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2026年06月12日

SUキャブレーターとそのメンテ準備

SUキャブレーターとそのメンテ準備
私のスピットファイアMk3には、SUキャブレターのツインキャブが付いています(タイトル画像)。

SUとは、1910年にイギリスで設立されたキャブレターメーカーのスキナーズ・ユニオン(Skinners Union)の頭文字だそうです。ぱっと見たとき、伏せたカップに真ん中からパイプを生やしたような形をしているのが特徴的です。

このSUツインキャブは、純正のままかと言うとちょっとだけ違っていて、Mk4用の純正に交換されています。こちらがネットから拾ったMk3の純正のツインキャブなのですが、

ロッカーカバーの真ん中からブローバイガスを吸気に戻す経路が違います。

私のMk4用は前後2つのキャブの根元(スロットルより前)に戻すようになっていますが、Mk3用は後ろ2気筒のスロットルより後に付けられた丸いデバイスに戻すようになっています。丸いデバイスは、圧力調整用のブリーザーバルブのようです。

あっと、そうそう。このエンジン上部のカバーは、カムカバーではなくロッカーカバーです。OHCではなくOHVなので、カムはクランクシャフト近くの下の方にあって、このカバーの中にカムはありません。

こんな感じでMk3用とMk4用のキャブは多少違うんですが、基本的にはほとんど同じものだと思います。前オーナーさん曰く、Mk4用はMk3用よりも吸気がより冷え、エミッションが少ないそうなんですが、どうなんでしょうね(真偽・程度不明)。


さて、先月、スピットファイア乗りの人と会ったときに、

 「純正のままのキャブとは珍しいですね」

と言われました。まるで初めて見るかのような口ぶりで。

 「???」

そのとき、私はピンと来なかったんですが、そう言われれば、日本で見る数少ないスピットファイアにおいては、SUキャブからWeberに変えてあることが多い気がします。


これは、その方の1500のインテーク回りですが、シングルのWeberに変えられていました。


また、例えばネットからの拾いものですが、九州方面のあるMk4では、こんな感じにツインのWeberになっていたり。


私は、イギリスやドイツで車を探していたとき(@ネット)、なかなかこれぞと思える車に巡り合えなかったために、結果的にトータル200台以上の車をチェックすることになったと思います。そのほとんどは、SUキャブのままでした。Weberに変えてある車もあるにはありましたが、極めて少数派でした。

なので、純正のSUキャブが珍しいなんてつゆとも思わなかったんです。ほとんどがそうでしたからね。それを考えると、日本でのWeberへの交換率はちょっと異常なような気がします。

単なる聞きかじりですが、Weberは、
 ・固定された大径の吸気口で、高回転域でのパワー、加速ポンプによる鋭いレスポンスが得られ、
 ・メインジェット・エアジェット・ベンチュリーなどの無数のパーツを交換して、細部まで徹底的にチューニングできる
(でも、あまりにもできることが多すぎて、ノウハウがないとまともにチューニングできない。https://motor-fan.jp/article/76751/)、
優れたキャブレーターなのだと思います。

でも、高回転まで回すことのできないスピットのエンジンの場合、パワー重視で高回転まで良く回るというWeberの特性はあまり活かせないと思うんです。しっかり回すときでも、精々4500rpmくらいしか回さない(回せない)エンジンですからね。低中速域でのドライバビリティこそが重要だと思うのです。

その点、SUキャブは、吸入空気量に応じてベンチュリー径が変わる仕掛けにより、フラットで低速域で扱いやすいトルク特性になるそうです。そう聞くと、明らかにSUの方がエンジンの性格に合うと思うんです。2000rpmも回せば十分キビキビ走れるのは、低回転で扱いやすいSUキャブの恩恵も少なくないんじゃないかと思っています。

日本では、スポーツカーにはWeberだ!Solexだ!とされているから、交換したがりになっていたんじゃないかと言う気がします。スピットファイアは、車全体としてはある種のスポーツカーだと思いますが(Lightweight Sports)、エンジン単体としては、大衆車用OHVのままなんですけどね。


そんな感じで、SUキャブがいいと思っているんですが、吸気径を可変にするための負圧を利用した可動機構があると言うことは、そこのメンテナンスが必要となると言うことです。

SUキャブの構造を簡易的に描くとこんな感じで(最近はAIが使えてありがたい)、


見た目の特徴であるカップの中には、負圧で上下するピストンが入っています。

このピストンの上下で、燃料ノズル部の口径が変わるわけですが、ざっくり絵にするとこういう動作だと思います。


スロットルを開けてエンジンが回り始めると、空気が吸い込まれるために負圧が高まります。スロットル直前の負圧が強くなると、ピストン上部のサクションチャンバーからも空気が吸われて、ピストンが上に上がります。ピストンが上がるとベンチュリー径が拡がると言う仕掛けですね。

負圧でサクションチャンバーから空気が抜けるのは、ピストンの下のスロットル側に穴が開けてあるからですね。


さらに、ピストンにはジェットニードルが固定してあって、燃料の出具合を調整する仕組みにもなっています。部品点数が少ないシンプルな構造なのに、よく考えられているなぁと感心します。これを100年以上前に考え出したスキナーさんはすごいですね。

例えばWeberだと、ジェットだけでも何種類も使われていて、流路の調整をする部品やら何やらいっぱいあって、めっちゃ複雑なんです。



SUの話に戻って、そのピストンの動きが悪くなると、エンジンの応答が悪くなったり、ギクシャクしたりするようになるそうです。私の車はそんなことにはなっていませんが、定期的な掃除が推奨されているので、そろそろバラしてピストンとサクションカップを掃除した方がいいんじゃないかと思っています。

また、このピストンが過剰に反応しないように、真ん中のパイプのところにオイルダンパーが仕込んであって、その粘度によって、応答の程度をチューニングできるようになっています。バラして掃除するならば、このオイルも交換してみようと思っています。

で、SUキャブ専用オイルもあるんですが、ほんのちょっとしか入っていないのに、なかなか高いんです。


ここのオイルは、そこそこのダンパー抵抗になりさえすればいいようで、結構適当でも大丈夫だそうです。ただし、気を付けるべきこととして、
・ゴム攻撃性のないオイルにすべし(昔の化学合成油は注意)、
・洗浄、浸透、防錆等を目的とするものは避けるべし、
・シリコンオイルのようにガソリンと混ざらないオイルはさけるべし、
とのこと。

少し調べると、スピットファイアで一般的に使われている20W-50のエンジンオイルをそのまま使う人が結構いらっしゃるようです。


確かにそれならば、継ぎ足し用に手元にあるでしょうから、別途用意する必要もなくていいですね。でも、専用オイルよりも粘度が高くなる(ねっとり固くなる)ため、多少アクセルを開けたときの反応が穏やかになるようです。

他の代替オイルとしては、オートマ用のATFか、


バイク用フォークオイル5W~10Wが専用オイルに粘度が近くてお勧めだそうです。


ATFは化学合成油ですが、その目的上、シール保護成分がたっぷり入っているので、まったく問題ないようです。バイク用のフォークオイルは、ダンパーオイルそのものですから、それも良さそうです。でも、これらは、(探せばあるのかもしれませんが)あまり少量で売っていないんですよね。数mLしかいらないので、1L缶でも多すぎます。値段は純正オイルよりもだいぶ安いのですけどね。

似たようなものとしては、ラジコン用のダンパーオイルなら少量で売っているのですが、シリコンオイルを使っているものが多いようです(それは上述のようにNG)。鉱物油のものもあるようですが、メーカーによって粘度がばらばらで、かつ硬いものが多いようなので、SUキャブ用に合うものを探すのが面倒そうです。

と言うことで、もうちょっと調べると、ミシンオイルを使っている人もいるとのこと。ただし、ミシンオイルだと今度は柔らか過ぎて、ダンピング不足で過応答になりがちなようです。

これらの情報から少し考えてまして、こうするのはどうかと思いました。



AIにもいいんじゃないかと言われたので、これでいくことにして、こちら3点を用意しました。


エーゼットの100mLミシンオイル197円と、


オイルを混ぜる油差し58円と、

エンジンオイルを少量とるためのスポイト61円です。


これらは、ヨドバシ・ドットコムで買いました。ヨドバシは、安いものでも送料込みの値段なので、配送までしてもらっても3つで316円です。

これで、オイル代が安く上がるうえに、無駄に多量になることもなく、かつ、かなりの幅で粘度調整まで試せます。良いところだらけなんじゃないかと思います。

なお、百均にもミシンオイルに似た「万能オイル」と言うものがあるのですが、入っているかも知れない混ぜ物がよくわからないので、昔ながらのミシンオイルにしました。また、百均には百円未満のものを売っていないので、残り2つは百均で探さない方が良いですね。3つトータルでは百均より安くあがっています。


それから、ツインキャブのうちの後ろ側のキャブは、ジェット調整ナットを回したときの反応が悪いので、ジェットの動きが悪くなっているんじゃないかと言う気がしています。


ここもバラせば確認できるはずなので、ピストンメンテと一緒に見てみたいと思います。


と言うことで、SUキャブのメンテの準備はできたので、近いうちにやってみたいと思います。
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Posted at 2026/06/12 22:07:22

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この記事へのコメント

2026年6月12日 22:36
トライアルにも少しオイル置いてありますがどうでしょう?最近オイル不足だしそう言った意味で欠品?カルマンギアもそろそろオイル交換しないとって感じですが、お店にストックについて一才聞いてませんww
コメントへの返答
2026年6月13日 8:01
ん? エンジンオイルのことですか?
20W50の未開封の4L缶を2缶と、3Lくらいの使いかけがあるので、しばらく大丈夫ですよ。
トライアルにはそんな硬いオイルはないでしょうね。

オイルはメーカーにはあるようですね。途中の商社が売り渋っているようです。政府がその目詰まりの対策に乗り出していますね。
2026年6月13日 5:38
SUという字面を見ると、ボクの専門ではスルホニルウレア剤(SU剤)っていうクスリを思ってしまいます。2型糖尿病治療薬です。

「クスリは売り物。自分が使うようになったら終わりや」と思っていた学生時代ですが、少しずつ飲むクスリが増えてきました。でも糖尿病薬はまだです(笑)


ベンチュリとかベルヌーイとかを見ると、化学合成や天然物からの抽出などをやっていたので、流水ポンプを常用していました。水道水が流れる勢いで有機系溶液から溶媒を飛ばすのですが、研究室に入りたての頃、ちょいと手を洗おうと思って先輩がジャージャー流しているその流水ポンプの排水で指先をちょちょいと洗ったつもりが、水の中にはかなりの溶媒が混じっているもんですね、指先がベトベトになり、中性洗剤でしつこく洗わないといけないことに。
無知ゆえの急がば回れ。



失礼しました。
コメントへの返答
2026年6月13日 9:45
私の場合は、SUと言うと他人事には思えない親しみを感じます。もしかして、私用?って。

遺伝的に糖尿病にはいつかなるんじゃないかと思っているんですが、私も今のところ大丈夫ですね。親しみを感じても、SU薬飲まないで済むようにしたいものです。

流体の挙動って、直感とちょっと違ったりしますからね。
2026年6月13日 5:52
昔乗ってたスカイラインはSUツインキャブでした。オイルはエンジンオイルを使ってました。オイルは減るので時々足してやる必要がありました。
ツインの場合は左右の吸気バランスをとるととてもよく回ります。
バランスをとるにはドイツ製STEキャブシンクロテスターがとても使いやすくて効果的でした。
SUは加速ポンプ無いのでウェバーの様な瞬発力はありませんが、ダンパーオイルを硬くすることでレスポンスを調整することができました。

コメントへの返答
2026年6月13日 10:02
日産はスポーツモデルにSUキャブを使っていたんですよね。ダンパーオイルは減るようですが、私のはあんまり減らないみたいです。他のキャブとの比較ができないんですが、私のSUツインキャブもよく回ると思います。ツインは、何というか、まだまだ全然イケマス的な容量的な余力を感じますね。可変ベンチュリーのおかげか、低回転でグズったりもしませんしね。平凡なエンジンでも気持ちいいです!
STEシンクロテスターは使っています。ほとんど経時変化しないみたいで、確認だけに終わることが多いですけど。
ダンパーオイルは粘度を変えて試してみたいですね。
2026年6月13日 8:10
おはよう御座います。

私のMidget1500は、SUのHS4ツインに交換しました。
ダンパーオイルは、エンジンオイル20w-50を使っています。
冬季の寒い時期だと、スタート後被ったようなもたつきがありますが、春先になると解消するのでこんなもんだと思っています。
SUのダンパーオイルは、輸入チェックリストに入っていますが未だ実現していません。
ミシンオイル混合面白そうですね。
コメントへの返答
2026年6月13日 10:51
おはようございます。

日本で買うと、SUキャブのダンパーオイルは、125mL入りで4千円弱くらいのようですね。イギリスだと10ポンドを切るくらいみたいなので、何かのついでに買うなら輸入の方がいいですね。

私の車は、冬場でももたつきを感じることはなかったので、柔らかいオイルが入っているのかも知れません。前オーナーは、相当こだわりのある人だと思うので、専用オイルが入っているのかも。

昔ながらの安いミシンオイルを使う問題は何もないと思うので、ブレンド調整は面白そうです。
2026年6月13日 8:25
ATFとかです♪僕のカルマンはシングルグレードの30とか40とかなので、細かくみてるんですよwいまだに栃木で売ってるとこ見かけないので、ケンドールのオイルをメーカーから直で買ってます♪最近はオイル補充必要なしですが(走ってないってのもありますw)。
コメントへの返答
2026年6月13日 11:03
ATFは一瞬買おうかとも思ったんですが、量が多すぎますからね。

シングルグレードの硬いオイルは一部のマニアにしか売れませんから、店頭に普通に置いているところなんてほぼほぼないんじゃないですか? あるとすると、それこそ専門店とか。マルチグレードでも硬いオイルは置いていませんしね。
2026年6月13日 8:27
ほんと米と一緒ですよ。間の業者いらないですよね〜。タンカーでは十分持ってきてるし、港にもまだ大量のストックはあるそうです。オイルショックのような動きやめてほしいですね。まー食品もそうですが、なんか問屋って薄利多売でやってるせいか、感じ悪いっすね。どこも。
コメントへの返答
2026年6月13日 11:09
まあ、隅々までものを流すには間を取り持つ人も必要だとは思いますが、世の中の足を引っ張らないようにして欲しいものです。いつもはなかなか儲けられないから、好機に映るんでしょうけど。
2026年6月15日 0:32
こんばんは~・・・。

私もSUツインキャブのL20エンジンとソレックス40の2TGエンジンそれぞれ5年程を実際に走らせたことが有りましたが、SUツインは滑らかさが良かったですね。可変ベンチュリー式の良さでしょうか?、次に2TGのソレックスはウエーバーと似た構造ですが、キャブ本体にエアーファンネルを付けてエアクリーナを外して良く走りました。理由は吸気音を楽しむためでした。被らせ気味にスロットルを早めに開けて行く時の吸気音が素晴らしくエキサイティングなのです。特にカムシャフトをオーバーラップの大きなものに交換した場合などでは、被らせ気味にスロットルを早めに開けて行く時のバックファイヤー(アフターファイヤーでは無い)を起こしながらの吸気サウンドは素晴らしく、切通しやトンネル内では正に快感でした。
その事からもしかしたらですが、ウエーバーキャブに交換して最も変化が大きいのは吸気音なのかもしれないと思いましたが違ってたらゴメンナサイです。全開時の動力性能性能よりももしかしたら吸気音の良さかなあ?等と想った訳です。
コメントへの返答
2026年6月15日 7:29
私自身はWeberもSolexも使ったことがありませんが、吸気音が良いと言う人はたくさんいらっしゃいますね。音は大事ですから、吸気音目的で変えている人もいそうです。
バックファイアって、燃料が薄すぎて燃焼が遅れる(ときにはまだ吸気バルブが開いている)から起きるんじゃなかったでしたっけ? まあ、いずれにしても程々にしておかないといけないのでしょうけど。
2026年6月15日 23:27
再コメ失礼します。

ソレックスキャブレターの話ですが、私の経験で話すと、低回転時にアクセルを7割程度以上に踏み込むと、所謂カブリ状態になります。つまりその時は加速ポンプも働いて燃料のメインノズルからも多すぎるガソリンがベンチュリー付近に出て行きます。すると吸気側のバルブが閉じる前の隙間からシリンダーの火炎がインテークマニホールド、キャブレターの中の霧化したガソリンに火をつけてしまって爆発が起きるのです。
この場合の仕組みはガスが薄いわけでは無く濃すぎているほど濃い時に起きます。更にセッティングでは点火タイミングも速く、カムの特性もレース用の様に高回転時に適応させたオーバーラップが大きい仕様の時に起こり易くなる現象です。
それが加速状態で多めにガスが出る様なスロットルワークで意識的に出来てしまう事でキャブから火が見えるほどのバックファイヤーの連続で吸気管内爆発音を楽しめる結果になるという訳です。
コメントへの返答
2026年6月16日 6:58
そう言う場合にもなるんですね。

プロフィール

「@プリマヴェーラさん、 ヨタハチいいですね。大衆車のエンジン・シャシーを利用して、スポーツカーに仕立てたというやり方が、私の車に似ているんですよね。時期もほぼ一緒ですし。」
何シテル?   07/21 20:12
2021年にF355を購入したことを契機にみんカラを始めました。案外向いているようで、今のところ続いています。 スーパーカーブームの頃、一番好きな車はミウ...
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