相方のS2000が車検。ディーラーに預けるのに付いてった。ちなみに車検直前にエアコンのコンプレッサー部品が粉砕してキリコが配管に回り、車検代12万円+修理代18万円の30万円コースとのこと。
で、代車、フィットぐらいかなと思ってたところ、「インサイトですっ」とのこと。思わず「旧型ですか?」って聞き返した。まさか新型インサイトを代車に使ってるとは思わないんで。しかし「いや新型ですっ」と。そりゃ冷静に考えれば2シーターで極レアな存在の旧インサイトを代車に使うはずないか。
そんなわけで我が家に1泊2日で新インサイトがやってきたので、
大人の階段を上った経緯を差し置いてインプレ。
結論を先に言うと、こりゃダメだ。「プリウスが納車9か月待ち」てこと以外に、わざわざ選ぶ理由がない。
そもそもホンダのハイブリットシステムは、エンジンを効率のいいところで常時回しておき、モーターで補助する(のに加えてアイドリングストップ機能)というもの。プリウスのシステムに比べれば「簡易型ハイブリット」、もっと言えば「なんちゃってハイブリット」である。
そりゃ、内燃機関は回転を上げ下げするより一定回転数で回しておくほうが遥かに効率がよい。しかし、プリウスは、そんなことは分かっちゃいながら、エンジンとモーターの同調を工夫し、システム全体で更なる効率(燃費)アップを図っている。しかも、12年前にデビューした初代から。
このシステムの違いが、乗り味にも明確に差が。
ウチの実家は初代プリウス後期型・先代プリウスを乗り継いでおり、自分も結構乗った(実家にいる頃は
850よりプリウスに乗ることが多かった)。
で、市街地に限定するなら、乗ってて世界一楽しいクルマはプリウスである。ディスプレイを瞬間燃費表示にしておき、できる限り(周囲に迷惑をかけない範囲で)エンジンを掛けずにモーター(もしくは惰性)のみで走れるよう、アクセルを右足親指付根の肉球部分でピクピクと微妙にコントロールする。これがゲーム感覚で楽しい。
コレに対してインサイトのなんちゃってハイブリットは、動いてる限りエンジンが回っている(ブレーキを離すとエンジンが始動する)。これじゃあ、アイドリングストップシステム+CVTと大きく違わない。
そして、エンジンが回転を上げずに一定回転を維持しようとするから、従来の内燃機関の吹け上がりは全く楽しめない一方で、ドライバーがハイブリットシステムを駆使して燃費を向上させる醍醐味も薄い。
結果、いわば、「ツマラナイとこ取り」みたいな乗り味のクルマになっちゃってる。
これなら、先代プリウスのほうが、いやひょっとしたら初代プリウスですら、ハイブリット車としてオモシロいし、わざわざ乗る意味がある。
そういや、この代車のインサイト、営業さんが言うには「既に試乗用に1台あったが、最近もう1台入ってきたので代車用にした」とのこと。
要するに、デビュー直後はバカ売れしたインサイト、現行プリウス発売後は売れてないんだな。で、バカ売れしたときに増産した分が余って、ディーラーに無駄に重複して配車されたと(ディーラーは有償で買ってるだろうが)。
あと。
人間×4+エンジン・モーター+電池+荷室のスペースを確保したうえで空力をよくしようとしたら、全体のカタチがプリウスに似てしまうのは仕方ない。
とはいえ、スタイリングなんて全く好みの範疇の話だが、個人的にはこの最近のホンダ顔は全くダメ。リアの造形は、特にコンビネーションランプなんか、プリウスよりシャープでいいと思うが(クリアテール嫌いだし)。
インパネの造形も、未来風味を演出しようとして、結果ゴチャゴチャになってるだけに感じられる。表面をあえて革風のシボにしなかったのは評価できるが、しかし残念ながら安っぽさを増長させてる気もする。
機能的には、せっかくスピードメーターをハンドルの上から見るようにして視線移動を少なくしてる(モーターアシスト時とチャージ時で背景色が変わるのも分かりやすいしエコ運転の目安になるのでよい)のに、ディスプレイ画面が中心線から助手席よりにあるのも問題だろう。瞬間燃費等、種々のインフォメーション画面の出来も12年前の初代プリウスレベルだし。
というわけで、新インサイトに乗ってディーラーを出た当初は嬉しくて相方と「ちょっとドライブでも行こうか!」と言っていたが、ちょっと乗ったらそんな気もなくなり、そのまま自宅に帰った。
ハイブリット車はほしいが来年3月以降という新型プリウスの納車時期まで待てないという方は、インサイトを買うくらいなら、先代プリウスの中古でも買うか、ハイブリットシステムをエコ方向ではなくファン方向に使う(らしい)CR-ZXまで待つか、どうしても即納のハイプリット車がほしいなら電動アシスト自転車でも買ったほうがよいと思います。辛口ですが。
Posted at 2009/07/19 20:06:42 | |
トラックバック(0) |
試乗 | クルマ