
オンボードHi-Fiオーディオは昔から考えていた事だ。
始まりは高校時代。パイオニアがODRというコンセプトを発表し、当時のBMW M5を完全にデジタル化させたデモカーを出した時だった。
CDプレーヤーからアンプまでの配線をすべて光ケーブルで接続し、情報の伝達のロスをゼロに近づけるのが目的だった。
スピーカーとそれに付随するアンプの数もハンパではなく、室内はスピーカーで、トランクはアンプで埋め尽くされ、トータルの出力が1000W近くまで上った。
だがあくまでも目的はむやみにボリュームを上げて爆音で走るのではなく、どんな速度域でも安定した音質を保つ事であった。
これを見た当時は当然免許など持っていなく、金銭感覚も全くなかった時代だが、とにかく憧れた。「一体どんな音がでるのか?聴きたい!」と興味深かった。
以来、10年以上が経って、ようやく免許を取得して丸目Imprezaワゴンを中古で購入。これはあくまでも「練習用。いつかは本命のマシンを…」と考えていたので自分が思うがままの本格的チューニングは考えていなかった。でも「いい音は聞きたい」と思い、メインユニットのナビに直結のカロッツェリアの2wayスピーカーをインストール。ソースは長距離運転が多いためLP2まで圧縮されたミニ・ディスク。「わーお!これで充分じゃ!」と最初思った。
だが… やはり高速を走り音量を上げると「何かが足りない…ちょっと違う…」と思い始めた。
そして今、GRBに乗っている。レガシィの様にMcIntosh製オーディオのオプションさえあれば全て問題は解決していたのにぃ。後付けしかないな…
納車にとりあえず前使っていたナビを移設して、これをベースにして作っていこうと考えていた。スピーカーはまだ標準のモノ。ナビの音声案内さえこもっている…
最初に計画していた設定は、ナビにアンプを一個接続してそこからFツイーター(ダッシュボード)、Fミッド(ドア)、Rツイーター+ミッド(ドア)、Rサブウーファー(各ドア)をドライブするというのを考えていた。
パイオニアのM5みたいに、とにかくスピーカーの数を増やせば雑音に負けないだろう。
当然このような大掛かりな工事は自分では出来ない。そもそも行う場所がない。駐車場はアパートの機械式で行列(?)が出来る時さえある。そんなところでDIYなんかやっていたら…
なおかつ新車なので失敗など許されない。
となると…店へ行くしかないか。専門雑誌を見ると色々出てくる。
最初に入ったお店(超大手の)にはデモカーが置いてあった。流石に音はいい。が、音量が少し高かったのか評価しにくかった。トランクの底はガラス張りになっていて青のネオンがアンプを照らしていた。
スピーカーはフロントの2wayとトランクのウーファー。以上。あれ?リヤの席は?
デモのスピーカーが色々あったので試聴。Diatone、懐かしい!1ペア50万…マジ?誰が買うのか知りたい。
スタッフに色々質問をする。やたらと話が永い…自慢話も多い。んー、大丈夫かココは?
スピーカーはフロントにツイーター+ミッド。リヤにサブウーファー1個あればいいとの事。アンプは2個。これぞオンボードHi-Fiだと。4スピーカーにする必要などない。
トータルで100万は超える。げーっ。
スケジュールもかなり順番待ち。あっそ。
しばらくして次のお店へ。
そこには1600万のマシンの室内が完全にバラしてあった。スゲーっ。こういうのを見ると何となく安心して我が子を入院に預けてもいいと思ってしまう。
この店の拘りはいい音を出す事とじっくり作る事。
早速診断を…
①ナビはメインユニットタイプだからHi-Fiオーディオのメインソースに向いていない。CDプレーヤーを別途付けるのなら、ナビは使いにくくなる。ナビの音声案内の音量がCDプレーヤーの音量と連動してしまう。なので、ソースユニットタイプのナビとの交換が必要(チャリ~ン♪)
②アンプの置く場所がない。Fシートの下は可能だが、雨の日に後席に人が座る時に心配。トランクの横にエンクロージャーを作る事は可能だが費用がかかるし、更にトランクの幅は狭くなる。トランクの底しかない。スペアタイヤはどこへ?答えは簡単だ。自宅に置いとく。パンクしたら取りに行けばいい。
③サブウーファーは各リヤドアに設置などは不可能。相当な補強が必要なのでドアが重量に耐えられるか。1個、トランクの隅っこに置けば問題なし。だがココが一番手間と費用が掛かる…
なるほど。
新型インプは静かになったので思い切ってHigh Fidelity に踏み切っちゃいましょうか!でも勇気が…
じゃ、とりあえずココのお店で決定。で、こっちからの注文:
①見栄えは出来るだけ純正に近い状態に。
②音の調整、味付け、などに関しては100%お任せ…
③銘柄は、スピーカーはフォキャル。それ以外はカロッツェリア。が、憧れのODR搭載のXシリーズは全く手が届かぬ…
前回のお店で大体どれ位の金額になるのか知っていたので、見積もりが相当跳ね上がるのを覚悟してたのだが… 機材に100円使うのならインストール費用に50円プラスする考えで機材を選ばなければならない。
もう既に自分には必要以上のレベルになって「豚にキャビア」状態になってしまったー。親が知ったら泣くぞ~
出来れば自分で色々やっていきたかったが、カーオーディオはデジタルシステムを組むとなると最低の知識がないといい音が出ないらしい。
a.車内のケーブル類をノイズが発生しない様に組む。
b.スピーカーから出る音をキレイに耳に届くようにセットする(バッフル、デッドニング、スピーカーの向き、etc…)。
c.CDから出る音を分割する、何処から何処までの周波数をサブ、ミッド、ツイーター、と分ける。
d.各々スピーカーの位置が異なるので耳まで届く距離が違うのでタイムアライメントを調整する。
これらには一切自信がないので…
結局は以下の通りのシステムに決定。
①ナビ:カロの楽ナビのソースユニットタイプ。音声案内はディスプレイの裏のスピーカーから。
VICS、Bluetooth、TVチューナー、iPodリンクなどは必要ないので一切付けない(どこ行っても渋滞にハマるんで、ハマったら音楽をきけばいい。TVはクルマで見た試しがない。FMで充分)。これにはMusicServerが付いていて②に光ケーブルで連結。取り付け位置は1DINの上部。マイクはマップランプの横にセットされる(写真)。
②メインユニット:カロのDEX P01Ⅱ。CDプレイヤー及びラジオ。アンプがないモデル。見た目はインテリアに完全に溶け込んでいて目立たない。1DINの下部にセット。③のプロセッサーに光ケーブルで連結。
③プロセッサー:カロのDEQ P01Ⅱ。トランクの底の下段にセット。音の分割をデジタルで行うハコで、②を通じて調整できるイコライザー機能とタイムアライメント機能を備える。④と⑤のアンプに連結。
④フロントスピーカー用アンプ:カロのPRS A900。左右完全独立型の4chアンプ。MaxPowerは100W×4。⑥と⑦をドライブ。
⑤サブウーファー用アンプ:カロのPRS D7100。デジタルモノラルアンプ。MaxPowerはなんと800W… ⑧をドライブ。④と並んでトランクの底の上段にセット。
⑥ツイーター:ここでやっと音が出た!FocalのUtopia Be No6のツイター。ベリリウムで出来ている。選択理由は試聴した中では一番爽やかだったので。左右Aピラーの中に埋め込み。
⑦ミッド:FocalのUtopia Be No6のミッド。左右ドアの標準スピーカーの位置に。インナーバッフルが付けられ、ドアの中には防音材が追加される。ボトル置きはそのまま確保。
⑧ウーファー:FocalのUtopia 21WX。トランク内部の左側にウーファーボックスを制作し、インストール。
これらの機材は完全にテイラーメイドでインストールされる。ワンオフのトランクの底の工具入れだけでもSubaru純正の作りの質を軽く超えていた…
インプレッサのオーナーはクルマの「走り」を磨く方向が多く見られて、逆にこの様な「快適第一」を目指すのは誰もいない… みんなコレを見て「邪道」だと思うかもな~
さて、問題はこんなにメタボってしまっては、この後サーキットに転がす事は出来るのだろうか??