試乗採点シリーズはネタ切れと思ってたら、試乗採点しやすい車を忘れていましたので
急遽、試乗採点シリーズ追加します。
はい、みなさんご存知の三菱ランサーエボリューションⅩ GSR-Premiumです。
ちょっとそこのあなた!ダメですよ、そんなデカイ羽根がついた子供騙しの車に乗れるかなんて言っちゃ!
先入観はいけません!柔軟な頭でどこかに楽しい車があるかもしれないとポジティブに考えて試乗しなくちゃいけません。
そうでないと試乗なんてアホらしくてやってられまへんわ。
さて、このランエボⅩは
2000ccの直列4気筒ツインカム16バルブインタークーラーターボ(おぉ懐かしい響き!)を搭載した4WDランサー定番の第10代目エボリューションモデルです。
わずか2000ccで
300馬力 43.0Kgmの超弩級出力を誇っています。
リッター150馬力という有り得ないほどの高出力です。
おまけに車重は
1190Kgと軽くPWR4Kgを切る実力は半端じゃありません。
↑大間違い!1600Kgでした!ども、すんつれいしました。
三菱独自のツインクラッチ「SST」が搭載された唯一のスポーツカーです。
試乗してみて驚きました。こりゃ画期的なツインクラッチです!
「Sスポーツモード」を選択すると減速時のギア毎にブリッピングするんです。
それも40Km/h以下の
低速でもシフトダウン毎にブリッピングします。
へぇ~~~~~~~!
おもしれ~~~~~~~!!!
うんうん、これぞツインクラッチ、2ペダルMTだよな!
2ペダルMTってこんな感じじゃないかと頭に描く通りのミッションでした。
いや、乗ってみるもんですね。こんな面白いシフトプログラムだとは
正直意外でした。
M3のM-DCTはとことん切り詰めた爆速トランスミッションを目指し過ぎて遊びや面白さは二の次で開発されてしまった感がありますが、このSSTは遊び心と味付けでシフトダウン毎のブリッピング機能を採用したんだなと推し量ることができます。
そう、
この遊び心や演出が国産車に失われている最も重要なポイントだと思います。
いや運転していて楽しくて笑っちゃうのはいいですね。
M3も911も運転していて楽しくてニヤけてしまうのですがこのランエボⅩも同じです。
GT-Rはあまりに凄くてぽかーんと空いた口が塞がりませんでしたが、そのGT-Rより楽しいと思います。
15年ほど前、ランエボに初めて乗った時、サスはガチガチでシートはペラペラ、排気音やエンジン音はガサツで不快。
内装はおもちゃみたいに安っぽく乗り心地最悪でやかましい。速いには速いが特に感動もなくブーストかけて速いだけみたいな感じ。
その時はこんな子供騙しの車乗れるか!って思いましたが、その頃から比べるとものすごく洗練されましたね~。
乗り心地は硬くゴツゴツながらビルシュタインの効果か、重心が低くしなやかで落ち着いた収束を感じます。
さすがに女性受けは難しそうですが、ファミリーユースにも問題なさそう。
最新電子制御4WDの安定した走りはどんな場面でも不安がなさそうです。
標準装備レカロシートのホールドが良いことも手伝ってか、乗り心地や振動を不快に感じることはありませんでした。
動力性能は、う~ん、正直ちょっと物足りない気がしました。
きっと4G63のほうが速かったと思いますが街乗りピックアップはⅩのほうが心地よいです。
ブレーキもさすがブレンボです。不満は感じられませんでした。
さて、採点結果です。
スタイリング(20点)・・・12点 大きく口を開いたフロントグリルと大きなリアウィングが特徴です。
エアスクープとエアアウトレットを配したアルミ製ボンネットにブレンボ製赤バナナ。
迫力があって只者ではない雰囲気を漂わせています。
歴代のランエボより遥かに都会的になりましたが、、、、
でもごめんなさい、褒めておいて何ですがスタイリングは個人的に好きになれません。
どーもすんません。
動力性能 (20点)・・・16点 ターボの効きが素晴らしくドラマを感じさせる走り。
でもちょっと低速はスカスカ気味か。0-100Km/hは5.5秒くらいでは?
高速試乗してないので断言できませんが、動力性能はちょっと物足りない。
ミッション (10点)・・・9点 荒削りな感は大いにありますがブリッピングが気に入ってしまったので。。
足廻り (10点)・・・8点 硬くてゴツゴツしますが収束はしなやか。シャーシの出来は相当いいでしょう。
ブレーキ (10点)・・・9点 ブレンボ製F4P/R2Pディスクブレーキは効きもさることながらファッション性も高い。
インテリア (5点)・・・ 1点 レザー内装なら辛うじてこの点数ですが、布だと0点かな。
燃費 (5点)・・・ 5点 街乗り7Km/L以上は確実だそうです。
排気音 (5点)・・・ 3点 直4ターボの割にはサウンドチューニングされてます。
実用性 (5点)・・ 5点 後部座席は想像以上に広いのですが、トランクはちっちゃいです。
ただスポーツカーとしては十分なので5点あげましょう。
色艶度 (5点)・・・ 5点 好き嫌いは別にして色気と艶をメーカーが一生懸命に演出しようとしています。
その努力は大いに買ってあげたい。
高揚感 (5点)・・・ 5点 この車は大変楽しいです!国産嫌いの人でも純粋に楽しめる車です。
電子制御4WDと軽い車重の恩恵で峠に行ったらさぞ気持ちよく走れると思います。
街乗りのピックアップもいいし180Km/hまでなら高速で無敵になれまっせ。
合計78点です。
スタイリングさえ受け入れられる方であれば、最高にコストパフォーマンスが高い車です。
動力性能はGT-Rを20点とすればやはり16点ぐらいが妥当だと思います。
ターボ車なのでノーマルで乗る方はいないだろうし、ちょこっと弄ればすぐ18点ぐらいまで行けるでしょう。
リアウィングはレスオプションだけでなく、控えめちっちゃいウィングもオプション設定されているんです。
BBS、ナビ、ビルシュタイン、レザーインテリア、9スピーカーシステムなど豊富な組み合わせ自由のオプションに、
具全部乗せのGSR-Premium 505万円から具なしRS 315万円まで豊富なバリエーション。
芸が細かくて感心しました。
三菱自動車はかつてGTOやFTO、エクリプス、ディアマンテ、レグナム、ギャランなど魅力的な車種をたくさん生産していたメーカーでしたが
今やスポーツタイプ&普通乗用車セダンは驚いたことに
このランサーしかありません。
「三菱自動車リコール隠蔽不祥事事件」はもう既に風化してしまった感がありますが、メーカーとしての発展や成長に大きな歯止めとなってしまったのでしょう。
そんな三菱自動車ではありますが、今回最も感心したのはこのランエボⅩのカタログです。
どこのメーカーのどの車種も、経費削減で薄っぺらくて夢がない抽象的なカタログばかりですが、
ランエボⅩカタログは、ものすごく厚くて上質な紙を用いて、細かな仕様の差異をカラー写真や比較表を満載して分かり易く解説しています。
メーカー純正のアクセサリーカタログもすごい力の入れようで、フロアマット、ナビ、マフラー、サス、ペダルカバー、室内灯、ナットなどありとあらゆる細かい部品まで詳しく掲載されています。
しかも販売価格も掲載されていてとても分かり易い。
そんなの別に珍しくないと言う人がいるかもしれませんが逆です!
大変珍しくて感動しました。
車を買うことに夢を持てる素晴らしいカタログだと思いました。
私が免許を持たない高校生の頃、ソアラやセリカXXのカタログを毎日穴があくほど見つめていました。
いつかはこの車にこれとあれとそれを付けて新車で買ってやるんだと夢見ていた甘い日々を思い出しました。
これは国産車メーカーの多くが忘れ去っている、とても大切なことだと思います。
実際にセールスも好調な様子でオーナーズインプレも否定的なコメントが少ないようです。
この成功の原因をよく分析して、これからの車作りに役立てて欲しいものです。
頑張れ、三菱自動車!頑張れ、国産車メーカ!!
販売不振・業績不振はマーケットが原因じゃないぞ!!
今回も長文ですんませんでした。