
誰しも一度ぐらいは
経験あるだろう…
「金縛り」
過度な疲れが原因とか
耳にしますが…
これからお話しする体験は、
そればかりじゃ
ない気がするんです…
では、今宵も
封印夜話の扉を開きましょう。
それは、私が高校一年の夏のことでした…
その頃、バレーボール部に在籍していた私でした。
その日も汗だくになりながらのハードな練習を終え、家に帰ってきました。
夜の八時を回り、夕食をすませた私は、
離れ(プレハブ部屋)の自室に籠もり、
ベッドに横たわりながらラジカセで、
河合奈保子あたりを聞いてました。
ほどなく、疲れてたのでしょう、
私は睡魔に襲われ、うとうとと
うたた寝してしまいました…
その後、何時間たったでしょうか…
ふと、目が覚めた私でした…
当然、起きようと、
体を起こそうとするのですが
起き上がれません。
瞬間、私は…
「やばっ、これ、かなしばりかっ」
と感じました。
しっかり意識もあり、目は開けており、
頭は起きてる状態です。
でも、首から下は、
まるで重金属になったかのように、
ずっしり重く、まったく動きません。
しかも、もがけばもがくほど、
体がベッドに沈み込むような感覚で
その頃から、迫り来る恐怖感が募ってきました。
「やばい、どうしよう!!」
もがけばもがくほど状況は悪くなるばかり、
体が首から離れて、引きちぎれる感覚…
「お~い、おふくろー、おやじー!」
叫べども、まったく声になりません。
と言うか、声が出ませんでした。
唯一動くのは眼球だけ、しかも、
部屋の明かりは豆電球の明かりのみで薄暗く、
見える範囲は限られており、
天井と、かすかに左右が見えるだけでした。
極限状態の恐怖の中で、
経過した時間も分かりません。
そうこうしてると…
ベッドで横たわる私の
左方向にある窓の方から…
ぽっ ぽっ ぽっ ぽっ…っと、
何かを叩くような音がし始めました。
「やばっ、なんなんだ。なんなんだよー」
と思いつつも、さらに耳を澄ますと…
今度は、ポク ポク ポク ポク…っと、
私は瞬間分かりました!
まさしく「木魚の音」と言うことを…。
しかも、その音は徐々に大きく、
さらに、近づいてきました。
ポク…ポク…ポク…ポク…ポク…ポク…ポク…
とてつもない恐怖感の中
叫んでも声は届かない…
ポク…ポク…ポク…ポク…ポク…ポク…
私は、近づく木魚の音の方へと
唯一動く眼球を思い切り左の方へ
恐る恐る動かしました…
すると、
窓を覆うカーテンの向こう側から
一点の黄色い光が見えました。
さらに、目を凝らして見ると、
その光は木魚の音が近づくにつれ
どんどん大きくなりながら、
こちらに近づいてくることに気づきました。
ポク…ポク…ポク…ポク…ポク…ポク…
すでにその光は、部屋中に侵入し
私の左側、1mぐらいまで迫り、
大きさも道路標識ぐらいの大きさになってました。
木魚の音と一緒に迫り来る光…
その中に混じる、もごもごとした言葉…
ポク…アーマ~ポク…アーマ~ポク…アーマ~メ~ポク…
もう、私が寝ているベッドの上まで達してきました。
木魚の音ともごもごした言葉は、
明らかに、その光の中からしています。
ポク…アーマ~ポク…メ~ポク…ダブアー ポク…ポク…ポク…ポク…
木魚の音は、かなり大きく、鳴り響いてます。
ポク…ポク…ポク…ポク…アーマ~メ~ダブもごもご…
どうにもならずに、なすがままの私
そして、まばゆい光の中をよく見ると…
なにやら、奥から人影らしいシルエットが見え始めました。
ポク…ポク…ポク…ポク…ポク…
アーマ~メ~ダブアーもごもご…ポク…ポク…
木魚の音と近づく人影…
どんどん、どんどん近づいてきます。
ポク…ポク…アーマ~メ~ダブ…ポク…
ようやく人影がはっきりしてきました。
頭はツルツルに禿げ上がり、
端正な顔をしているようです。
そして、濃い紫色の着物を
着ているように見えました。
アーマ~メ~ダブ…ポク…アーマ~メ~ダブ…ポク…
どんどん、どんどん、さらに
私の顔に近いところまで、
木魚の音と伴に近づいてきました。
ポク…ポク…ポク…ポク…アーマ~メ~ポク…ポク…
その時、わたしは…
「う、うわっ~、お、お坊さんだ~」
ようやく光の中の人物が、はっきりと
わかりました。
そして、もごもごした言葉は、お経…
その方は、今現在のお坊さんでなく、
明らかに、古い時代のお坊さん
のような気がしました。
私は、正体が明らかになると同時に
なぜか、恐怖感が無くなったことを
覚えてます。
そう、見とれていた感じです。
どのくらい経ったのでしょうか…
そのお坊さんの綺麗なお姿、
そして、お経と木魚の奏でるリズムに
いつしか酔いしれている自分がいました。
それはそれは、凄く心地よく、
それまで金縛りで、
ずっしり重かった体が
す~っと空中浮遊する感じで、
身も心も解放された感じでした。
「うわっ~気持ちいい~
このまま天まで登りたいな~」
…っと、思った瞬間でしょうか!
それまで、
柔らかな表情だったお坊さんの顔が
突然、まるで、
鬼か、般若かと言うぐらいの形相に変わり
私の顔面まで、ぐわっ~っと、
近づいたんです…
「ぐわっ~」
その後、気づいたときは、朝でした。
部屋の中は、何事もなかったように、
夕べのままでした。
特段、私の身体にも異常はありませんでした。
朝飯を食べるときに、何気に両親に、
夕べなんか音がしなかった?って聞きましたが
聞くのが無駄でした。
その後の高校生活に何か影響あったかと言うと、
半世紀を生きた今現在まで影響らしいことはありません。
過度な疲れが為す出来事かとは思いますが、
自分自身は、はっきり起きてたと思ってます。
怖いと言うより、
今となっては、
護られてるのかな!
なんて、ポジティブに考えてる私です。
みなさんも、過度な疲れには、
十分注意してくださいね♪
そして、木魚の音と黄色い光は…
要注意ですよ(^_^;)
Posted at 2013/09/01 00:50:21 | |
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