「マイカーで韓国に行ける」という事は以前から知っていて、いつかやってみたいと思っていた。
そんな中、新型コロナウイルスの流行が収まって再びマイカーで韓国へ行けるようになったと事と、転職に伴いまとまった休みが取れた事から、実際に行ってみる事にした。
マークXと共に海外を旅した記録。
長いですが、最後までご覧いただけますと幸いです。
【準備編】
2023年2月現在、韓国行きのフェリーでマイカーの輸送を行なっていたのは、大阪〜釜山を運行しているパンスタークルーズのみ。
他社のフェリーは新型コロナウイルスの影響が残っており、マイカーの輸送は中止しているとの事。
船会社と両国の関係機関にいくつか書類を提出する必要があるので、遅くとも出航の半月前までには船会社に申し込みをする必要がある。

その中の1つ、自動車一時輸出入申告書。
2週間前までに記入を終えて船会社に提出し、当日は原本を持参する必要がある。

登録証書。
こちらは最寄りの陸運支局で発行してもらえる。
韓国での車検証代わりとして必要らしい。
この他、当たり前だがパスポートと国際免許も必要になるので早めに準備しておくように…
【2月27日】

こちらが今回乗船するパンスタークルーズ。
出航時刻は15時だが、マイカーで乗る場合は10時までに受付を済ませる必要があるので要注意。
手続き一式は船会社の人が全てやってくれるので、自分は港を離れて食事をしたり、買い物へ行くなどして時間をつぶした。

積み込み完了!
隣に写っているのは韓国から遊びに来たバイク集団で、伊勢神宮までツーリングしてきたらしい。

青函フェリーなどの国内航路と違ってホイールにベルトを掛けるので、キズなどが心配な方はマスキングテープで養生しておくと良いかもしれない。

船内の様子。
一人用の個室は無いようで、二段ベットの個室が割り当てられた。
部屋のテレビは日韓両方の番組が映る。

船内には無人のコンビニがあり、カップ麺や飲料、歯ブラシなどを購入できる。
ちなみに、無人コンビニはクレカ専用で現金は使えないので要注意。
ここに限らず、韓国は日本以上にキャッシュレス化が進んでおり、駐車場の精算機などもクレカ専用が多かった。

夕食バイキング。
食券は事前購入制なので、忘れないように…
船内にいながら本格的な韓国料理が味わえるのはとても良い。
ちなみに、乗客は8割くらいが韓国人だったが、韓国人の凄まじい食欲に圧倒されたので、自分は少し落ち着いた頃を見計らって夕食会場に入った。

デッキから眺める夕日。
マイカーで韓国を走る。その事に期待と不安を抱きつつ、この日は深い眠りについた……
【2月28日】
ついに上陸の日を迎えた。
船員さんにエレベーターで車両甲板へ降りるように言われて下へ降りてみたのだが、コンテナと貨物に阻まれて車がどこにあるのか全く分からない(笑)

韓国から来たバイク集団の皆さんと一緒に「こっちかな?」「あー!行き止まりだよ!」なんて言いながらマークXの居場所を探し回る…
まるで迷路のようで楽しかった(笑)


ついに扉が開いた!
事前に日本語が話せるスタッフさんを手配してもらうようにお願いしていたので、助手席と後部座席に乗ってもらい港の中を誘導してもらう。
ここで自賠責の加入や臨時運行証の発行などをしてもらい、その間に荷物や車両の検査が同時並行で行われる。

1時間半ほどかけて手続きを終えたら、臨時運行証(黄色い紙)を受け取り、いざ韓国ドライブスタート!
分かっちゃいた事だが、本当に足立ナンバーのまま韓国の道路を走れるらしい。

釜山市内の道路。
韓国の中でも特に運転が荒い地方と聞いていたが、渋滞で流れが悪いのもあってか、そこまで荒いとは感じなかった。
初日は大邱(テグ)市のホテルを予約したので、高速道路を使って先へ進む。

高速道路の通行券。
日本のものとよく似ている。
日本のETCに相当するHi-PASSというものがあるようだが、日本のナンバーでは当然使えない。
ちなみに、高速料金はクレカ決済もできるはずだが、自分が愛用しているアメックスのカードはなぜかエラーが出て使えなかった。
コンビニなど他の施設では問題なかったのだが…
仕方ないので現金で払ってから一般道へ。

右側通行なこと以外は日本と大して変わらない。
強いて言うなら、オービスの数が日本の10倍くらい設置されてて、10km/h超過から違反になるので要注意。


韓国のサービスエリア。
日本と違ってPA/SAの違いがハッキリしており、PAはトイレのみの簡易的なところが多い。
一方、SAは非常に充実していて、見ているだけでもお腹が空いてくる。

韓国はGoogleマップが非対応なので、NAVERマップというアプリを使った。
日本語表示と英語の音声案内に対応しているが、検索は韓国語じゃないとできない。
オービスの場所なども全てこのアプリが教えてくれるで便利だ。

大邱(テグ)市の中心部にある繁華街。
平日の夕方だが、とても賑わっていた。

こちらが今夜宿泊するホテル。
え?せっかく海外に来たのに東横インに泊まるのかって?
韓国の東横インはスタッフ全員が日本語の研修を受けているので、自分みたいに初めて海外旅行に行く人にとっては心強い存在なのです。
いま思い返すと、せっかくだから現地企業のホテルにもっと泊まれば良かったな~って思う…
設備などは日本の東横インと変わらない。
ちなみに、日本のコインパーキングは駐車券を取る方式がほとんどだが、韓国はほぼ全ての駐車場がナンバープレート読み取り式だった。
日本のナンバープレートにはもちろん対応してないので、ここに限らず駐車場に出入りするたびにエラーを起こして立ち往生…
大邱の東横インでは係員さんがすぐに飛んできたが、足立ナンバーを確認した途端「は?」みたいな顔で10秒くらい固まってた。
そりゃそうだよな。

異国の地でセブンイレブンとアサヒスーパードライを見つけた時の絶大な安心感。
「袋ください~」ってカタコトの韓国語で言ったら、店員さんが「日本の方ですか?」と日本語で聞き返してくれた。
ここに限らず、韓国では日本語で話しかけられたり、日本語を話せる人にたびたび出会った。
中には日本人からぼったくろうとする悪質な店もあるようだが、自分が見た限りでは皆さん親切な方ばかりだった。
右ハンドルの右側通行、意外と楽勝だなという感想を抱きつつ、晩酌を済ませて颯爽と眠りについた…
【3月1日】

東横インの朝食。
設備や接客は日本式でも、食事は韓国式だ(当たり前)。

早朝の閑散とした中心街。
奥に写ってるお兄さん、この車どっから来たんだ?って不思議そうな顔をしながら通り過ぎて行った。

渋滞気味の大邱(テグ)市内。
この日は三一節(サミルジョル)という、かつて日本の植民地支配に抵抗したことを称える記念日のようで、至る所に韓国国旗が掲揚されていた。

韓国に来てから初の給油。
基本的にレギュラーと軽油の2種類のみで、ハイオクは都市部のごく一部のガソスタでしか見なった。

Google翻訳のレンズ機能を使えば、韓国語の画面でも間違えずに給油できる。
いい時代になったものだ…

大邱(テグ)から王渓(オッケ)まで150kmほど高速道路を走ったが、料金は7800ウォン(日本円換算で約800円)。驚きの安さである。

この辺りは海鮮が有名なようで、至る所でカニの看板や海鮮料理のお店を見かけた。

韓国の道の駅。
こちらも高速道路のSAと同様にとても充実していた。
ここで昼食を食べたのだが写真を忘れていた…

異国の地でUFOキャッチャーの景品になるくまもん。

海沿いの道をひたすら走り続けて、今夜の宿に到着!
江陵(カンヌン)市にあるサンクルーズリゾート。
建物全体が船の形をしたユニークなホテルです。

部屋の様子。

このホテルは夜になるとさらに映える。
闇夜に浮かび上がる巨大な船、まるでSF映画のような風景である。

「この先にラスボスがいる」と言わんばかりの佇まい。

巨大な手のモニュメント。
季節によっては、この手の間から朝日が昇る光景を拝めるらしい。
ちなみに、こちらのホテルはagodaから日本語のウェブページで予約&事前決済できるので、泊まってみたいという方は参考にしてもらいたい。
【3月2日】
前日は到着が遅くなってしまったので、朝早く起きてホテルからの眺めを満喫することにした。

屋上の展望台にて。
天気も良くて最高の見晴らし!

朝食のチケットは当日の朝に購入するシステム。
少し欲張りすぎてしまった…

レクサスとインフィニティがいたので、間に止めて記念撮影。
こうして海外で活躍する日本車の姿を見るのは日本人として嬉しいですね!

韓国に来てから初の洗車。
日本のガソスタは大体どこにも洗車機があるけど、韓国のガソスタにはほとんど無くて探すのに苦労した。
洗車機の仕様や性能は日本と変わらないと思う。
せっかくここまで来たので、行けるところまで北上してみる。

束草(ソクチョ)市のさらに北まで進んだところにある駐車場。
この先は北朝鮮との軍事境界線が敷かれている「民間人統制区域(民統線)」というエリアなので、国籍を問わず普通の人は立ち入ることができない。
・・・が、しかし!!
なんと、ここでは足立ナンバーでも民統線の内側に入ることができた。

民統線の内側に入るための申告書。
ガソスタの時と同様、Google翻訳のカメラ機能を使って英語で記入すればオッケー。
申告書を記入した場所については、Googleマップで「統一展望台出入申告所」と検索すればヒットするはず。
提出する時は、黄色の臨時運行証とスマホで車の写真を見せて「イルボン、ボノパン、ケンチャンスムニカ?(日本のナンバープレートは大丈夫ですか?)」と言えば、申告書に通行許可のスタンプを押してくれた。
ここで手続きは終わりではなく、さらに10分ほど北上した場所にある韓国軍の検問所で別の手続きを踏む必要がある。
検問所に到着後、スタンプを押された申告書を兵士に提出し、兵士から注意事項の説明と車内の簡易検査を受けて、正式な通行許可証を受け取ったら、いよいよ民統線の内側へ!

北朝鮮まで約4kmの高城(コソン)統一展望台。
こんな所に足立ナンバーのマークXが停まっている光景、我ながらシュールすぎて笑ってしまった。

展望台の屋上から。
写真のちょうど中央付近、海岸が大きくカーブしている辺りが軍事境界線で、その先は北朝鮮。
こんなに近いとは思わなかった。

軍事境界線まで3.8kmらしい。
「俺は今、北朝鮮に最も近い場所にいる足立ナンバーだ」
というウルトラパワーワードを頭の中で呟きながら、展示物を眺めたり、写真を撮ったりしていた。

駐車場の屋台で売られていたポンテギ。
蚕のサナギを蒸して味付けしたもので、見た目は強烈だが味は結構おいしかった。
ポンテギで小腹を満たしたあとは、展望台の少し手前にあるDMZ資料館へ。

「DMZ(非武装地帯)」と書かれた看板。
このDMZ資料館には朝鮮戦争にかかわる資料がたくさん展示されている。

なぜか展示されていた旧東ドイツ製のトラバント。
ちなみに、鉄原(チョロン)や臨津閣(イムジンガク)では、民統線の内側にマイカーで入ることは出来なかった。
南北情勢の変化などで逐次変わる可能性もあるので、その辺りについては各自でお調べください。
束草(ソクチョ)を後にして、今夜の宿がある春川(チュンチョン)市へ向かう。

春川ダムとその周辺の河川。
3月といえど韓国の北部はまだまだ冬。
湖面も滝もガチガチに凍ってた。

今夜の宿に到着!
agodaで取った激安ホテル。
大丈夫か不安だったけど、マッサージチェア付きでめちゃくちゃ綺麗だったので大満足。
春川明洞(チュンチョンミョンドン)ダッカルビ通りというダッカルビ専門店が集まる通りがあるのだが、到着が遅かったせいか全て閉店していた…残念。
【3月3日】
朝起きてからシャワーを済ませて車に向かうと、何やら袋が置かれている…

なんと!!
Twitterを見た現地の方が、差し入れをしてくれました。
嬉しすぎるサプライズに感動、ありがとうございます!!
ルンルン気分で鉄原(チョロン)へ向かう。

鉄原(チョロン)にある労働党舎(ノドンダンサ)。
今は韓国の統治下にあるこの場所、実は、日本の植民地支配が終わってから朝鮮戦争休戦までの間は北朝鮮の統治下にあった。
これはその時に作られた朝鮮労働党の建物。

韓国の領土内にある北朝鮮が建設したソ連式の建物をバックに佇む足立ナンバー。
「情報量の大渋滞」とは、まさにこの事である。

朝鮮戦争で浴びた砲弾の跡が痛々しく残っている。

その向かいには、かつての日本植民地時代の街並みを再現した公園がある。
日本人としては行きづらい場所ではあるが、せっかくなので一通り見学してきた。

当時販売されていた薬。

当時のポスター。
貴重な資料に見入っていたら遅くなってしまったので、先を急ぐ。

近道しようと思ったら通行止めに当たってしまった。
どうやら冬季閉鎖らしい。
ちなみに、この日の最低気温はマイナス8℃。
江原道(カンウォンド)の冬は長くて厳しい。

韓国最北の駅、白馬高地駅にて。
現在は列車の運行は休止中のようで、レールは錆びついていた。

南北休戦の象徴として有名な臨津閣(イムジンガク)。

かつて鉄道が走っていた鉄橋の橋脚。
ここにも砲弾の跡が痛々しく残っていた。
臨津閣の駐車場について注意事項。
ここでは駐車料金を日本のETCに相当するHi-PASSで精算できるようで、高速の料金所みたいに現金車レーンから入らないと面倒な事になる。
先述したナンバー読み取り装置に関しては、ここの駐車場では問題なく対応できた。
すぐ隣の建屋に管理人がいるので、もし困った時はインターホンを押せば出てきてくれる。

臨津閣からソウルへ向かうバイパス。
無料のバイパスなのに片側5車線、出口やJCT付近だと片側6車線の所もあってとても立派だ。
文字制限の都合上、この先は後半へと続く…
マイカー韓国ドライブ、最大のアクシデントはこの先に待ち構えていた…
後編の記事は
こちら