
概要
とってるログから馬力やトルクを計算してみた.概形はそれっぽいけど値はあまり信頼できないグラフになった.
結局馬力いくらなん?
ECU書き換えやパフォーマンスパーツの取り付けなどをしたら気になる.でもシャシダイ (dyno) に乗せて測るのは面倒.という訳でときどき取ってるログから「理屈上はたぶんこんな感じやろ」という方法で概算した.果たして400馬力出てるのか?
結果
こういう絵なら描けた.横軸がエンジン回転数,2本のグラフはそれぞれ赤線が出力 (power; 右縦軸の仏馬力 ps) で青線がトルク (左縦軸 Nm).
概形はなんとなくそれっぽい感じ.出力はエンジン回転数とともに上昇しており,トルクは3,000回転過ぎからフラットっぽいのはターボ車らしい.
ただ「400馬力いってるか?」といった問には自信をもっては答えづらい.計測誤差の影響で線がギザギザしており,右軸の 400 に到達しているかはとても微妙な感じ.車輪出力からエンジン出力への補正も適当な係数を使ったので,ある値に到達しているかどうかは何とも言い難い.この点についてはシャシダイなどを用いた場合にも駆動系の損失を補うために補正をする(1)ようなので,そもそもエンジン出力を推定するのは難しいとも言えそう.
もっというと,後述のように測定方法も色々な仮定や測定誤差をもつため,「パーツを入れ替えた効果はあったか?」といったビフォーアフターも劇的な差がなければ判断できないという感触.
とはいえ,全然見当外れな結果でもなさそうだしお勉強 & お楽しみにはなったので個人的には試してよかったかなと思った.
計算方法
ログには測定開始からの経過時間と車速があるので,運動エネルギーの増分とその加速にかかった所要時間から仕事率 (≒馬力) を計算した(2).だいたい次の仮定のもとに計算していることになる.
a. 地面は平らなので位置エネルギーの変化無視できる (エンジンの仕事は運動エネルギーのみに影響する).
b. 補正係数は 1.15 を利用 (エンジン出力が115馬力とすると,100馬力分だけ加速に使われて残りはトランスミッションやタイヤ摩擦で消えたことにする).
c. 車重は既知とする (カタログの重さ + 自分の体重 + ガソリン 0.75kg/L)
d. ログの時刻・速度・回転数は正確とする.
で,使う計算式は上記の通り.ログには左のような情報が 0.1 秒ごとに記録されておりいる.適当な窓幅 (図では 0.3 秒) の間での運動エネルギー差を求めて,所要時間で割ることで仕事率 (出力) とした.式にて m は車の質量,v, t はそれぞれ車速と時刻を表す.車速を 3.6 で割っているのは時速から秒速に変えるためで,10-3は W から kW (キロワット) にするため.あとは 1kW = 1.36 ps (仏馬力) で変換すると見慣れた馬力となる.エンジン自体の出力を見積もるためには仮定 b. の補正をしたが,ココの値の妥当性が怪しいため「400馬力いってるか?」に答えづらい一因になっている.
馬力が得られると,対応する回転数もわかっていれば図の右下のように計算できる.馬力の推定自体に時間幅をもたせて計算したので,対応する回転数も大体まんなかという値を代用した.
これで,大体 0.3 秒という短い時間における馬力とトルクを計算した (ログを模した図の例だと 2.5--2.8 秒).あとは,これをずらしながら計算することで (例: 2.6--2.9秒,2.7--3.0秒 etc.) 上の結果図を求めた.
なんかギザギザしたグラフになってしまった理由は仮定の d. を満たしていないのが理由の1つとして考えられる.0.1 秒おきというのは粗いし,速度も1km/h刻みの解像度なので短い時間の差分から計算される出力が不正確になってしまう.一方で,時間窓を延ばすとその間で出力が変わってしまうのでやっぱり正確さを損なう要因になる.
iDrive のスポーツ表示を使えばよくない?
あれが表示しているのはアクセル踏み具合・スロットル開度・回転数などに基づいて,「これぐらい出てるやろ」と事前に用意されたテーブルから値を引っ張ってきて表示している (つまり何かを測っている訳ではない) モノな気がする.もしかしたらエンジンについている空気流量や空燃比などのセンサの値なども使って頑張って計算しているかもしれないが...
今回自分が計算したものも正確さには疑問が残るが,少なくとも計測に基づいて算出している点では iDrive に表示される馬力よりはマトモな要素があるかもしれない.いずれのものも,正確さは怪しいので飾り程度の数字として味わうのが良いかもしれない.
まとめ
なんとなく馬力などを計算したが,走行ログから正確な数値のグラフは得られなさそうだった.なので,キレイなグラフがほしい場合はシャシダイナモやダイナパックなどを利用すると良さそう.ただし,それらの機器もそれぞれで仮定をおいて測定しているので,値の単純な比較 (純正仕様のカタログ値も含めて) は難しいので,チューニング効果を知りたいといった目的の場合は測定方法を固定していじった前後になるべく同条件で測定するのがマトモだと思われる.
参考サイト
Posted at 2022/03/15 21:38:15 | |
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