昭和から平成に変わる頃、週末にはよくワインディングに出かけていた俺たち。
肌には皺や弛みも無くぴかぴかしていた頃。
そこで出会ったのが、最新鋭の4WDターボのマシンに乗るタマちゃんだった。
白いマシンを自由自在にスライドさせ、狭いワインディングを目が眩むような速度で駆け抜ける姿は
まるで飛行甲板から打ち出された戦闘機のようだった。
おれたちは、タマちゃんがどんなテクニックを使っているのか気になって仕方がなかった。
そして、なんとか仲良くなって横に乗せてもらえる日がやってきた。
スタート前には緊張と興奮でやけに饒舌になっていた俺だったが
そのときタマちゃんは虫も殺せないような優し気な顔で
「じゃあ、イクよぅ~~ しっかりつかまっててね ウフ」と、若干ねっとりしたカンジで言った。
マシンは猛々しく加速していき、ヘアピンカーブが迫りくる。
その刹那、地球の自転が停止するかと思うような減速Gが!そして、その瞬間、おれは度肝を抜かれた。
なぜなら、タマちゃんがうっとりした表情で屁をこいでいたからだ。しかも、これがたまたまではない。
必殺ブレーキのとき
とっさのカウンターステアのとき、
アンダーになりそうでサイドブレーキを引くとき、等々
臭いは無いものの、聞くに堪えないすばらしい音がする。
そんなタマちゃんの変人ぶりに、俺はただ打ちのめされた。
放心状態で助手席に座っていると
「大丈夫?気分は?なにか飲む?ぼくのアパート近いから休んでいく?」と、とても親切にしてくれたが
俺はなんとなく早く帰りたかった、頭の中に警報が鳴り響いていたからだ。
その後、タマちゃんと会うことはなかった。
しかし、仲間が「あんなー タマちゃんてゲイなんでー しっとった?」と言ったとき
俺は全身に嫌な汗が噴き出すのを感じた。
あ、危なかったであります‼(心の叫び)
ガードレールの向こうには名も知らぬ花が風に吹かれてゆらゆら揺れていた。
おしまい。
Posted at 2023/05/06 08:51:45 |
トラックバック(0) |
日常 | 日記