
この日は『ぽん号』が初めてサーキットを走る日だった。
選んだ舞台は富士スピードウェイの本コース、プロアイズさんが開催する走行会に参加する事にした。
クラスが3つに分かれてあって、「初心者」の枠に申し込んだ。
クローズドコース走行の経験は
①初マイカーの丸目インプ(AT)でフルノーマルで筑波のジムカーナ
と
②東京スバルが行った先着何名かへディーラーの試乗車を利用しての富士SW本コース走行。
この時はまだMTには慣れてなく、何も出来なくあっと言う間に終わってしまった…
サーキット走行の迫力に圧倒された日だった。
どうしても同じ場所でリベンジ!!を果たしたかったのだ。
もう一つの目的は自分の車のポテンシャルを自分の力量の範囲内で試す事だった。
これはどうしても公道では測れる事は出来ないものだった。
ちなみにこれまで自分の車に施したチューンは
①次のパーツによるブレーキ系統の強化
a)
ステンレスメッシュホース
b)
サーキット用パッド
c)
フルード (bとcの作業は【全開ワークス】の協力の基によって行われた)
②
水温計の装着。これによって冷却水も社外品の4リットルに交換。
③
フロントストラットタワーバー
④純正交換タイプのメッシュ入り
エアクリーナー
⑤オーディオ
(←サーキットと関係ないやん!)
以上!タイヤも足もエンジンも純正のまま。
あとは
エンジンオイルとミッションのオイルの交換をこまめに行った。
全ての弄りは車の保護によるロングライフを目的として、馬力アップ、軽量化などはあまり考えていなかった。
当初は一人で行く予定で会ったが、サーキット経験の豊富な
いちのすけさんも参加する事になった。
今考えてみると…かなり無謀な行動だったと言える。
彼がいなかったら不安で楽しめなかったどころか、生きて帰れたかどうかさえ思える。
出発の前の日…
やはり洗車するべきかな?しかし雨が降られたら…
夜は案の定、遠足前の小学生のごとく、初デートの高校生のごとく、ロクに眠れなかった…
朝早く起きると眩しい爽やかな青空が待っていた。
東名に乗る前に給油すべくいつものスタンドに向かうと…隣に厳ついエロいGRBが…!
ドライバーが 「やあ!」
( ´ ▽ `)ノ
と明るい笑顔を見せてくれたのが…
久しぶりに合う
アロエさんだった!
お互い渋滞の中でハンドルを握っていたので殆ど話が出来ずに別れた…
(今度ゆっくりお話ししましょう♪)
午前中にSAでいちのすけさんと合流!
みんカラでは珍しいマフラーとヘッドライトが純正のまま、フロントリップがない初期型GRBが2台揃った!(爆)
更に給油して富士SWの東ゲートへ到着。
心拍数が上昇し始める…
既に沢山の車が走行会の準備をしていた。
午前中はFSWのフリーのライセンス走行が行われていた。
そこにはガヤルド、R8、F430、アストン、などが激しい音を立ててコースを回っていた。
都合の良い場所を取り、荷物を下ろし、走行の準備を始める。
①荷物を全部下ろす。
②グローブボックス、コンソールボックスを空け、リヤシートのヘッドレストを外す。
③ホイールナットの締めをチェックする。
④空気圧を0.3bar下げる。
⑤ゼッケンを貼る。
⑥ラップショットを固定する。
そして…ドライバーズ・ミーティングの時間がやってきた。
あ!このホワイトボード、欲しい!(爆)
自分の部屋に飾って置きたい…!
開催者の説明の中では幾度も
「事故」、
「クラッシュ」、
「全損」という単語が飛んでくる…
段々不安になってきた…
アワワ Σ(□ ̄; )Σ( ;)Σ( ; ̄□)Σ( ̄□ ̄;) オロオロ
自分らの車に戻って走行の準備を続ける。
そして…
いちのすけさんの出番がやってくる!
不安そうに満面の笑みを見せながらヘルメットを被り、コクピットに乗り込み…
コースへと向かう!
行ってらっしゃ~い
( ^ ∇ ^)/~~
ピットの間にチラっと見えた。
ずら~っ
1周目は慣熟走行で追い越し禁止となっている。
2周目からは全開!!!


↑100Rを超えてヘアピンコーナーでの一コマ。
ストレートの方へ向かうとそこは次々と猛スピードでマシンが風を切って突っ走ってくる。
1.5トンの鉄の塊が時速200キロオーバーでコッチに向かってくる。
スンゲー迫力!!
ちょっと一眼を使って練習…
スパーーン!!!
MINIが猛スピードで通り過ぎて行く。
んー、
いちのすけさんはまだかな?
あ・・・
来たぞ、来たぞー!!!
どひゅーーーーーん!!!
は… はえ~!!
カメラに入んない~!! いちのすけさん、も…もうちょっとゆっくり行けないですか?(爆)
あ、そろそろ戻らねば…
ピットに停まってあったこの車のカギはどこにある?
なんてアホな事考えている場合でわないわな。
準備せねば…
ヘルメットを被る。
あ…暑い!
まるで水槽の中の熱帯魚になった気分だ。
外の音が聞こえない…
グローブをはめる。
クルマに乗り込んで、エンジンを掛けて、S#に。
当然VDCはonのままに。DCCDはオートに。
しゅっぱーつ!…
…なんて楽観的にはなれないわよ~。
並んでピットロードで待つ時は自分の世界が目の前の順番待ちの車の一点に集中する。
他に何も考えない。
他に何も見えない。
心拍数が上がるにつれ、車内温度も上がる。
あ~っ!!!! ドキドキドキ…
前の車が順番に動き始める。
「果たしてココから生きて帰れるだろうか?自走して帰れるだろうか??」
さあ!出番だ!
**その前に… 次の長~い文章を読む前に↓の音楽をplay!**
最初の1周目は慣熟走行で追い越し禁止。それは分かっている。
それでもかなりのハイペースで走る。
ミラーの中ではF1の様にタイヤを温めてジグザグで走っていて戦闘モードの準備をしている車が見える。
え~?マジで?
ココって初心者の枠ぢゃなかったっけ??
頼むから殺さないでね…
ストレートを走り、ピットを過ぎて… 周りの車は次第に全開モードにスイッチした!!!
慣熟走行で一列に並んでいたのが、バラバラにコース幅いっぱいに散り始た。
この状態でハイスピードで第一コーナーを迫る!
とてつもない恐怖感が脳裏を襲う。
自分の車の前にも後ろにも数台いる。 全員一斉にFULLブレーキ!!!
アドレナリンの分泌はMAX Lvに到達!
数台のクルマに囲まれながら第一コーナーを通過。
コカ・コーラ コーナーに向かって全開!
3速、6500回転で4速にシフトアップ!
更に6000回転でシフトアップ!
インに向かってブレーキ!
VDCが点灯!
体が強烈に右に引っ張られ、哀れな純正レカロは肩を支えきれていない…
右フロントホイールにブレーキが掛けられ車体の向きが行きたい方向へ回る…
VDC、スゲー!
と関心している間に100Rが迫る。
4速全開で体が強く左へ引っ張られながら通過する。
富士山をチラ見しながら体が横Gで滑る…
100Rを通過し、ヘアピンコーナーが顔面へ向かって飛び込んでくる。
ミラーには次第に近づいてくる後続車が写りこんでいる。
ひえ~!
ブレーキ!
十分に減速出来ていないままヘアピンを通過!
アンダーが出てVDCが体制を立て直してくれる。
同時に後ろの車から追い越される。
ヤル気モードに入り、300Rを通過中に6500回転まで全開に回して5速まで次々とシフトアップ。
公道では絶対に味わえない「快感と恐怖感の盛り合わせ」が全身を覆う。
すると遠くからダンロップ・コーナーが自分のフロントガラスに向かって猛スピードで突っ込んでくる。
周りの車のブレーキランプが次々と点灯!
こっちもブレーキだっ!
3速でタイトなシケインを通過する。
目の前に「日本のチクビ、富士山」が堂々と雲の間にそびえ立っている。
後ろから次々と後続車が迫ってくる。
追い越すのか?それとも逃げ切れるのか?
上り坂で先が見えない13コーナーへ向かう。
メチャクチャな走り方でブラインドコーナーを次々と通過する。
VDCが焦った様に「ヘタクソ!ヘタクソ!」と点灯する。
そして最終コーナーのパナソニックコーナーが差しかかる。
そこは最初は緩いカーブなのが急なアングルに曲がり逆バンクになっているかの様だった。
通過するとロングストレートが待っている。
すぐにフルスロットル、7000回転で4速にシフト!
更に5速にシフト!
猛スピードでアーチを潜り、ピットを通過する。
途中でリミッターに当たるが、GRBはいきなり「燃料カットぉ!」ではなく、ゆるやか~に180km/hに止まるので、後続車が突っ込んでくる事はない。
コース沿いに数人のギャラリーがコッチに向いているのが微かに解る。
第一コーナーがフルスピードで緩やかな下り坂で迫ってくる!
ココは安全第一で早めの緩いブレーキングで対処する。
この調子でノンストップで25分くらい周った。
周回を重ねていくうちに:
①ヘルメット内の温度は上がり蒸し風呂状態になる。
②集中力が低下する。
③体力が奪われる。
④意外と水温は上がらない(攻め方が甘いから?)
1ヒートが終わると、体、顔、頭が汗だらけになっている。
スポーツドリンクに飛びつく。
クルマの方は何ともない。
水温計は100度までには達していないし、ブレーキキャリパーのロゴも白いままだ。エアも噛んでいない模様。
1ヒートは快感よりも恐怖感の方が大きかったが、2ヒートは大分慣れたせいなのか非常に楽しい走り方を味わえた。
2ヒート後半は途中でトランク内で「ガタゴト」と異音が聞こえてきたが、走り終えるとなんと
サブウーファーのカバーが遠心力で外れていた!!
こわー。
1ヒートはラップショットのセンサーが地面から遠すぎたせいかうまく測定できず、2ヒートしかタイムが出なかった。
ベストが…
まー、責めていなかったし、怖かったし、こんなもんでしょ。
初走行という事もあると思うが、相当メチャクチャな「機械任せ」の走りだった。
VDCの「ヘタクソ警告」は点灯しっぱなしだった。
体は右へ左へ振り回され、ライン取りも○○もなかった。
周りのドライバーからして見れば初心者の枠といえども「なんだコイツわ…」と思われたに違いない。
ブレーキも後続車がいると接触を恐れてしまい、床までFULLブレーキは殆どしなかった。
今回の【ぽん号】の初サーキットの感想だが…
①走行が終わると、如何に自分の車は良く出来ているのかと実感できた。自分の車に対する見方が今までと変わった。パワーが十分あって、安全でスピンを上手く回避しながら楽しませてくれる。
②F1ドライバーは人間じゃない。
③富士の本コースはスピードレンジは高いが、コース幅が非常に広いので逃げ場はいくらでもある。コースアウトをしても先はアスファルトなので車に優しい。且つ、走行会の初心者の枠はみんな避けて紳士的な走りを見せてくれる。絶対に煽ってきたりはしないし不愉快な目には合わない。
④サーキットは面白い。楽しい。非日常的な異次元の感覚を味わう事が出来る。一度味わうと病みつきになり、何故みなさんが盛り上がるのかよく分った。
⑤公道で早く走って罪もない車を煽る事が愚かに見えてくる。
⑥フルバケは本気に真面目に走ろうと思うのなら必須アイテムになる。純正レカロは公道では問題なく使えるが、サーキットでは肩のサポートがなく、体が振り回されハンドルから遠くなってしまう。
⑦初めて走る時は一人でサーキットへ行くのは自殺行為。
⑧サーキットに来る時は撮影と走りを両立するのは困難。
いちのすけさん、お疲れ様でした!
本当に、本当に、ありがとうございました!