空自イラク撤収開始 献身が生んだ「犠牲ゼロ」
12/15 22:56更新
イラクでの任務を終えた航空自衛隊が15日、撤収を始めた。3機のC130輸送機のうち最初の1機が、日本に向けてクウェートのアリアル・サレム飛行場を出発。情報収集で、バグダッドの多国籍軍司令部に派遣されていた隊員5人も帰国した。これまでの国際活動より格段に危険だったイラク派遣では、C130がロケット弾の標的になりかけたこともある。民主党のイラク特措法廃止法案は士気に影を落とし、有能なパイロットが自衛隊を去った。1人の犠牲者も出さずに5年の活動を完遂した裏側で何が起きていたのか。(半沢尚久)
米中枢同時テロの発生日と同じ9月11日、町村信孝前官房長官は、唐突に空自撤収方針を表明した。
実は前日の1本の公電がきっかけだった。
《イラク政府は多国籍軍のうち(米英豪など)6カ国を残し、ほかの国は撤収させる意向だ》
米政府は公電に記し、日本が6カ国に含まれていないことを公表するとも伝えてきた。主体的判断にこだわる日本政府は待ったをかけ、慌てて撤収方針を表明したのが真相で、出口戦略のなさを象徴している。
■間一髪
空自のC130が攻撃を受け、被害が出たケースはない。だが、隊員が肝を冷やす場面はあった。
C130がバグダッド空港を離陸後、15分遅れで離陸し、同じルートを飛行した米軍機が対空砲で攻撃されている。同空港の滑走路で要人を乗せて待機中、C130の上を4発のロケット弾が飛び越えていたことも弾道計算で判明した。
「非戦闘地域」ではあったが、「治安が悪化した時期には、バグダッド空港への攻撃は月に30件ほどあった」(自衛隊幹部)。クウェートを拠点にイラクの南部アリ、中部バグダッド、北部アルビルに国連や多国籍軍の人員、物資を輸送した空自部隊にとって、最も危険度が高かったのは同空港だった。
着陸直前、同空港へのロケット弾攻撃が起き、パイロットが着陸の判断を迷ったこともある。「隊員やC130が1発でも撃たれれば撤収論が巻き起こる」(同)。空自部隊は“完全試合”を求められていた。
■犠牲
真夏の気温は50度で、エンジン始動前のコックピットは70度にも達した。とりわけ過酷な任務は、クウェートのアリアル・サレム飛行場からバグダッドを経由し、アルビルを往復する7時間のフライトだった。その都度、パイロットは3キロやせたという。
「軍法もないのに規律正しい」「C130の稼働率はほぼ100%で、信頼性は群を抜いている」
空自の働きぶりは多国籍軍からの評価も高かった。飛行の技量や信頼性に加え、注目されたのが士気の高さ。米軍の輸送機は、9機のうち修理などの影響で稼働しているのは5機程度だが、空自は徹夜の整備も辞さず、常に全3機が飛行できる状態を維持したこともその一例といえる。
こうした任務の陰には隊員の献身があった。機長クラスでは派遣回数が5回という隊員がざら。派遣されている間に親が亡くなり、最期に立ち会えなかった隊員も16人にのぼった。
■揺らぎ
「隊員の士気にボディーブローのように効いた」。2度の派遣経験のある空自幹部がそう指摘するのは、昨年10月のイラク特措法廃止法案提出と、バグダッドへの空輸を違憲とした今年4月の名古屋高裁判決だ。その2つを機に、基地にデモ隊が押し寄せ、官舎に批判ビラがまかれた。「パパは悪いことをしているの?」。妻や子供は疑心暗鬼になり、隊員も揺れた。
実際、廃止法案提出を受け、1人の輸送機パイロットが退職。「自衛隊の任務は正しくないのかもしれない」。退職願には動揺と戸惑いがつづられていた。
「献身的に支えてくれたご家族に感謝します」。先月、ゲーツ米国防長官から浜田靖一防衛相に届いたメッセージの一文だが、任務終了決定を受けた麻生太郎首相談話では、家族へのねぎらいはなかった。「家族へのいたわりを怠り、自衛官の使命感に頼り切っていると国際任務は破綻(はたん)しかねない」。防衛省幹部はしみじみと5年を振り返った。
ようやく派遣終了ですね。
機番77の輸送機、帰ってくるんですねヾ( ゚∀゚)ノ゙オォオォオォオオォ
隊員の皆さん、支えたご家族の方々、本当にお疲れ様です。
他国の国防長官が労い、自国の総理が労わずとは何と言う無礼!
行って来いで派遣しといて礼もなし。
先日ブログに挙げた運転手と同じとは、余りにも情けない。
他国の軍隊からも賞賛される彼らの働き振りは正に日本の誇り。
>空自は徹夜の整備も辞さず、常に全3機が飛行できる状態を維持
簡単に出来る事じゃない。
暑い異国の地で支えた整備員の優秀さ、士気の高さが窺える。
そしてパイロットの技量の高さ。
>空輸を違憲とした今年4月の名古屋高裁判決
行かせておいて、何を今更・・・。
税金泥棒に職務放棄、不祥事が絶えない公務員にあって、彼らほど国家に貢献した公務員が他にいるだろうか?
>パパは悪いことをしているの?
この子に言ってあげたい。
パパは立派な英雄、日本の誇りだと。
批判する方々も言い分はあるでしょうが、やった事を正しく評価して欲しいですね。
行った彼らが悪いんじゃない。
行かせた国家が悪いんです。
子供の頃からずっと空港でC-130輸送機を見て来ました。
今日も見てました。
いつも数機足りません。
ようやく欠けた機番が揃います。
隊員を乗せて家族の元へ帰ってきます。
どうか無事に胸を張って帰国して頂きたいですね。
任務お疲れ様でした。
貴方たちは日本の誇りです。
この輸送機を撮影できる日を心待ちにしております。
Posted at 2008/12/16 03:13:16 | |
トラックバック(0) |
ニュースなど | ニュース