仏プジョーは、先代モデル“206シリーズ”をベースに、フェイスリフトを施し最新のルックスに仕立て上げた“プジョー206+”を発売すると発表した。
後継モデルが登場しているにもかかわらず、あえて旧型をベースにフェイスリフトを施し、新しい外観で販売する。そんなユニークな試みで、206シリーズが再びヨーロッパで販売されることとなった。
このような珍しい決定が下された背景には、世界に広がる自動車販売の落ち込みによる影響や、モデルチェンジで車格がアップした影響などもあるのだろう。もちろん206シリーズが世界的に人気を博し、ミリオンヒットとなったことが大きい。
1998年に登場した206シリーズは、これまでに約650万台を販売し、207シリーズ登場後も一部の市場では現役モデルとして販売が継続されていた。
デザイン変更したのは、ヘッドライト、ラジエターグリル、ボンネットなど。プジョーの新世代デザインとなった206+の外観からは、設計年次が10年以上前であることはうかがえない。むしろ207シリーズよりもコンパクトなボディが魅力で、それがゆえにこのクルマを選びたいというユーザーも多いだろう。
プジョーは、206+を、107や1007シリーズと207シリーズの中間を埋めるモデルに位置づけ、積極的に販売していく構えだ。ただしヨーロッパ市場向けというのが残念なところ。206シリーズは日本でも人気を呼んだモデルだけに、待ち望むファンは少なくないと思うのだが……。
旧型車の再登板、まさに最近日本の三菱自動車が駆使したニッチを埋めるための手
法ですね。
でもこれはトッポの場合と違って、かの国でのプジョー・206再登板はもっと
深刻な意味合いを兼ねていると思います。
だってフランスでは既にプジョー・207として後発モデルが社運をかけたくさん
の開発費といろんな人達の努力の結晶により市場に導入しているにかかわらず完全
に重複覚悟でしかも旧型車種に屈辱的な事に現行車種の顔をくっ付けて売るわけで
すから開発に携わった人達の気持ちは非常に複雑な事でしょう。
自分はプジョー・206の性能自体でも何ら現在においても日常において過不足無
いと思いますし、
比較的安価でコンパクトだった頃のフレンチコンパクト(自分を含め)が好きな人
にとってはむしろ日本市場にもと思う人もいるかもしれません。
しかしこれってほんとに形振り構わずて言葉が当てはまる事例なのは確かだと思い
ます。
かの国に関わらず世界の主要メーカーはこの手法を消費者の意識が成熟していな
い新興国の市場に対してはよく使う手法だったのですが、
まさか本家大本が行なうとは思いませんでした。
しかし以前からブログでも書いていたのですが、ズバリ、プジョー(フランスの主
力メーカーも含め)のコンパクトカーにおける商品開発の目が市場のニーズを読み
違えてやしないか?と言う事です。
安全性、快適性アップの主眼がひたすらボディーサイズの拡大と車両本体価格の
アップでは不景気になれば市場でのニーズが大幅に落ち込むのは目に見えた事では
ないでしょうか?
未曾有の世界的経済不況はもちろん特異なのでしょうが、それでも購買意欲を沸か
せる車であれば必ずや一定のニーズがありコンスタントには売れてるはずだと思い
ます。
その点は、同じフランス国内でもルノーは以前から旧型モデルとの兼売をBセグの
クリオでやっていますが(クリオⅡをクリオ・キャンパスとして現在も併売)
それでも技術進歩が比較的早い車業界の事、なるべくは消費者に対してはメーカー
が得た利益は安全、快適、利便性、環境面等技術の前進と言う形で消費者に再び答
えるのが本来の大筋であると思います。
一過性かもしませんがあまりこの手法が安易に乱発されると安かろうの原理で市場
で消費者が新型車に対し興味を失せ、新技術拡散の停滞、自動車ラインナップでの
いわば格差社会を引き起こしひいては自動車業界自ら首を絞める事に繋がるのでは
と心配してしまいます。
だってそもそもメーカー自体前モデルに対しねじり剛性が50%アップやら
衝突安全性が大幅アップやらカタログに謳うわけです。
ではメーカー自体が認めてしまっている性能に劣る旧モデルをメーカーは一体どう
消費者に対し大手を振ってアピールするというのですか?
もちろん旧型車を再利用なら、現在プジョー・206を乗り続けている人達には
補修部品の供給といった面から朗報でしょうし、まさに長く乗り続ける事により
エコにも貢献するかもしれません。
悪い事ばかりではないとは決して思いますが、ただ今求められている事は
いたずらに商品ラインナップを増やすよりも、いかにして世に送り出した車に
対し責任を持ってあらゆる創意工夫で世の人たちに購入して市場に浸透させる事が
大事だと思います。
次のプジョー・208はどんな理念を持って世に出てくるか楽しみですが。