
今日はいよいよ富士Speedway。
朝は東京では最高の天気だったが、富士に近づくにつれ怪しい雲が現れた。
しかし天候は曇りにとどまり一日中絶好のコンディションだった。
12時30分からのスタートだが、11時に既にサーキットの近辺まで来てしまっ
た。
その近くの「道の駅」にはなんともう新型STiが…
サーキットの入口は非常に広く、ゲートの上に巨大な看板のFujiSpeedwayの文字が血を騒ぐ。
前に走るWRブルーのGDB型STiについて行き、広々とした駐車場にたどり着く。既に午後の部のお客さんが数台到着しており、なんと新型のSTiが3台もあった。あとは大半がインプSTi。この光景には感動する。みんな新車に近い状態でクルマを所有しながら新型のSTiを注文したのか…
午前の部のハンドリングプログラムを覗き、ジムカーナに向かう途中、私の頭上にあの開発責任者の森さんがケータイで話してるのではないですかぁ!目が合ってしまい、思わず手を振り「あなたは偉い!素晴らしいクルマをありがとう!」と叫びたかったが、忙しそうなので…
ピットレーンを見ると新型STiが何台も並んでいる…ワー。近くへ行って触りたい…
そこで思ったのがまだ見れていなかった「赤のボディも結構いける」と。
本コースのストレートでは時速200キロ近くまで走るインプレッサが次々とやってきた。それはレーシングカーの様に「クオオオン」と走るのではなく、新幹線のように風を切りながら「スパーン」と無音に近い状態で走っていた。
開会式には写真でしか見たことのない方々が目の前で普通に話している。感激。夢でも見てるんじゃないのか。
サーキット走行プログラムを先にしてからハンドリングプログラムに移るというスケジュールになった。
走る前にインストラクターから注意事項などを聞き、説明をを受けている時に「マ
ニュアルはダメという方はいらっしゃいますか」という質問に思わず右手が上がった…
その後、心配そうに声を掛けていただいたのは馴染みのスバル販売店のスタッフの方!なんと心強いことでしょう。名前を知らないことを後悔する。
車に案内され、運転席に座る。この新車の匂いがたまらない。レカロがしっくりとくる。ただヘルメットのせいで若干前かがみになる。
すると「ベルトを締めてください」と言われ「あれ、無線があると聞いたけど何も聞こえないぞ。インストラクターも同乗するんじゃなかったのぉ?さっき、そう言ってたような気が」と思っている間に先頭の二台が早速コースに向かっていた。
まだ心の準備ができてない状態でスタッフから「どうぞ、行ってください」との合図を受けたが、こっちはマニュアル運転もまともに出来ないというハンデを背
負ってるのに…あっー!落ち着け!
ブレーキを踏む、クラッチを目いっぱい踏む、ハンドブレーキを下ろしてギアを一速に。クラッチを少し放し、アクセルを踏むと…「おおぉーん!」っとイキナリ3,000回転へ。
ま…前にゆっくり進んだー!ここは富士Speedwayのピットレーン。数々の名ドライ
バーがここに足を踏み、タイヤを転がし、歴史を刻んだ。こんなすごい所でエンストなどこいたら末代までハジだ。
クラッチ!二速に入れる!クラッチを放す!つないだ瞬間に「ガクッ」とショックが…
さあ、コースに入ったぁ。広い。もの凄い開放感。地面はつなぎ目もなければ凸凹も一切ないビリヤード状態。
同じくピットレーンから出たすぐ後ろの車からのプレッシャーを受け、二速のまま本線へ突入!エンジンは6500回転以上回ってレブリミットが点滅。
先頭の二台のブレーキランプが点灯!でも無線の音の気配はまだ一切なし。やはり単独走行に近い状態で野放しか。これは辛い…
ヘアピンが来たぁー! ブレーキ!ボディ全体に細かい振動が走る。ABSか。殆ど停止状態に近いところまで来る。しかしここでエンストしたらおしまいだ。同時にハンドルを思いっきり右へ切る。アクセルオン。普通ならアンダーステアでコースアウトするかオーバーステアでスピンするかなのだが、ここは全く普通に先頭のマシンに付いて行く。すごい。
最初のストレート。3速。4速。次のコーナー(コカ・コーラコーナー、左)が差
掛かる。基本はアウト・イン・アウトだが、今はパニック状態でそれどころじゃない。ブレーキ。
そして4速のままアクセルオン。シフトダウンが億劫だから…するとしっかり加速する。この時、設定がSモードにあることに気付きS#に変更。
次の右の高速コーナーも4速で恐る恐る通過する。地面が傾き、体が強く横へ引っ張られる。だがタイヤは鳴らない。限界にはまだたどり着いていないのか。
前の二台がやたらと速い。後ろも結構近くまで迫っている。インストラクターは
「ゆっくり、無理せずに」と説明の時に言っていたが、みんなSTIに乗り慣れてるのか「ゆっくり」の定義が人によって若干違うようだ。
左へのヘアピンコーナーが来た!ブレーキ!そしてハンドルを左へ!やばい、コースアウトしちゃう!は…早く二速へ!二速はどこだ!そうだ、4速から2速へ移すにはレバーを一旦前に倒して、左に、そして後ろだ!「ゴキッ」とシフトダウン。左へ強くハンドルを切る。さすがにここはタイヤが鳴った。
でもクルマはハンドルを回した方向へちゃんと向く。ストレートを2つ過ぎて4速までシフトアップ。7,000回転付近でものすごい音。この音がまたいい。
とか考えてるうちに前の2台は猛スピードでダンロップコーナーへ突入しブレーキランプ点灯。
フルブレーキ!一気に2速にシフトダウン。うわー、ヒールアンドトゥなど出来ん!
ダンロップコーナーのシケインがキツい。上がり坂で次のコーナーが全く見えない。
コースアウト寸前でキツ目のコーナーを次々通過。コーナーを曲がる度に地面が反対方向へ強く傾くという錯覚を味わう。
最後のパナソニックコーナーはただハンドルを切っただけで車がしっかりとついてきた。本当はアウトから攻めるのだが、カッコ悪くインから侵入。
さあホームストレート。4速。5速。
メーターが200km付近まで(実際は180まで)行くと、さっきまでいたピットが猛ス
ピードで通り過ぎていく。風の音はそんなに聞こえてこない。そしてリミッターの作動が非常に滑らか。
だが気がつくと自分の右足がアクセルの上でひどく震えてる。震えが止まらない。何故か。恐怖?興奮?
こんな状況で誤作動などしたらシャレにならんぞキミぃ。
そろそろヘアピンコーナーがイキナリ顔面に飛び込んで来るところだ。TVゲームだ
と、どの辺りでしっかり減速するとか把握しているのだが、今はそんなもの探す余裕などない。先頭の2台がブレーキしたらこっちもブレーキだ。ゲームでは必ずと言っていいほどコースアウトを食らうセクションなのでなおさらプレッシャーが全身を襲う。
ヘアピンが見えてきた、ブレーキ!あーっ、今は5速なのだー!どうすれば?3速か!
「ゴキっ」
だがまだ減速する。クラッチを放さず更に2速へ。ヘアピンのインを曲がりながらクラッチをつないでアクセルオン!先頭の2台ははるか彼方へ…
もう一周…コース上でエンストだけはしないように…
だが6000回転付近でシフトチェンジしてクラッチをつなぐと必ず回転が1秒間上が
る。全然スムーズなシフトチェンジではない。
そして高速コーナーでは地面が強く傾いて自分の体がGで引っ張られていく。これはここでしか味わえない。減速せずに突っ込んで行くのが怖い。しかしクルマは「まだまだ余裕だね。キミは大丈夫かい?がんばれ!応援するからサ」と言ってるようだった。クルマの限界より自分の限界の方が低い。
それにしても自分自身が操るジェットコースターというものは恐ろしい…
2周目を終えたらピットへ向かう。ちょっと休憩。疲れは一切ないが喉がカラカラ。
2回目の走行も同じ調子で走る。その時も無線はない。
シートはレカロではなかったがコーナーでのホールド感はあまり気にならなかった。
ただバックミラーが真っ暗で後続のクルマが確認しずらく、さらに恐怖感が。
次はプロドライバーが運転して3名が同乗する事になってる。するとスバル販売店のスタッフの方から「さ、さ、助手席へ」とこっそり誘導された。わー、やっ
たー!ありがとー!後ろのお二人さん、許してネ。あまりの感動でドライバーの名前を忘れてしまった。
解説しながらのラン。クルマの限界へあっという間にたどり着く。ステア、シフト
チェンジ、ペダル操作、全てのドライバーの動作が落ち着いていて非常にスムーズ。
だがクルマは唸って動きが激しい。
すぐ後ろに吉田さんが駆る黄色のレーシングマシンが爆音を鳴らしながらこっちに
迫ってくる。追い越しの際に吉田さんの軽い挨拶。地面を這って走るこのマシンは迫力がある。それについて行くかの様にペースアップ。「クォオオオっ!」とエンジンが鳴り一気に加速する。だが追いつく事はできない。
するとコカコーラコーナーではコースぎりぎりで縁石の上を走る。凄まじい振動がボディに走る。
ダンロップコーナーのヘアピンが迫ってくる。だがフルスロットルで中々減速しな
い。こわー。
すると一気に減速して一速ずつギアをキレイに落としていく。自分の体がフロントガラスを突き破りそうだ。すんなりとコーナーを次々過ぎて行く。
プロのドライバーはリラックスして話しながらクルマの限界を引き出している。全ての動きがスムーズで正確。コースも完全に把握していて自分の庭みたい。恐るべし…
タイムを競って緊張状態の時は一体どうなるのだろう。
最後にハンドリングプログラムを体験。これは結構リラックスして楽しむことができた。
サーキット走行プログラムは本当に衝撃的でした。