親族での旅行により大人数が移動できる乗用車が必要になり、
車両調達&ドライバーを依頼された自分は兼ねてから興味があった
ハイエース・グランドキャビンを敢えて選択し旅行という名目を借り、
試乗も兼ねたロングドライブに出かけました。
アルファードクラスでもギリギリ移動できたのですが、室内空間のゆとりと
何よりも滅多に運転できないグランドキャビンを運転できるので選んだ次第です。
普段小型車に乗っている反動と言う訳ではないですが、大型自動車も好きな
自分はミニバスの趣があるグランドキャビンには以前から興味身心でした。
何よりも車への興味で頭が一杯で荷物の積み込みをしながらも真っ先にあちらこちら
と観察しました。
まずは第一印象はとにかくでかいの一言です。
実は先代H100系のグランドキャビンも運転したことがあるのですが、
現行H200系グランドキャビンの大きさは乗用車の枠を破る装いです。
運転の難度は一気に上がるでしょうが、純粋に旅客性を考慮するのであれば、
この選択は正しいかなと思いました。
実際、欧州等このクラスのバンベースのワゴン車(メルセデス・スプリンター、フォルクスワーゲン・T5、フォード・トランジット、プジョー・ボクサー)等
はサイズが皆大きいです。
デザイン的に見ても前から見ると全幅、トレッド幅が大きいおかげで全高が高い車に
も関わらず全体的に重心が低く見え、地上に対し踏ん張りがよく効いていて
今までのバンベースにとってつけたようなワゴンといった感じが無くなりとても
プレーンで伸びやかさがあり素直にかっこよく見えます。
内装を観ての第一印象は先代ハイエースと比べ時代の流れを感じずにはいられませ
ん。
インパネはモダンなデザインになり、オプティトロンメーター、シャッター式
エアコンダクト、ゲート式インパネシフト等を採用し商用車と言うより乗用車に近く
なりこのクラスでハイエースが売れている理由がよく解ります。
通常のハイエースと比べるとインパネが縦に長く、助手席との距離が妙にあり
不思議な感覚がします。
あと縦長インパネの影響で通常のナビモニターがすごく小さく感じます。
ちなみに室内を観察して気になった点は後席中央は2点式ベルトだったのが大多数を
乗せる事が前提の乗用車として如何な物だろうか?と安全性に疑問を持ちました。
あとはこのグランドキャビンの個体の程度は登録から2年、走行距離にして5万キロ
を越え、内外装ともにやや疲れがでている感じがしました。
不特定多数による厳しい使用状況化で2年、走行距離5万キロはいくらトヨタでも耐
久性に定評のある車でも結構ストレスになっているはずです。
早速、東名高速に場所を移し車の乗り味を確かめるように走ったのですが、
バンから発展した車の宿命かタイヤから路面状況があまり伝わってきません。
これは普段路面状況のフィードバックを確かめながら運転している者には不安材料で
しょうね。
あとはステアリングフィールがめちゃくちゃ軽いです。
普通は速度が増すにつれ操舵が重くなるとういう頭があるのですが、
グランドキャビンに関してはこれが当てはまりません。
ただ、この車は直線でフラットな道でも
終始左右にふらつき気味なので、絶えず細かい修正を加えてやる必要があり
操舵が軽いことにより細かい修正は効かせやすい気がしました。
あとこの車は直4 2.7Lガソリン車なのですが、車重が2トンを超えるのと
車体の大きさからくる空気抵抗も相まって、長い上り車線や急な追い越しは
大変苦しそうです。 ですからスマートな運転を心がけるのであれば、
積極的なギアチェンジをおススメします。
ちなみに先にも述べたように今回のハイエースからインパネシフト+ゲート式セレク
トレバーに変わり、
正しく確実にシフト操作できるようになったのはよい事だと思います。
ただそれに伴い変更されたステッキタイプのサイドブレーキレバーは
慣れないと使いにくいのですが・・
高速道におけるグランドキャビンの直4 2.7Lガソリンエンジンは決して
余力があるとは思えませんが、一度巡航車速に乗ってしまえば割とエンジン音は静か
で車速の維持もし易いです。
あと一般道の峠道を走っていて意外なほどコーナーが得意なのに驚きでした。
もちろん普段乗っているマーチのように走るとタイヤはすぐに悲鳴を上げ
強いロールとアンダーステアに見舞われるでしょうが、普通に走る分には車体の動き
が緩やかかつ地面に対して足がよく踏ん張ります。
その後運転だけでなく、後部座席にも移り、いろいろ快適性を比べましたが、
全4列あるなかの3列目運転席窓側が一番快適でした。
3列目は意外なほどエンジン音と振動を拾い、エンジンフロアの盛り上がりにより
足元も若干狭いです。
しかしシートは固定式でキャプテンシート無しとはいえ、
大多数移動の場合は、余裕のある室内空間とロングホイールベースによる揺れの
穏やかにより、定員一杯で使うアルファード等よりも精神的、肉体的にも快適だった
事は確かです。
ただ車のソフト面で気になったのは不特定多数が利用する大変大きな車であるのに、
バックソナー、バックカメラが未装着なのは気がかりです。
オプションで設定はあるのでしょうが、これはレンタカー会社が選択しない限り
付いてきません。
しかし顧客需要は用途性から言って圧倒的にレンタカー会社がパーセンテージを占め
ているはずなので、これはメーカー側の道理的責任として安全に関わる装備は最初か
ら標準でお願いしたいです。
燃費に関してですが、高速道、一般道含め、700Km走りましたが
リッター辺り平均8Kmとなりました。
車格を考えると燃費はかなりいい方じゃないでしょうか。
今回グランドキャビンで走ってみてのまとめの感想ですが、大きい事が利点として
働く事の意味を知れました。
もちろん普段の日常生活においては自分に必要のない分類の車ですが、
限られた用途の車においてもいろんな考慮により進化している事に感銘を受けまし
た。
トヨタ・ハイエース グランドキャビン
<スペック>
5.380mm×1.880mm×2.285mm
w3.110mm 2.020kg
直列4気筒DOHC24V2.693cc-NA
151ps/24.6kgm
195/80R15
駆方式/FR
懸架形式/F-ダブルウィッシュボーン式 R-車軸式半楕円板バネ
4速AT