12年の時を経て三世代目にチェンジしたプリウスですが、
遅れてきたライバルインサイトに対し、ガチンコ勝負を挑んだり、
先行予約を開始し、膨大な数の受注を取るなど話題に事欠かない存在ですが
この不景気の昨今に市場を賑わすのですから何かと気になるのは自分だけでは
ないはずです。
で、早速ですが試乗してきました。
グレードは上位機種のGでこの手の試乗車としては珍しいブラックです。
ちなみに自分はこのプリウスという車に乗るとまず思うのは作法や乗り方が既存
の内燃機関の車と大きく違うことにいつも関心やまたは戸惑いの気持ちを持つの
ですが、
今回のプリウスの第一印象はまずは大きくそして少々立派になったなというのが
素直な感想です。
表層のデザインは極めて今風といいますかエッジを多用し先代とはまた違った
未来感を演出していると思います。
宣材写真を見た当初は少しクドイかなと思っていましたが、
現車を見ると意外やクリーンに見えて最近のトヨタ車の中ではよい仕事をしたな
と思います。
自分的には今回のプリウスはライトカラーがベストマッチかなと思っていました
が、ソリッドブラックもよく似合ってました。
ただ哀しいかなブラックの宿命、現車はすでにかなりボディーに砂埃等の汚れが
目立ち、細かな傷もちらほらありました。
ただ環境性と先進性を演出すべきコーポレーションマークがブルーのホログラフ
ィック風になっているのですが、アイディアはとても良いですが近くで見ると
結構安っぽく見えてしまうのが少々残念でした。
あと意外な発見では純正の15インチアルミにはホイールキャップが被せてある
のですが、外すと元ホイールは結構いいデザインしてるじゃないです!
これは先代も初代もそうでしたよね。
自分がオーナーになったら間違いなくキャップは外してしまうと思います。
次に内装ですが、さすがは200万円台の車ですから見た目そこそこには仕上げ
てあります。
先代と違いフローティング式のセンターコンソールが付いたのが一番目に付きま
すが、
自分的には先代のセンターコンソールレスのほうが斬新さがあったと思います。
特徴的な電気式のシフトノブも通常の車のような位置にありいたって普通に
なってしまいました。
理論上はどこにでも配置ができるはずの電気式にも関わらずあえて通常の位
置に置いたのはユーザーの意見を取り入れたのでしょうか?
あとまた不満になってしまいますが速度メーターと一体になったエコドライブモ
ニターが結構見づらいです。
もっと色分けするとかしないと一瞬での判断に戸惑う時がありそうです。
まあこれは慣れもあるのでしょうが。
ただ割りと若い(つもり)の自分でも見にくいと思うのですから、
本来の購買層である中高年の方たちなどはもっと苦労するかもしれません。
しかし感心するのはチルト&テレスコが付いていてシートアジャスターを
使えばかなり理想の着座環境を得れる事です。
ここいらは国際的基準で高評価です。
そうそうあとリアシートを倒すことにより、広大なしかもフラットなラゲッジル
ームが得られることはハッチバック車としての利点を最大限に生かしており実用
車としても優秀です。
エンジンスタートはプッシュ式ですがHV車ですからオンにしてもうんともすん
ともいいません。
ここら辺はほんと家電製品感覚ですね
でスイッチシフトをDに選択しおっとここで気が付いたのがなんとパーキングブ
レーキはまだ足踏み式なのですね。
これも電気式してしまえばいいのにと思うのですがコストとの兼ね合いでしょう
か?
出だしはいたって静か。その後エンジンがアシストし四気筒エンジンの音が
聞こえますがその音自体もかなり低く抑えてありハッシュネス対策はかなり頑張
っているなと感じます。
パワーモードが選択でき急加速をしますがエンジン音の割りに思ったより
加速しません。後からモーターのアシストでするすると車速が伸びるといった
感じです。
カタログで謳う2.4リッター級の加速フィーリングはイマイチ感じられません
でした。
いくら1.8リッターにアップしたといえど、クラウン・ハイブリッドやハリア
ー・ハイブリッドの加速が凄過ぎるのでしょうね。
足回りはノーマルサス+エコ重視のタイヤなので乗り味はかなり柔らかいです。
さすがにふにゃふにゃでは無いですが、普段固めのサス+スポーツタイヤの
車を乗っているせいなのか余計に目立ちます。
ハンドリング性もほんとそこそこな応答性と路面からの情報量を与えてあり
まあ車の性格上ちょうどいい落とし処なのかなと思いました。
この車に乗っ思うことは性格が穏やかになるといいますか、燃費計とエコインジ
ゲーターなる物に雁字搦めにされて否が応にも省燃費走行を心がける人間に
矯正されるような気がしました。
なんだか映画、時計仕掛けのオレンジの中のルドヴィコ療法を受ける主役アレッ
クスになった気分です。
まあそもそもオラオラ運転するような人が環境と燃費第一主義の車を敢えて買わ
ないでしょうけども・・・
しかし今回のプリウスは価格と内容を考えると確かに安いと思います。
何せ6エアバッグにS-VSC、TRC、ヒルスタートアシスト、緊急ブレーキ
シグナル、リア独立式シートベルトアンカー等安全装備は万端な上、電動ウォー
ターポンプや排気熱回収システム等新技術も取り入れています。
もちろん下げた分だけ少々コストダウンの痕は垣間見えましたがそれでも
エコ車減税や新車補助を使えばさらなる割安感が目立ちます。
これには他社メーカーはげんなりじゃないでしょうか。
だってバックオーダーはもう10万台近くと言うじゃないですか。
お化け車ですよ!いやそれ以上の怪物ですよ!
ただその先にはすでにニッケルバッテリーのリチウムイオン化やプラグインハイ
ブリッド、ルーフソーラーパネルのバッテリー充電等新技術が目白押しなので
上記の盛りだくさんの内容をもってしても今のプリウスがまだまだ過渡期な感じ
がしてしまうのは贅沢な考えというものでしょうか・・・