低速からサイドを使わずに
スピンさせるのは
意外と難しいもんで
左コーナーは
まぁ、なんとか出来たが
右コーナーがまるきっり駄目で
コースアウト ギリになってしまう
「豊子は 定常円とか 8の字やれゆーとったけど」
「それは、サイドなしで今やってる アクセルターンが出来る人のメニューよ」
「ガビーン!」
そうは言うもの
豚子ちゃん
フェイントの荷重移動
低速から加速して
アクセル抜いてエンブレだけで
ブレーキも使わずにア
クセルターンで左は
クルッと向き変え出来てるよ
「ホンマに!」
「ブレーキ踏んでないでしょ?」
「言われてみれば、ブレーキは踏んどらんね」
「雨だしね」
「豚音ちゃん、もっとウチを褒めて〜」
「初めからコースで練習した方が、ドリフトする時にイイって」
「そうなん?」
広いとこでパイロン目安に
やるのってねやり方さえ
覚えれば簡単だし
広い安全な練習場に
慣れ過ぎると
実際にコースや峠だと
出来なくなるって
「なるほど〜」
「コースのコーナーで練習した方が、実戦の時、目安になってイメージ出来るの」
「ういっす」
ブォーン キキキー
またもや右コーナーで
膨れながらスピンする
豚子S2000
「左はクルっと回れるやけどな」
「左の時と、ハンドル捌きが違ってるよ、適当にやらないで右と比較しながらスピンしてみて」
豚音がアドバイス
ブォーンキキキー
荷重移動のフェイントを入れ
アクセル抜いたと同時に
ハンドルを一気に切り
左で小さくスピンして
オツリも最小限で
逆走して立ち直る
豚音は声に出さなかったが
左回転は上手いと思った
「なるほどなるど」
「マック食べたいな」
豚音が呟く
限界の6時半の位置から
左手で一気に引き
フルロックまで
足らんぶんは
自然と右で送っとんのやな
豚子は一人で呟き
今度は右コーナーで
ブォーンキキキー
小さくスピンできたが
オツリをもらいアウトに吹っ飛び
危うくコースアウトエンスト
「危なっつー!」
「でも、今のは左みたいに小さく回れたね、画面の景色が違ってた」
「せやろ!左と同じよに、ハンドルを一気にフルロックさせたんや」
「そう、豚子ちゃんは 右コーナーでは 一気にハンドルを フルロック出来てなかった」
「なるほど、一気にフルロックまでハンドル切るんやな」
「何回転してるか分かる?」
「へっ??」
「やっぱり基本から、叩き直さないと駄目ね」
「あのー豚音ちゃん」
「なに?」
「今年、中3になったんよね?」
「もう、そのくだりヤメロ!」
「サーセン」
「では、豚子ちゃんカウンターとは?」
「矢吹ジョー」
「真面目にやれよ!」
「ゆーても間違えてるから、分かりませんで」
コーナー中盤で
アクセルを踏み込む事により
自然にステアリングが曲がる方向
左コーナーなら左にキレて行く
D1みたいな高速の突っ込みと違い
豚子ちゃんのやってる
低速から加速させて
ハンドルをフルロック
まで切り込むと
フロントを軸に
後輪が空転して
車体が回転する
ハンドルの切れ角より
車体の角度が大きくなると
スピンしてるのが
分かったでしょ
「せやね」
右はそのまま綺麗に
立ち直って逆走して
戻れてるよね
豚音は本棚にある
ミニカーで説明してみせる
「クロスカウンター出来てるやね!」
「クロスいらねーし」
車体を補正する
ステアリングワーク
このコーナーでは
左回りでスピンするので
右にステアを切って
スピンさせないようにする
車を立て直す動作
中低速域では
フロントタイヤを軸に
車体が回転するので
リアが空転し
グリップ力が無くなり
ケツが流れたら
スピンしないように
ここでカウンター
昔でいう逆ハン
勘違いしちゃいけないのは
カンター逆ハンっても
昔の重ステ ボール式
油圧パワステと違い
ラック&ピニオン
電動のパワステ車は
実際に逆に切ってるワケじゃない
「そうなん?」
後輪が空転して
前回も言ったけど、ここ大事よ!
「後輪が空転して、了解す」
後輪が空転して
グリップを失いケツが流れる
ハンドルの握る力をゼロにして
「シュル ♪」
っとセルフステア
経験あるでしょ
雨の日の直線や
コーナーの立ち上がり
ケツが流れて
ビビってハンドル離したら
立ち直って「ほっと」一安心
「それっ!ウチもな筑波の上りでたまにあんねん、メッチャ肝えんねんで」
「筑波?肝エル?」
「あっ、気にせんと続けて」
アレをアクセルターンの直後というか
タイミングだから上手く言えない
「そうなん?」
スピードやコーナーに
よって違うから
自分で何度もトライして
感覚で覚えるしかない
「ういーす」
シュルシュル
ってだから
「シュルハン」
滑った!
ハンドル持ち替えて
逆ハン
なんてやってたら
フルロックしてるから遅すぎて
スピンしてるからね
「ういっす」
滑った
ハンドル離して
シュル ♪ シュル ♪ で
シュル ♪ ハンド
「理解す」
豊子ちゃんのハンコンの
セッティングは
このシュルシュルが
メッチャ速くキレる
マジで神ってる
「あの女は変態やからね」
今日はアクセルターンで
スピンさせて綺麗に逆走して
戻れるように
シュルハンの練習まで
「ういーす」
どうして?
右は綺麗に立ち直り
逆走して戻れてるのに
左は出来ないのか?
考えながらやれば
直ぐに出来るから
「ういっす!」
飽きたらグリップで
アウトインアウト
「りょ!」
左に自信もてたら
加速からヒール&トゥ
シフトダウンして入っても良き
「オッケー牧場」
分かったらなら
練習始めるまえに一つイイ?
「なんなん?」
「豚子ちゃんのスマホ貸して」
豚音は灰皿の横にブン投げてある
豚子のスマホを勝手に弄りだした
「なにしとんの?」
「豚子ちゃんのスマホから Amazonで VaubyのCD ウチに届くようにポチったの」
豚音が Vaubyの
CDをポチって
下の店舗に戻ると
まだ、夜の営業時間が
始まったばかりで
水商売の女性と
その客らしき見えるオッサン
の一組しか店内にいなかった
「企業秘密、豊子スペシャル・バレちゃったか」
豊子が店の柱に寄りかかり
腕組みして豚音に言った
「バッチリだよん」
豚音は得意気に
ハンコンと設定を
写メしたスマホを見せる
「まっ、ヤワラにも教えたしイイけどね」
「だって、バイトから帰る度に、ママに聞かれるんだもん」
「ママ怖いよねー」
豊子が笑いながら言った
「ねぇ、豚子ちゃんにハンドル捌きを教えたの、豊子ちゃん?」
「何にも教えてないし、豚子は今日初めてやったんだよ」
「マジで!」
「豚子のハンドル捌きがどうしたの?」
「左のアクセルターン、つまり左手の引きと 右手の送りは 完璧に出来てるの」
「そうなの?」
「慣れた感じで、6時半の位置から 片手でスッとひいて一回転、残りは右でグイッと送るの、豚子ちゃんて手首柔らかいんだよ」
豚音は片手で
ハンドルを引く
真似をしながら豊子に伝える
「クロスさせないんだ?」
「そうなのっ!私なんか最初逆手でやって、ママに爆笑されたのに」
「豚子の手首が柔らかいのは、豚音だって習ってるじゃない」
豊子は豚子が喧嘩の前に
必ずやってた合気道の
手首ストレッチをやってみせた
「そーいうことかっ!」
「でしょ〜」
豊子は嬉しそうに
ニヤっと笑った
続きま~す 🐷
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Reservoir Cats | 日記
Posted at
2024/06/26 20:32:22