夏休み終わる時期 悩みのことば 検索急増
2024年8月31日 20時10分
子どもたちがタブレット端末などで自殺などの深刻な悩みに関することばを検索すると、相談窓口などが自動で表示される機能を百数十校が導入したところ、夏休みが終わる今週にかけて多く表示されたことが分かりました。子どもの自殺は夏休みなどが明ける前後に増加する傾向にあることから、支援を行うNPO法人は「ひとりで抱え込まないでほしい」と呼びかけています。
この機能は自殺を防ぐための活動をしているNPO法人が開発した「SOSフィルター」と呼ばれるもので、自殺やいじめ、虐待などに関するおよそ4800のことばが登録されています。
子どもたちがこれらのことばを検索すると、内容に応じて相談窓口の連絡先のほか、「気持ちを書き出す」とか「保健室に行ってみる」などと気持ちを和らげる方法などが自動で表示されるようになっています。
8月から3つの自治体の小中学校や高校など百数十校が導入し、子どもたちに配備されているおよそ4万5000台のタブレット端末などにインストールされました。
開発したNPO法人が運用状況を確認したところ、夏休み中に自宅に持ち帰って使われていた一部のタブレット端末などでは、8月1日から28日までに「自殺」などのことばが検索され、相談窓口などがおよそ300回、表示されていました。
このほか「裸を撮られた」や「うつ病」「適応障害」なども多く検索されていて、夏休みが終わる今週にかけて急激に増えていたということです。
NPO法人「OVA」の伊藤次郎代表は、長期の休み明けは環境の変化からストレスを感じやすいと指摘した上で、「インターネットは生きるための情報を届けることもできる。親や先生に相談することも大事だが、気持ちを打ち明けにくい場合は匿名で相談できる所もある。周囲の力を借りながら解決していくことは、決して恥ずかしいことではない。ひとりで抱え込まないでほしい」と呼びかけています。
不登校経験がある男性は
夏休みが明けるこの時期、学校に行きづらいと感じる子どもたちが増えるとされています。
みずからも中学1年生の時に夏休み明けから不登校となった経験があり、今は千葉県のフリースクールで働く男性は「つらいと感じる自分を責めないで、焦らずゆっくり休んでいい」と呼びかけています。
千葉県習志野市にある「フリースクール ネモ」は現在、小中学生を中心におよそ15人が通っています。
例年、夏休みが終わるこの時期から、入会の相談が増える傾向にあり、月1回の一般開放日を増やすなどしています。
このフリースクールで働くスタッフは全員、不登校となった経験があります。
そのひとり、角田匠さんは中学1年生の時、夏休み明けから不登校になったといいます。上級生から日常的にからかわれていたことが原因でした。
角田さんは「夏休みに入ったときはほっとした気持ちがあって『休みが明けたら嫌だな』という思いを抱えながら、一日一日を過ごしていました。夏休みが終わるころになると不安が大きくなって怖くなっていきました」と振り返った上で、「自分が消えれば楽になるかな」とさえ思ったといいます。
その後、角田さんは別の中学校に転校し、卒業後、フリースクールに通うようになりました。
そこで自分と同じように学校に行けなくなった人たちと、抱えていた思いや経験を語り合ったことをきっかけに、バンド活動など自分が好きなことに前向きに熱中できるようになったといいます。
その後、福祉の専門学校に通い、フリースクールの運営に関わるようになりました。
角田さんは当時、からかわれるのを嫌だと思う自分や、学校に行けなくなった自分が、悪いのかもしれないとみずからを責めていたといいます。
こうした経験を通して角田さんは「休むことを決め、両親からも『休んでいれば』と言われて安心できました。学校に行けなかったときはすごく長く感じるし、つらいと感じるけど、遠慮なく休んだほうがいいです。学校に行く時間は人生の中でもすごく短いので、絶対に自分を責めなくていい」と話していました。
そして「死にたい」とさえ思い悩む子どもに向けて一度立ち止まり、家族や友人に話したり、フリースクールや相談窓口などに相談してほしいとした上で「どこでもいいので、感情のすべてをぶつけるぐらいの勢いで全部、話してほしい。いい子になる必要はないので、すべて出し尽くしてからもう一度、次のことを考えてほしい」と話していました。
角田さんは「不登校になっても休んでいる時こそ、ゆっくり休んで、何かやりたいことができた時に自分の学校でもいいし、転校してもいい。フリースクールのような所を使うのもいいと思います。ゆっくりするのは絶対に必要だし、悪いことではないので、焦らなくていい」と呼びかけています。
不登校の小中学生 10年連続増加で過去最多に
去年公表された不登校の小中学生はおよそ30万人にのぼり、10年連続で増加し、過去最多となっています。
文部科学省は「学校に通うこと」のみが目標ではないとしていて、去年、不登校についての総合対策をまとめています。
その中では「誰一人取り残されない学びの保障」を掲げ、学校に来られなくても子どもたちが学びたいと思った時に学べるよう、フリースクールやNPOとの連携強化や、児童や生徒の事情にあわせて特別なカリキュラムを組める学校の設置を進めることなどが盛り込まれています。
また国は悩みを抱えている子どもや保護者から、24時間、無料で相談を受け付ける電話窓口を設置しています。
「24時間子供SOSダイヤル」は、0120-0-78310です。
Posted at 2024/09/01 08:02:45 | |
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