
追加賠償、東電が基準公表 過酷避難、ふるさと変容...計280万円
2023年02月01日 08時40分
東京電力は31日、福島第1原発事故を受けた国の賠償基準「中間指針」が第5次追補として見直されたことに伴い、過酷避難などに関する追加賠償の基準を公表した。指針に沿い居住制限、避難指示解除準備の両区域の住民に計280万円を支払う。第5次追補で賠償の対象から外れた県南9市町村と宮城県丸森町には自主的に6万円を追加賠償する。請求の受付開始日は3月中をめどに示す。
追加賠償額は【表】の通り。追加されたのは▽第1原発20キロ圏内からの過酷避難に30万円▽居住制限、避難指示解除準備の両区域のふるさと(生活基盤)変容に250万円▽相当量の線量地域に滞在したことによる健康不安に30万円―など。東電は追加賠償の対象について、過去の実績を基に148万人、3900億円と見込んでいる。
一方で文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が「自主的避難等対象区域」への追加を見送った県南や丸森町には自主的に追加賠償する。東電の小早川智明社長は第5次追補の決定後、独自に追加賠償する方針を示していた。与党東日本大震災復興加速化本部などからの申し入れも踏まえた。
県南、丸森町への追加賠償は、自主的避難で生じた生活費の増加分や避難しなかった場合での放射線被ばくへの恐怖、不安による精神的苦痛などが対象となる。東電は子ども・妊婦を対象に既に1人当たり20万円を賠償しているため、追加賠償では妊婦・子どもを除いた。
高原一嘉福島復興本社代表は「今回公表した以外の詳細を3月に示せるよう準備を進めていく。被害を受けた方々の個々の事情に向き合い、丁寧な対応に取り組んでいく」と語った。
精神的損害巡る訴訟裁判所の和解案尊重
東電の内田正明福島復興本社副代表は31日、第5次追補の趣旨を踏まえ、事故に伴う精神的損害を巡る訴訟について「裁判所の和解案を尊重し、応じていく姿勢で考えている」との方針を示した。
東電を相手取り精神的損害に対する賠償を求めた集団訴訟を巡っては、避難状況などが異なる個人ごとの賠償額で折り合いがつかずに判決まで裁判を継続するケースがあった。判決で従来の指針に示された基準を上回る賠償額が示され、原賠審が中間指針を改定した経緯があり、東電は「個別の訴訟の内容による」としつつも、和解案に応じていく見通しだ。
またこれまでの訴訟で決定した賠償額の支払いを受けた人のうち、今回の基準を下回る金額だった人に差額を支払う意向も示した。
区域ごとの追加賠償例
Posted at 2023/02/01 12:34:47 | |
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