒りはショップ側だけでなく、被害者の訴えに対しまともに取り合っていない警察側にも向く可能性が考えられる。
・複数の地方警察組織が、そして司法の判断までもが、こうした被害者からの訴えに対し耳を貸そうとしていない現状がニュース記事となり。『警察とは、法の世界とは、結局のところそうした存在だ。明確な犯罪を見過ごし、被害者の立場に寄り添おうという気持ちすら持っていないお役所仕事をこなしているだけの組織だ』という印象を読者は受けている可能性がある。
・仮にそうなっているならば。そうした認識が広まっていくのをこのまま放置し続けるのは得策ではない。『警察とは犯罪を取り締まる組織』という世間からの信頼が失われてしまえば、正義感に燃える若者はもう警察官を目指そうとは考えなくなる。警察の職務は民間の仕事と比較して厳しく、単なる損得勘定で職を求めるのであれば警察官を志す者はそれほど多くないと考えられる。警察官のなり手が、質・量のどちらにおいても現状より悪化していくならば。それは長期的に見れば、警察組織の衰退に繋がりかねない。
・そうした未来図を回避する最善の手段は、警察組織が一丸となって全国規模での捜査に乗り出す事である。まず埼玉の『ECI TURBO プロショップシリウス』は、かつて三菱系旧車の駆け込み寺としてディーラーからも勧められるショップだった過去がある。そして三菱車ユーザーが全国に存在する以上。まだ明らかになっていない被害者も、全国に散らばっている可能性は否定できない。
新潟の『カスタムショップホープ』に関しては。これほどの被害額を出した上で夜逃げした以上、新潟県内に未だ身を潜めている可能性は少ない。他の都道府県、恐らくは身を潜めやすい離れた地方などに逃走した可能性の方が高い。新潟県警が被害届も受理せず、刑事事件としての捜査も行っていないのは。恐らく既に、県警としての管轄外の案件という認識でいるからではないかと推測される。
・これらの事案が、埼玉県、新潟県の内に収まらないほど事が大きくなってしまった以上。少なくともこの2つの件の捜査に関しては、全国レベルでの捜査が必要との認識で臨むべきだと考えられる。
・特に埼玉の『ECI TURBO プロショップシリウス』は、密かに県内に移転したと記事にはあるが。公式ホームページ上にはそうした通知は載せられておらず。ショップを検索しても閉業となっている為、現実には存続していない可能性も考えられる。仮に廃業したのであれば、刑法上での預けられた車を占有する権利も消滅している事になり。捜査の上で、適切に被害者へと車が返還される事が望まれる。

とまあ。こんな感じの内容の陳情書を、東京に所在地がある警察庁及び警視庁の、こうした陳情を受け付けて頂けそうな部署に提出してみようかな?と考えたりしていました。
時期については、仮に3月中に郵送した場合。年度内に処理できず、かつ重要でない内容のものは処分されてしまう可能性が頭に浮かび。4月に入ってからは、3回目の新型コロナワクチン接種があったり。別途同時進行で進めているロードスターのカスタマイズにも手間と時間を割く必要があったりした為。新年度開始に伴う業務も一段落するであろうゴールデンウィーク明けを狙って、陳情書を書いてみる考えでした。
が、4月15日になって。『web option』が『「動き出した警察と被害者の会」悪徳チューニングショップの闇を追う~続報~』という記事を公開しました。
内容としては、被害者の会と弁護士が駐車場の地主と交渉し、車の回収が進んでいる事。警察も、ひとまず刑事事件として捜査を始めた事が書かれていました。
これだけ進展があったのであれば。埼玉の件に関しては、陳情書を書く必要は無さそうですね。つまり、残すは新潟の『カスタムショップホープ』のみ。こちらに関してはまだ全く調べていないので、現時点では陳情書を書ける段階にはありません。
でもまあ私は、ロードスター乗りの例に漏れず体内の距離計が壊れており。過去には本州の青森から、四国はもちろん九州の鹿児島まで車で訪れた事もあるので。一般の方々よりは、フットワークは割と軽い方ですね。
ちょっとこれから、公私共に忙しい時期に入るので。時間はかかるかと思いますが、新潟の件も放置はせず。自分なりに調べてみようと考えています。
Posted at 2022/04/25 05:10:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2022年02月02日 イイね!

NDロードスター 教習車デビューの巻

新型コロナ発生後、ずっと会えずにいた年下の親戚の子と、今年に入ってからようやく会う事ができました。以前会った時はまだ運転免許取得前で、ロードスターの隣に乗せてドライブに行ったりした事もありましたが。久しぶりに会ってみたら、もう免許を取得していて。自分の車も中古車を購入していて、今はドリフト競技に挑戦中で。車の仕様も当然ドリフト向けにカスタマイズしており、サーキットにもよく通っているとの事。うむぅ・・・しばらく見ない間に、ものすごく成長しているじゃん・・・。
それほど運転に慣れて上達しているのであれば、ぜひ自分のNDロードスターを運転してもらって、感想を聞かせて欲しいかな?という事で、キーを渡してハンドルを握ってもらい。これまでに2回ほどドライブに出かけてきました。
そしてその子が運転してみた感想は、とても楽しいというもの。最初はハンドリングがクイックでシビアだと感じたらしいのですが。それは高速道路走行時、まるで公道でレースでもしているかのような、血気盛んで攻撃的な走り方をしていたから。ちょっと横から口を出して、後ろから来る車に道を譲らせたりして、私が好む時速80km~100kmでの巡航をさせてみたら。これくらいで走ると、すごくフィーリングが良いとの事でした。
NDは、ギヤを6速に入れてそれくらいの速度で走ると、非常に私好みのエンジンフィーリングになります。そしてフロントに『ニーレックス』さんのナックルサポート一式を組んだ状態で、今のボディ剛性にノーマル足の組み合わせだと、ステアリングフィールも文句なしです。確かに新東名の120km区間でそこまで速度を上げると、多少シビアになりますが。普段100kmくらいの速度で走って十分に車に馴染んでいれば、そこから速度を上げても乗りこなせるかな、という感じですね。
で、他の感想も色々と聞いてみると。『車のコンディションとしては、とても10万km以上走っている車とは思えないくらい、どこにも衰えが感じられないけれど。ただ、ブレーキを踏んだ感じがちょっと・・・。もしかして、焼き入れしていないですか?』と言われました。
・・・はい、確かにそれはあります。サーキット向けのブレーキパッドと違い、ストリート用ブレーキパッドは焼き入れは必要ありませんが。代わりに約1000kmほど走ってブレーキローター表面に皮膜を形成しなければ、本来の制動力は発揮されません。私のNDはブレーキパッドとローターを新品に交換して以降、まだそれほどの距離は走っていないので。パッドとローターの擦り合わせも、皮膜の形成も完全には終わっていないかもしれません。
とはいえ、オーナーの私が気にならなくなる程度には既に馴染ませてあった訳で。そこに気付くとは、なかなか身体のセンサーが鋭いな、と思いました。

で。いい年をした中年の大人が若者と一緒にいると、大人なりのアドバイスもしたくなる訳です。とりあえず先日語ってみたのは、漫画『湾岸ミッドナイト』に出てくる『無駄を省き効率を求めたものからは、必ず何かが消えていく』という言葉でした。
具体的な例を挙げてみると。例えば全ての無駄を省いた一番効率的な名古屋旅行は、車に乗って高速で愛知県まで走り。名古屋市に入った辺りで降りて折り返して、そのまま帰ってくる事です。宿泊や観光は、無駄なので省きます。寄り道は、基本的に高速でのトイレ休憩のみ。これだと、確かに一番無駄がなくて効率的な旅行になりますね。でもこれ、実際にやってみて楽しいと思いますか?
楽しくないと思うのであれば、つまり無駄な事を追加する必要があるという事ですね。そんな時に頼るべきは、カーナビではなくガイドブックです。名古屋まで来たついでに行ってみたいところ、してみたい事。あれこれ選んで追加していくほど、旅行は無駄が増えて非効率になっていきますが。代わりに楽しくなります。
これは人生についても、似たような事が言えると思いませんか。もし今、生きていて楽しくない。何だか敷かれたレールの上を走っているだけのような気がすると感じたならば。それはカーナビが指示するような、無駄を省いた効率的な道をただ歩いているだけという事。それは、レールに乗せられている感があるのも当然ですね。であるなら、ここはガイドブックの出番です。
今歩んでいる道の途中では、どんな寄り道ができそうか?目的地の周辺には、どんな名所や観光地があるのか?ちょっと調べてみて、無理のない範囲で実行に移してみれば。案外今の路線でも色々楽しめて、違う景色が見られるかもしれませんよ?

それからもう1つ、選択肢は必ずしも二者択一ではないとも伝えました。例えば、ずっと追いかけてきた夢がある。でも成長すると、その道を本職として選んだ上で食べていくのは相当厳しいという現実が見えてくる。ならばどうするか?
大抵の人はここで、夢を追い続けるか諦めるか、2つに1つと思ってしまいます。でも実は、それ以外の選択肢もあります。
それは夢の仕事を本職にするのは難しいと認め。『兼業可』となっている会社に就職して、まずはそこで生活費等を稼ぐ。その上で、副業の方で夢を追いかけてみるという道ですね。本業できちんと必要なお金を稼げていれば、副業の方は別に儲からなくても何とかなる訳で。損失が出なければ良いくらいの力配分で、より理想を追求する事も可能になるはずです。
もちろん、この道を歩むのは大変です。兼業を許してくれている会社も、それはあくまで自分のところの仕事をきちんとこなした上での話であり。『副業をしても良いとは言ったけれど、副業のやり過ぎで体調を崩しても良いとは言っていない』訳です。他に副業で収入が発生したなら、もう会社の経理に納税処理を全て一任する事はできず。確定申告も自分でやる必要があります。
『湾岸ミッドナイト』用語で言うなら『好きに生きると、好きなことをして生きるは全然違う』という感じですね。好きに生きるは、ただその時々の状況で楽な方へ流れていくだけ。一方の好きな事をして生きるというのは、つまりはこういう事です。非常に大変な生き方ではありますが、それでも夢は諦めずに済みます。『二兎を追う者は一兎も得ず』ということわざがありますが。でも一方で『二兎を得る事ができるのは、二兎を追った者だけ』であるのも事実です。
いずれそういう時期が訪れた時、あの子がどんな道を選ぶのか。余計な口出しはしないようにしますが、もし助言を求められたならなるべく最善の回答をしてあげるようにして。適度な距離から見守ってあげたいと思っています。

と。ここまで書いた感じでは、私が一方的にしてあげているだけのように思われるかも知れませんが。実は私の方でも、しっかり見返りは受け取っています。ただそれが、金銭的なものではないというだけですね。
私が育った環境では、家族等は全員オートマ派であり。MT車を運転したいという気持ちや、スポーツカーへの憧れ。車のカスタマイズやチューニングをしてみたいという思いを理解してもらえる相手はほとんどいませんでした。それでもマニュアル免許を取り。最初は中古のMT車を手に入れて、その後もずっとMT車ばかりを乗り継ぎ。見よう見まねで地道に少しずつ知識と技術を身に付けて、実際にその道を歩んでみせる事で周囲に認めさせて来ました。
大人になってからは、思いがけず知り合った自動車整備工場の方と親しく交流するようになり。MT車の楽しさやスポーツカーの魅力、カスタマイズやチューニングの話題などを語り合えるようになりましたが。一方で自分と同じ世界が見えている、自分が価値があると思ったものを同じように見てもらえる相手は、その1人しか居なかったのも事実です。
そこへあの子が加わってきてくれて。私がこれまで乗り続け、各部に手を入れてきて、ほぼ全ての面において満足できる状態まで仕上げた。このNDロードスターへの評価が私自身への評価だと思ってもらってもいいというくらいの位置付けの車に乗ってもらって、きちんと認めてもらえた訳ですから。車好きにとっては、いわゆる冥利に尽きるという感じですね。
更に助手席に座って彼に運転してもらう事で、自分の車が普段とは異なる音やフィーリングを発し、違う動きをする。角度を変えて別の方向から見るように、自分のNDロードスターが知らなかった新しい表情を見せる。そうした新鮮な体験ができるのは、非常に嬉しいし楽しいです。
この先も、できれば月に1回くらいは機会を作ってあの子に運転してもらい。私のNDをより深く理解して、乗りこなしていってもらいたいなと思っています。
Posted at 2022/02/02 03:26:31 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2022年01月27日 イイね!

時にはデジカメの話を・・・の巻

ちょっと今回は気分を変えて、もう1つの趣味であるカメラ関係の文章を書いてみようと思いました。車とは全く関係ないジャンルですので。こちらの分野に興味のない方達はスルーして頂ければと思います。

今に続く、キヤノンVSニコンのフルサイズ一眼レフ対決。少なくとも写真のプロではない一般ユーザー向けの製品としては、2005年8月にキヤノンが発売した初代5Dが競争の皮切りになります。

・・・この『フルサイズ』とは何を意味するのかというと。旧来の35mm銀塩カメラのフィルムの撮影サイズと同じ大きさのイメージセンサー(レンズから入ってきた光を色の信号へと変換し、デジタルデータに変換する電子部品)を搭載しているという事です。その最大のメリットは、銀塩フィルムの一眼レフカメラ用に設計されたレンズを、そのままの性能と使い勝手でデジタル一眼レフでも使用できるという点です。
5D以前のデジタル一眼レフは、フルサイズよりも1サイズ小さいAPS-Cという規格のイメージセンサーを使っていました。フルサイズ向けレンズの光をそれよりも小さいセンサーに当てると、入ってきた映像の中心をセンサーのサイズで切り取って画像化する事になります。その結果、フルサイズのセンサーでより画角の大きなレンズを用いて撮影するのと同じような写真になってしまう訳です。
この画角とは、写真に写っている範囲を示す角度の事です。人の肉眼で見た景色とほぼ同じと言われているのが、焦点距離50mmレンズの画角。なので28mmや35mmレンズで撮影すると、肉眼で見えるよりも広い範囲が写真に写ります。50mmより大きな数字、例えば100mm、200mmだと、目に映る景色の中の狭い部分を拡大した写真になるという事です。
一般的にフルサイズ用レンズをAPS-Cのセンサーで使用すると、焦点距離は1.5倍(キヤノンは1.6倍)となります。なので40mmレンズは、フルサイズに換算すると60mm相当。300mmレンズは450mm相当のレンズを使って撮影した時に近い結果になります。
ならば、センサーサイズは小さい方が遠くまで映せて良いのでは?という疑問が出てくるかと思われますが。センサーが大きくなるという事は、同じ画素数であれば1画素当たりの面積を広くできる=より暗い場所でも、より綺麗に撮影できるようになります。また、銀塩フィルム一眼レフで使われていた『ボケ』という表現方法も同じ感覚で使えるようになります。
ボケとは何か?を説明すると、例えば携帯のカメラで写した写真などは通常、画面全体に均一にピントが合って。端から端まで同じようにくっきり映っている感じかと思われます。
一方、フルサイズ一眼レフで写真を撮ると。カメラ任せの自動設定で撮影した場合、基本的に主役としてピントを合わせた対象物は鮮明に写り。その前後にあるものは、対象物と距離が離れるほどぼやけていきます。その結果、写真の中で主役と脇役が明確になり。主役として選んだ対象物を引き立てる事ができます。
フルサイズセンサーのカメラだと、このボケ表現がAPS-C等の小さいセンサーのカメラよりもより強く出せるようになります。もちろん『絞り』という設定を変えれば、全体にピントが合った状態にする事も簡単。この表現幅の広さが、フルサイズの楽しみの一つですね。

さて、話を元に戻しますが。初代5Dの性能はこんな感じでした。有効画素数1280万画素。フォーカスポイント9点。連写速度は3枚/秒。シャッタースピード1/8000-30秒。連写速度やレスポンスは遅めでしたが、画質は非常に優れていたカメラだったという事です。

そして5Dに遅れること3年。2008年7月に、ニコンもフルサイズ市場に参戦してきます。それまでニコンは、プロ向けの最高級デジタル一眼レフにもAPS-Cセンサーを使っていましたが。まずプロ向けのD3にフルサイズセンサーを採用。続けて、それまで一般ユーザー向けでは最高峰だったD300(APS-Cセンサー)とほぼ同じサイズのボディに、D3と同じイメージセンサーとオートフォーカスセンサー、シャッターユニットを組み込み。その性能は、画素数1210万画素。フォーカスポイント51点。連写速度は5枚/秒(後付けのバッテリーグリップを装着すれば8枚/秒)、シャッタースピード1/8000-30秒といった具合で、プロ向けの最高級カメラとほぼ同等の性能を一般ユーザー向け製品の世界に持ち込んできてしまいました。
特筆すべきは、会社は違えども初代5Dより3年分進化したイメージセンサー製造技術で、初代5Dとほぼ同じ画素数のセンサーを作った事です。それが何を意味するかというと。センサーの感度をISO6400まで上げても、充分に鑑賞に耐えられる品質の写真が撮れるようになったという事です。具体的には、月明かり程度しかない薄暗い環境で、三脚を使わずに手持ちで撮影しても、ほとんどブレずノイズも大して気にならない写真を撮る事も可能です。
オートフォーカスが対応しているのは-1EV程度の暗さの為、ピントは手動で合わせる必要がある場合もありますが。写真は、きちんと撮る事ができます。
ただし画質に関しては、同じ明るい環境で撮影すれば、初代5Dの方が優れていたとも聞きますので。風景は初代5D、動く対象物や夜景の撮影などではD700に軍配が上がる感じでしょうか?

D700と同じ年の2008年11月に、キヤノンが後継機の5D MarkⅡを発売。画素数2110万画素。フォーカスポイント9点。連写速度3.9枚/秒。シャッタースピード1/8000-30秒。初の動画撮影機能搭載、というのが主要なスペックです。
ただ発売後、一部の層から『画質は既に充分綺麗だったのだから、別に画素数は上げなくても良かった。それよりもオートフォーカスの性能向上、連写速度の向上、レスポンスの向上に取り組んで欲しかった』といった声も出た模様です。
世間一般では、画素数が高い=高画質と考える方々が多いかと思われますが。必ずしもそうではありません。画素とは、例えるならば砂絵の砂1粒であり。同じ大きさのセンサーに何粒の砂を置くか?という事です。砂粒の数が少なければ、1粒当たりのサイズが大きくなる感じですね。
砂粒のサイズが小さく、数が多ければ。より大きく写真を引き伸ばしても、砂粒の粗は目立ちにくいです。砂粒のサイズが大きければ、写真を引き伸ばした時に粗が見えやすくなります。つまり画素数の多さは、写真を大きく引き伸ばした時に差が出て来ます。引き延ばさなければその差は無いか、むしろ大きな砂粒の方が色調をより豊かに表現でき、綺麗に見える場合もあります。
なお普段一番多く手に取っているL判サイズの写真で、フィルムカメラの画質にデジカメが追い付いたのは300万画素くらいの頃との事。なので一般ユーザーとしては大抵の場合、当時の1200万画素は十分過ぎる画質でした。
少なくとも当時のイメージセンサーの性能では、フルサイズで2000万画素の大台を達成するには連写速度や高感度耐性を犠牲にする必要があり。その部分の性能向上に期待していたキヤノンユーザーの方達は落胆する結果となったようです。

そして、同じ2008年に出た5D MarkⅡとD700は、その後のキヤノンとニコンの方向性を大きく変えるターニングポイントとなった模様です。というのも、どうやら両社共に自社の製品は失敗作で、相手の製品が成功作に思えてしまったらしく。この次の世代の製品では、キヤノンは画素数を抑えた万能型志向、ニコンは高画素追求志向といった感じで、両社の開発の方向性が正反対に入れ替わってしまったからです。

まず2012年3月に発売されたキヤノンの5D MarkⅢは、有効画素数2230万画素。フォーカスポイントは、プロ向けの最上位機種である1DXと同一の61点。連写速度6枚/秒。シャッタースピード1/8000-30秒。画素数はわずかしか増やさず、レスポンスを向上。暗所でのオートフォーカスも-2EVまで対応し、ニコンD700と同じ方向性を追った上で、更に性能面ではほぼ全ての点で上回る事に成功しました。
そしてフルサイズのユーザー層を拡大する為の入門機として、下位機種の6Dも2012年11月に追加。画素数は2020万画素で、連写速度は4.5枚/秒。フォーカスポイントは11点。シャッタースピード1/4000-30秒。その上で、5DMarkⅢにも搭載していないWi-fiとGPSを採用しました。
この6Dの凄いところは、何といっても暗所でのオートフォーカス性能。中央1点だけではあるものの、5D MarkⅢを上回る-3EVの暗さでもオートフォーカスが作動してくれる上に、センサーの高感度耐性もISO6400でノイズが目立たないという、まさに夜景スペシャルのカメラでした。この2台を揃えれば、ほぼ全ての撮影環境にフルサイズ機のみで対応可能。どうしても更に上の連写性能と焦点距離が欲しければ、他にAPS-C機の7D系(初代7D:1800万画素。連写速度8枚/秒。フォーカスポイント19点。シャッタースピード1/8000-60秒。7D MarkⅡ:2020万画素。連写速度10枚/秒。フォーカスポイント65点。シャッタースピード1/8000-30秒)が脇を固めているという盤石の体勢を築く事に成功しました。

対するニコンはというと。まず2012年3月にD800/D800E(ローパスフィルター有り/無し)を発売。画素数3630万画素。フォーカスポイント51点。連写速度4枚/秒。シャッタースピード1/8000-30秒。オートフォーカスは-2EVまで対応しているものの、高感度ではISO3200辺りまでが実用できる範囲内というのが主な素性。確か登場した当初は『高画素機ゆえに、従来のカメラでは問題にならなかった範囲の手ぶれまで写真に影響してしまう』という声があった気がします。
続いて2012年9月にD600が登場。画素数2426万画素。フォーカスポイント39点。連写速度5.5枚/秒。シャッタースピード1/4000-30秒。オートフォーカスの暗所検出範囲は-1EVで、センサーの高感度耐性は6Dと同じくらいの模様。つまり明るい場所での動きものの撮影ならD600、夜景でオートフォーカスを使いたいならば6Dに軍配が上がりそうです。
更に少し遅れて、2014年9月にD750が発売。画素数2432万画素。フォーカスポイント51点。連写速度は6.5枚/秒。シャッタースピード1/4000-30秒。オートフォーカスは-3EVの暗所でも作動するものの、肝心のセンサーがそこまで高感度に強くなく。人にもよりますが、だいたいISO3200辺りくらいまでがノイズが気にならない範囲の模様です。
この3機種を見てみると。更なる高画素機の需要には応えているものの。5D MarkⅢに対するD750、6Dに対するD600で比較してみると。『夜景が手持ちで綺麗に撮影でき、オートフォーカスで手軽にピントを合わせられる』という用途で、キヤノンに一歩及ばない印象ですね。D800/D800Eでは5D MarkⅢと比較してフォーカスポイントや汎用性で一歩譲ってしまい。D750ではイメージセンサーの高感度耐性がネックとなり、またシャッタースピードも1段階見劣りしてしまっています。D600では6Dに対しオートフォーカスの検出範囲で負けています。
D800系とD600系には、その後D810(3635万画素。フォーカスポイント51点。連写速度5枚/秒、シャッタースピード1/8000-30秒。ローパスフィルター無しモデルのみの為、D800Eの後継機種)、D610(2426万画素。フォーカスポイント39点。連写速度6枚/秒、シャッタースピード1/4000-30秒)とマイナーチェンジモデルが発売されましたが。あくまで若干の改良に留まっています。
なお高速連写と遠距離の需要に応えるべきAPS-C機は、キヤノンの初代7Dより若干早く出たD300S(1230万画素。フォーカスポイント51点。連写速度7枚/秒。バッテリーグリップ装着時8枚/秒。シャッタースピード1/8000-30秒)が最近までずっと最高峰のままであり。キヤノンが7DMarkⅡを出して畳みかけたのにも対応できていませんでした。その後、D500(2088万画素。フォーカスポイント153点。連写速度10枚/秒。シャッタースピード1/8000-30秒。-4EVまでの低輝度対応)というAPS-C機の最高峰カメラが発売されましたが。今はもう生産終了となっています。

それからD600とD750の間の2013年11月には、Dfという趣味に走ったカメラも発売されました。少し前のプロ向け最上位機種のD4と同じイメージセンサーを搭載しながら、D600のオートフォーカスセンサー等を組み合わせ。小型軽量でフィルムカメラに似た外観のカメラになります。画素数1625万画素。オートフォーカス39点。連写速度5.5枚/秒。オートフォーカスが実用化される以前の、古いニコンレンズも無加工で装着できるよう工夫された構造を備え。シャッタースピードやレンズの絞り値を上面の物理ダイヤルでも設定できる(もちろん、プログラムオートでの撮影も可能)という、古くからのニコンファンへの贈り物みたいなカメラでした。
ただ惜しむらくは、ISO12800まで感度を上げてもノイズを許容範囲内に抑えられる特筆もののイメージセンサーを採用しておきながら、オートフォーカスセンサーは-1EVまでしか検出できない入門機カメラのものを組み合わせた事でしょうか。その為オートフォーカスに頼らず、マニュアル操作で撮影する事が可能な上級者しか、夜景撮影において超高性能センサーの恩恵にあやかる事ができなかったのが惜しまれます。

・・・と、ここまでが今より1つ前の世代の製品の話です。続いて現在発売中の現役機種の性能を見てみます。

まずキヤノンは、2016年8月に5D MarkⅣを発売。3040万画素。フォーカスポイント61点。連写速度7枚/秒。シャッタースピード1/8000-30秒。-3EVまでの低輝度対応。高感度耐性は、ISO6400までは恐らく問題なさそう。人によっては、ISO12800でも許容範囲かも知れません。5D MarkⅡからMarkⅢの時にあまり進化していなかったという低感度側の品質も向上しているというレビューも見かけました。
続いて2017年6月に6D MarkⅡが発売。2620万画素。フォーカスポイント45点。連写速度6.5枚/秒。シャッタースピード1/4000-30秒。-3EVまでの低輝度対応。Wi-fi、Bluetooth、GPS搭載。バリアングル液晶装備。高感度耐性は、ISO12800でも実用可能とのレビューを見かけました。
なおAPS-C機は、90D(3250万画素。フォーカスポイント45点。連写速度10枚/秒、シャッタースピード1/8000-30秒)が存在しています。

一方のニコン機はというと。2017年9月にD850を発売。4575万画素。フォーカスポイント153点。連写速度7枚/秒(バッテリーパック装着時9枚/秒)。シャッタースピード1/8000-30秒。低輝度は-4EVまで対応。処理エンジンの強化や裏面照射型CMOSセンサーの採用により、高感度でもISO6400は常用可能。ISO12800まで上げても耐えられるかもしれないというところまで汎用性を上げてきた模様です。液晶はチルト機能が付いており。バリアングルほどではないにせよ角度調整可能。ただ欠点として、暗所での撮影時にフォーカスポイント照明が暗くて見えにくいという声も出ていました。
続いて2020年1月に、D780が発売。2450万画素。フォーカスポイント51点。連写速度7枚/秒。シャッタースピード1/8000-30秒。-3EVまでの低輝度に対応。高感度は、ISO6400辺りで問題ないどころか。ISO12800まで常用できるかも?というところまで高性能化されています。
なお『デジカメWatch』というサイトのレビュー記事では、フォーカスポイント照明の明るさについてこう語られていました。

『D850よりも明るくてフォーカスポイントの視認性が上がっているのは良いけれど、室内くらいの明るさ(EV5を下回るシーンを含む)になってくると照明の赤い光がファインダースクリーン全体に広がって見え、周囲が暗くなるにつれてAF時に視認性を損うことが気になった』という事です。

なお上記現象への問い合わせに対するニコンの回答は。

『D780では、被写体の明るさの状況によらず、AFエリア等を明瞭に視認できるようD750同等を目標に表示の明るさを調整しております。D850では照明を落としてスクリーン面が光ってしまう現象を抑えていましたが、そのぶん表示の視認性が落ちてしまい、お客様より「見えない」「照明を明るく」との改善要望をいただいたためD780ではD750同等の使用に致しました』との事。
キヤノン機では、ピントが合った事を音で知らせますが。ニコン機はファインダー内が赤く光る事で知らせる仕組み。その辺りに起因する問題点ですね。
なおニコンの一眼レフのラインナップでは、エントリー機のD610が2017年に販売終了になって以降後継機種が出ておらず。その下はAPS-C機のD7500(2088万画素、フォーカスポイント51点、連写速度8枚/秒、シャッタースピード1/8000-30秒)となっています。

こうして現役の製品を見てみると。ニコンはキヤノンの5D MarkⅣにD780で対抗し、その上のランクにD850を据えるという戦法を展開している感じでしょうか?
フルサイズ入門用の6D MarkⅡ対抗機種が不在ですが。ニコンとしては、これからフルサイズに入ってくる層はミラーレス機へ行くと読んでいるのかもしれません。なおミラーレス機では、フルサイズ入門機のZ5、高感度向けのZ6系、高画素向けのZ7系、プロ向けの最上位機種であるZ9、APS-C機のZ50にZfcという充実ぶりで全用途をカバーしている模様です。

ただ両社とも、性能的に現役スペックであると同時にお値段の方も当然現役価格となっています。1つ前の世代の製品群が、性能と比較して安価に中古で流通しているのを見ると。現役の高性能機1機を購入する予算で、先代の複数機種を用途別に揃えるのも1つの手ではありますね。ただ古い機種は、メーカーでの修理受付期間終了が迫ってきていたり既に終了していたりという問題がありますので。その場合はメーカーでの修理ではなく、そのメーカーの製品の修理を得意としている民間企業の修理店に依頼する必要が出て来そうですね。

なお私は、新品で購入した一眼レフカメラはニコンのDfが最後になります。
Dfが発売されて、まだ間もない頃。私はキヤノンの初代6DからニコンのDfに乗り換えて、まるで古いニコン製銀塩フィルムカメラを思わせるダイヤル操作での撮影スタイルがすっかり気に入っていました。基本的な満足感としては、ほぼ全ての点で最高点を付けられるくらいに評価していましたが。唯一不満だったのが、夜景スペシャルともいえる6Dに遠く及ばない暗所でのオートフォーカス性能でした。
せっかくプロ用最上位機種のD4から受け継いだ、素晴らしいイメージセンサーの性能を十分に活かす事のできないオートフォーカス性能の弱さを残念に感じており。D750のオートフォーカスセンサーを採用した改良型のDf2が発売される日を、ずっと心待ちにしていました。イメージセンサーは、D4の後継機種であるD4sのものにバージョンアップされればもう文句なしですが。仮に他の全てがそのままでも、オートフォーカス性能さえ刷新されれば購入する気は満々でした。
しかし結局、Dfは改良される事のないまま長寿商品となり。2020年末に生産終了。その少し前、生産終了の気配が濃厚となっていた時期に、私は初代Dfを手放して再度新品のDfを購入。以来防湿庫の中で、つい最近までずっと眠りについてもらっていた感じです。

その後は色々と身の回りで変化が起き、カメラ以外の事に集中していて新製品のチェックも休んでいましたが。今年に入ってからようやく落ち着いてきて精神的に余裕ができ、久しぶりにカメラの方に意欲が向き始めました。
気持ちが動き始めた理由の1つとしては、少し前からミラーレス一眼機が台頭してそちらが主流となってきており。もしかしたら今は、古くから続く一眼レフ機を楽しめる最後の時代かも知れないと感じ始めたからですね。
精密機械である一眼レフカメラが発する動作音と、そのフィーリングに心惹かれた者の1人として。ゆっくりと古き良き時代のカメラやレンズ達を大切に持ち続けて行きたいと思っています。
Posted at 2022/01/27 05:50:13 | コメント(0) | トラックバック(0) | 趣味

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「外装修復完了の巻 http://cvw.jp/b/3368498/46549875/
何シテル?   11/20 11:12
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