皆さん!お疲れ様です
快楽亭 豚子です
ええ~~~名は体を表す
なんて、昔からいいますが
最近じゃ、洒落た名前が多くて
聖矢 北斗 杏 悠 などなど
まぁ、満子なんてのは、一昔前で
お客さん、マ○子じゃなくてミツコですよ
必ず、親戚のオバさんに一人はいたでしょ
かくばかり、偽り多き
世の中に、子の可愛いさは
誠なりけり
なんて、事をいいますが
「えっ、意味が分からないって?」
簡単に説明すると、子は、鎹って 意味ですよ、旦那
まぁ、ある夫婦に子供が産まれ、どうにも名前が決められず
あちきに相談しに来たんですが
その時の噺を一つ
・・・・キリトリ・・・・
ウチの噺を聞けぇ〜!
ちょっと、アンタ!
いい加減に、子の名前を決めておくれよ
もう七日も、経っちまったじゃないかい!
「なんだよ、もう初七日かよ」
「バカだねぇー(お七夜)って云うんだよ」
「男だからな、永吉でどうだ?」
「それだけは、嫌だって!」
「じゃ、ジョニーは?」
「日本人なのに、ジョニーなんて名前つけられるわけないでしょ!」
いや、オマエのオッ母だって、在日だし
俺も在日だから純血の日本人じゃねーぞ
「女の子だったら、私が決めたのに、困ったもんだねー」
「猪木なんて、どうだ?」
「苗字を名前にして、どうすんだい!」
「そうだ、川崎大師の神主さんに相談してみようか」
「あそこってよ、ガキの頃、参道で、ヒヨコ売ってだろ」
「うん、うん、売ってたね~」
で、皆んなして、買うのはいいけどよ
直ぐに鶏になっちまって、多摩川に捨てたじゃんかよ
「よく、捨てられた鶏を捕まえて食べたよねー」
「毛をむしって、首チョンパしただろ」
「そうそう、丸裸の鶏が、首なしで走っり回るのが、凄い怖かった」
「だからよ、縁起悪くねーか?」
「うーん、言われてみれば、そうねー」
「だろー」
「じゃあさ、浜川崎の豚寺の和尚さんに、決めて貰うってのはどう?」
バカ言うんじゃ、ねーよ!寺ってのは、墓があって死人を供養する場所だぞ
そんなとこに、初七日のヤヤ連れて、いけるかい!
だから、お七夜ってだって・・・
でもねアンタ、寺ってのは、凶を吉に変える力もあるんだよ
豚寺の和尚さんなら、
きっと、この子に良い名前授けてくれるって
「そんにいうなら、ものは試しだ、今から、一っ走り行ってみるか」
「頼んだよ!」
そう言って、焼肉屋の亭主は、ヨンフォアを走らせ、浜川崎の豚寺に向かった
ブン!ブォーン!
焼肉屋の亭主が、豚寺に、着くと
「煩いんじゃ、ボケー!」
関西弁の、豚子和尚が出てきて、焼肉屋の亭主を唸り飛ばした
「いや、豚子和尚、違うんですよ」
焼肉屋の亭主は、謝りながら、女房と意見が食い違い、
未だに、子供に名前が付けられない事を説明する
「そやったら、寿限無なんてのはどうや?」
豚和尚が、真っ先に提案した
「それは、どう意味なんですか?」
焼肉屋の亭主は首を傾げ、豚和尚に聞き返す
無量寿経 お経にある一節でな
めでたい事が止めどなく続くという意味や
「おぉぉーイイじゃないっすか!」
「せやろ」
「他には、何かありますか?」
「五劫の擦り切れ」
「なんすか、それは?」
三千年に一度、天女が舞い降りて岩を撫でる事や
「うーん、男だしな」
海砂利水魚
海の砂利、水の魚、幾ら捕ってもなくならい
「おっ!いいかも」
水行末雲行末風来末
水 雲 風の行方と同じで、行く末は分からない
食う寝るところに、住むところ
やぶら小路のぶら小路
「それは、どんな路地裏なんです?」
路地裏ではなく、春に若葉、夏に花、秋に実、冬には霜を凌ぐ、木の花や
パイポパイポのシューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコなー
「今のは、何の御呪いで?」
万年に渡り栄えた、唐土の王と妃に産まれた二人の子の名前や
長く久しいで、長久命
それを助けるで、長助
七歳までは、子は神のうち
実際に江戸時代までは、餓死する子供が多かったというが、
そんなのは江戸時代に限った事じゃない
豊子も母親に捨てられ、
弟とコンビニのサンドウィッチを分けあったてた夕食
キムコは、五人兄弟の長男でいつも、夕食は我慢してた
そんな二人は、子を想うばかりに
豚子和尚から教えて貰った名前を全部つけた
「私は寿限無だけで、良きと思うだけどねー」
バカ!それで早死にしたら、あっちも付けてときゃ
よかったって後悔する話になるじゃねーか
「まぁ、アンタが良きなら、それでもイイけど」
「なんだい、やっと名前決まったのかい?」
この店の、元のオーナー豊子の育ての母親にあたるオバーが
興味深々で店に出てきた
「決まったよ!凄ぇー名前だから、豚寺の和尚に目録で書いて貰った」
そう言って、亭主は、オバちゃんに、目録を渡す
「なんだい、そんな長い名前なのかい」
オバちゃんは、目録をめくりながら独唱しだした
寿限無寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚
水行末雲行末風来末 食う寝るところに、住むところ
やぶら小路のぶら小路
パイポパイポのシューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコなー長久命の長助
・・・・ご愁傷様でした
ババア~違うって1お経じゃなくて
子供の名前だよ!名前!
「あっ、そうだったね、あんまり長いんんで、ごめんよ間違えちまったよ」
豊子とキムコの子は、豚子和尚から頂いた名前のせいか
大きな病気も怪我もせずに、すくすくと元気に育った
小学校にあがる、頃になると
近所の悪ガキが、この子を迎えに来るようになるのだが
「オバちゃん、おはようございます!」
「あら、今日は早いのね、まだ寝てるわよ」
「今日から、サッカーの朝練だよ」
「そうなの!直ぐに起こして来るから、待ってて」
寿限無~!寿限無~!
起きなさい!翔君が迎えに来てるわよ!
寿限無は、全く起きない
寿限無寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚
水行末雲行末風来末 食う寝るところに、住むところ、やぶら小路のぶら小路
パイポパイポのシューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコなー長久命の長助
今日から、サッカーの朝練でしょ!
「おばちゃ~ん、先に行ってるね」
「ごめんね~」
名前が長いから、友達が迎えに来ても、こんな有様
そんな、夏休みのある日
同じサッカーチームの翔君が
血相変えて、寿限無の焼肉屋に飛び込んできた
「大変だ!オバちゃん、寿限無が多摩川に落ちた!」
夫婦は、店の客をほって、一目散に翔君に案内され
多摩川の大師橋のふもとに向かい
何度も、我が子の名前を叫んだ
寿限無寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚、水行末雲行末風来末 食う寝るところに、住むところ、やぶら小路のぶら小路
パイポパイポのシューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコなー長久命の長助
寿限無寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚、水行末雲行末風来末 食う寝るところに、住むところ、やぶら小路のぶら小路
パイポパイポのシューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコなー長久命の長助
二人は泣きながら、大声で叫び続けた
「なんんだよ、繰り返すと、お経に聞こえるからヤメテくれよ」
夫婦が振り返ると、寿限無がズブ濡れで立っていた
「だから、お化けみたいな目で見るのヤメロって!」
「溺れたんじゃないの?」
「落ちただけだし、潮が引いてたから泳げるって」
寿限無寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚、水行末雲行末風来末 食う寝るところに、住むところ、やぶら小路のぶら小路
パイポパイポのシューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコなー長久命の長助
豊子は、名前を呼びながら、我が子を抱きしめた
快楽亭 豚子の 寿限無
最後まで、お付き合い、ありがとやんした
🙇🙇🙇🙇
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快楽亭 豚子 | 日記
Posted at
2023/10/22 22:38:19