業務用チョコ大手「不二製油」“持続可能性”配慮の製品出荷へ
2022年5月31日 16時40分
チョコレートの原料となるカカオ豆を巡っては、主産地のアフリカなどで児童労働や環境破壊などが問題となっています。こうした中、大阪に本社がある業務用チョコレート大手の「不二製油」は、児童労働の撲滅などに取り組む産地からのカカオ豆の調達を強化し、持続可能性に配慮したチョコレートを来月から国内向けに出荷することになりました。
チョコレートの原料であるカカオ豆は、アフリカや南米などの地域で生産されていますが、児童労働や森林の伐採による環境破壊などが問題となっていて、欧米では持続可能な生産体制に移行するべきだという声が広がっています。
こうした中、業務用チョコレート世界第3位の「不二製油」は、児童労働の撲滅や生産者の所得向上に取り組むなど、自社の基準を満たした産地からのカカオ豆の調達を強化し、持続可能性に配慮したチョコレートを来月から国内向けに出荷することになりました。
会社によりますと、こうしたチョコレートは国内で生産される商品の数%程度を占める見込みですが、今後、割合を増やしていくことにしています。
会社ではこうしたカカオ豆を購入する際「プレミアム」と呼ばれる支援金を上乗せする仕組みにしていて、生産者への支援を通じて、2030年までに自社のカカオ豆の調達網から児童労働を撲滅させることなどを目指すとしています。
消費者の理解と負担がポイント
日本では欧米と比べて、生産者や環境に配慮したカカオ豆への支援や調達の取り組みが遅れていると指摘されてきましたが、小売業界を中心に徐々に対応が広がり始めています。
このうち流通大手の「イオン」はプライベートブランドのチョコレート商品に使うカカオ豆について、2030年までに、国際機関が認証していたり、会社が生産者などを直接支援していたりするものに転換する方針を掲げています。
また、チョコレートの製造・販売を手がける「明治」は、アフリカや中南米など9か国で、生産性の高い苗木の無償配布や営農指導などの支援を実施しています。
「明治」では2026年度までに調達するすべてのカカオ豆について、自社を含め、こうした支援を受けた地域で生産されたものに切り替える方針を打ち出しています。
今回、業務用チョコレート大手の「不二製油」も同様の取り組みを進めることで、生産者や環境に配慮して作られたチョコレートの流通経路が増えることになります。
持続可能なカカオ生産者に適切な対価を支払う分、価格が上乗せされることになりますが、こうした商品に消費者が理解を示し、相応の負担を受け入れていくかが普及のポイントになりそうです。
Posted at 2022/05/31 20:06:44 | |
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