某記事より引用させていただきます。
まさにこのEgコペンに載せたいな😁
伝説のEg、713CCのJC-DET型です。
市販量産Egで、最後の超どっかんターボと言われるEgです。
是非一読ください(笑)
1990年代に入って自動車メーカー各社が気前よくハイパワーエンジンを登場させていた頃、ダイハツやスズキの普通車用エンジンはカヤの外でした。
両社ともRV(レクリエーショナル・ビーグル。今で言うクロカン4WD)を除けばせいぜい1.3リッタークラスまでのコンパクトカーが主力で、旗艦モデルが1.6リッターまでの小型セダンでしたから、無理もありません。
1リッターDOHCターボのダイハツ シャレードGT-XXや1.3リッターDOHCのスズキ カルタスGTiを最後に普通車用スポーツエンジンを作ることも無い両社でしたが、軽自動車の世界ではモータースポーツで激しいつばぜり合いを演じていました。
1990年代のはじめはダイハツ ミラTR-XXやスバル ヴィヴィオRX-RAの優位でしたが、スズキが1994年にモデルチェンジで3代目アルトワークスRを登場させると、軽量アルミエンジンのDOHCターボ、K6Aを搭載した同車の独壇場となります。
ダイハツも4気筒DOHCターボのJB-JLを搭載したミラX4で対抗しますが、アルトワークスにはラリーでもダートトライアルでもほとんど勝てなくなりました。
長年のライバル、スズキに対してこのままではいけないと反撃のチャンスを狙っていたダイハツは、1998年の軽自動車規格改正に合わせて、驚くべきエンジンを驚くべきマシンに搭載してきたのです。
それが、ストーリアX4に搭載されたJC-DETでした。
ただ「打倒スズキ」のみで作られた、執念のエンジン
1998年2月、ダイハツは新型の1リッタークラスコンパクトカー「ストーリア」をデビューさせますが、その直後に突然ストーリアに新型エンジンを搭載した4WDターボマシン「ストーリアX4(クロスフォー)」をデビューさせます。
搭載していたのは、ミラX4に搭載していてアルトワークスに全く歯が立たなかった660cc DOHCターボエンジン、JB-JLを改良した、713ccDOHCターボエンジン「JC-DET」。
JBエンジンは将来的に輸出まで考慮して1,000cc程度まで排気量アップが可能なエンジンでしたが、ボア(シリンダー内径)はそのままにストローク(ピストンの上下量)をアップして、排気量を引き上げたのです。
当時の国内モータースポーツではターボ車は排気量に1.4を掛け算するターボ係数で排気量を決定していたので、713×1.4で998.2cc。
つまり、ラリーやダートトライアルにおいて、1,000cc未満のクラスでアルトワークスをエンジンパワーの力技で潰す!そのためだけに「軽自動車よりちょっと排気量の大きいエンジン」を作りました。
国際ラリーやメジャーレースに出るならばともかく、比較的マイナーな国内競技でライバルメーカーにかつためだけにこうしたエンジンを作る荒業には、さすがの車好きも驚いたものです。
当時リッターあたり出力世界最強!
排気量を上げたのみならず、ハイパワーに耐えうるようスペシャルパーツの組み込まれたメーカーチューンドエンジンには、軽自動車用エンジンには少しばかり大きすぎる1.3リッタークラス用のターボチャージャーが組み合わせられました。
これでメーカー公称スペックは最高出力120馬力、最大トルク13.0kgf・mと1.3リッターエンジン並のパワーを手に入れましたが、排気量1リッターあたり出力168.3馬力は、当時の自動車用レシプロエンジンで世界最強を誇ったのです。
しかも、ブーストコントローラーなど後付け機器が無くともブースト調整可能なターボを搭載していたため、ブーストを上げればフルノーマルでも150馬力程度は発揮可能な化け物エンジンでした。
最後の超どっかんターボ
とにかくパワーでアルトワークスに勝つことしか考えておらず、そのパワーを受け止めるためミラより大柄でトレッド(左右タイヤ間隔)が広いストーリアX4に搭載されたJC-DETは、間もなく21世紀という時代の市販車用エンジンとしては異常なフィーリングでした。
まずターボの強烈なブースト圧でパワーを得るためエンジンの圧縮比はスカスカで、3,000回転以下はトルク感がほとんど無く、ブーストが立ち上がるのも4,500回転以上。
そこに濃い燃料を噴射し、高ブーストで一気に燃料を燃やして高回転まで猛烈な勢いで吹け上がるという「極端な超どっかんターボ」だったのです。
そのため、ブーストをかけなければトルクが無くて非常に遅く、ブーストをかけると制御が難しいほどフィーリングが激変するため、常に高回転をキープしていないと速く走れないという、エンジンというよりターボ任せの滅茶苦茶なエンジンでした。
そこまでやった甲斐もありアルトワークスと互角以上に戦い、後継のブーンX4が登場してからも長らく活躍したストーリアX4とJC-DETでしたが、もうこの先このような極端なエンジンが登場することは無いでしょう。
スポーツカーにも燃費や排ガスのクリーンさが求められる直前の、「とにかく燃料をつぎ込んでターボで圧縮した空気と混ぜ、一気に燃やしてドカンとパワーを絞り出す」という70年代末以来の技術が使えた、最後のエンジンだったと言えます。
Posted at 2017/07/27 21:59:07 | |
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