
私がこれの存在を知ったのはたしか大学受験の頃、寝食を共にしていた先輩から教わった。『桜木町からちょっと歩くけど、レンガ造りの倉庫があって人も殆ど来ないしとっておきの場所だぜ!』と。当時車を持たない私はカメラ片手に電車を乗り継ぎそこへ行った。ようやくたどり着いたそこはまるで異次元の世界。いくつか時をタイムスリップしたような錯覚に陥った。倉庫の敷地内には誰もおらず、カメラを携えた私がぽつんとひとり。レンガには所々落書きがあり、雑草が生い茂り、背筋が寒くなるような恐怖感さえ覚えた。例えて言えば、刑事ドラマに於いて麻薬の取引が行われ、駆け付けた捜査員たちと銃撃戦がくりひろげられ、最後は銃弾をフトモモに一発浴びた松田優作が麻薬シンジケートのボスを逮捕する…なんてシーンが相応しい場所であった。それが今では横浜を代表する観光スポットとなっており、休日のパーキングはいつも車が長蛇の列をなしている。私的にはキレイにリメイクされた現在の赤レンガ倉庫より、血だらけの松田優作が似合う昔の赤レンガ倉庫の方が好きであった。移ろいゆく時の中で保ち続けることの大切さ、そして難しさを、数年ぶりに訪れた思い出の地で感じた。
Posted at 2007/12/19 08:17:45 | |
トラックバック(0) |
ドライブ | 旅行/地域