一つ下の好豚は
大声で笑いながら
友達というか
取り巻きを連れて騒ぎながら
中奥廊下を歩いてると
姉の豚音がいつものように
iPhoneのヘッドフォンを
しながら端っこを
歩いてるのに
気付いた
どうせ聞こえないと
シカトしたら目が合ったので
咄嗟に軽く手をあげる
姉の豚音も
ちょっとだけ
好豚より小さくだが
手をあげて返すと
言葉も交わさずに
反対の校舎に歩いていった
「今の好豚ちゃんの、オネーさんでしょ?」
取り巻きの一人が
好豚に訊ねる
「一応ね」
好豚が
興味なさそうに
答えたので
それ以上は
誰も姉のことは
聞いてこなかった
豚音は妹の好豚と違い
友達が居ない
というより
誰とも仲良くしなかった
小学校の頃は
普通に遊んでた友達も
3年にもなると
完全に派閥というか
グループが出来上がっていて
いつの間にかボッチな
陰キャになっていた
学校も勉強も
大嫌いだったが
登校しないなら
ちゃんと働いて
家に金を入れろと
母親に鬼のような顔で
脅されたので仕方なく通っていた
iPhoneが欲しかったのも
学校生活での
煩い音を遮断したかったらだ
豊子ちゃんちで
バイトしだし
お年玉と合わせて
3年になる前に
念願がかない
授業中以外は
スマホからヘッドフォンをし
音楽を聞いて
校内での全ての音を
遮断していた
ピコ〜ン ♪
あいみょん
の曲が一瞬途切れたので
LINEを見ると
豚子ちゃんからだった
3速〜2速に
シフトダウンしてやってるでー
変なスタンプと
一緒に送られてきた
難しいでしょ?
既読
せやから
今日も来てや
豚音のドリフト見たいねん
今日は駄目 🙅♂️
なんでや?
合気道の稽古だから
ガビーン
━(;´༎ຶД༎ຶ`)━(;´༎ຶД༎ຶ`)━
合気道は楽しい?
学校より楽しいよ 笑
ホンマに?
明後日、木曜は行くから上手くなってて
りょ
定常円はやらなくて良きだから
ホンマに?
コースでやってれば
いつの間にか
ドリフトなんか出来ちゃうって
笑笑
オッケー やる気スイッチオン!
頑張って!
既読
LINE友達は
豚子ちゃんの他には
両親と豊子ちゃん
パートのヤワラちゃんだけで
まだ中3だったし
スマホを持ってる子は
殆どいなかったので
使い道がないアプリだったが
豚子ちゃんが帰って来てから
LINEのピコン♪
がなると嬉しく思えた
キ〜ンコーン ♪
カ〜ンコーン ♪
昼休みが終わる
チャイムが校舎に鳴り響いた
3速〜2速に減速しての
アクセルターンに夢中になり
豚音に質問された時に
答えられるように
畳に寝転び考えだした
タイヤが空転してケツが流れる
タイミングは大体わかった
ハンドルも一気に切れるようになった
後はアクセルや
得意な左でも
駄目な時はアクセルや
抜く時の
タイミングは分かった
もう一つ何か足りんのや
フルロックさせる?
ワザとオバーステア
なんかな?
オバーステア
フルカウンター
溝落とし
ブラインドアタック
アニメで知った用語を並べ
呟く
これを一回転せずに
斜めに流せたら
ドリフトになるんやけどなー
その前に、全てを丁寧に
一番大事なのは?
んーなんやろ?
やっぱりアクセル?
踏むタイミングが
よー分からへん
寝転び天井を眺めていたら
ググー
腹の虫がなり
腕時計を見ると既に
昼の2時を回っていた
ブォーンブォーン
図太いターボ車の
排気音が聞こえきたので
「誰か来たんか?」
呟き起き上がり窓から顔をだすと
S2000を停めてある
コインパーキングに
薄汚れた
白のチェイサーが
バックで停められた
ブォーン!
チェイサーが駐車して
ドアが開き降りてたのは
ユンソナだった
「おーい!」
ユンソナを視界に捉えた
瞬間に豚子は手を
振り叫んでいた
ユンソナは
豚子の声に気づいたが
キョロキョロ
と周囲を見回す
「上や上!二階やって」
豚子が叫ぶと
「豚子ちゃーん!」
ユンソナは気づき
大きな声で返事した
「今降りるわ~」
豚子は急いで
階段をかけ降りた
昼の休憩の為に
ヤワラが暖簾を終いに
出た時に
「ういーす」
と言いながら
ユンソナが入って来た
「豚子ちゃんでしょ」
ヤワラが
ユンソナに声をかけると
「メシやメシ〜ランチしようや」
豚子が騒ぎながら
降りてきたので
ヤワラとユンソナは
目を合わせ笑った
「今日もカレーだよ!」
「もう、ヤメテやー」
ヤワラが冗談をいい
豚子が嫌そうに答えると
キムコと豊子が
牛筋丼を運んできた
「あっ、ユンも食べる?」
豊子が
一つ足りないので声をかける
「大丈夫、昼は食べてるから」
皆んなで席に着いた
「子供はいくつになったん?」
豚子がユンに聞く?
「もう、高校生」
「ホンマに?」
「いいよね、楽で」
「小1って一番大変でしょ」
ヤワラが豊子に聞く
「そうなの、学校の用意から 寝るまで 全部みてやんないと 駄目だから」
「私なんか昼間、暇でヒマで、豚子ちゃん仕事は?」
「来月からや」
牛筋丼を頬張りながら
自慢気に答える豚子
「もっと ヒマで気楽な人も いるけどね」
ヤワラが豚子に言う
「ウチのことはええねん、それより、あのチェイサーはアンソンのやろ?」
「そう、安い時に買ったんだけど、4枚ドアでチャイルドシートも付けれるし、普通のトヨタ車かと思ったら、騙されたわ!」
「羨ましいけどなー」
「格好イイしね」
キムコがぼやき
ヤワラが誉める
「何言ってんのよ、乗りごこちは最悪だし、うるさいし、燃費は悪いし最悪よ!」
「アレでアンソンは ドリフトしとんの?」
「最近は行ってないけど、ちょと前までは、ゼットンと毎晩のように行ってたわよ」
「ええなー上手いんか?」
「さあー、一回隣に乗ったけど死ぬかと思った、二度とドリフトすんなって言ってから家族の時はしないし、したら売っぱらうって言ってるから」
(; ̄O ̄)(; ̄O ̄)
「怖いわー」
「売ったら、今は高いんでしょ?」
ユンソナは豊子に訪ねた
「店頭での売値は高いけど、買い値だと、三分のイチに叩かれるわよ」
「そんなモンなの?」
「中古車屋なんて、そんなモンよ」
「じゃあ豚子ちゃんのS2000は?」
「100万いけば良きじゃない」
「マジで!」
「じぇじぇじぇ」
「売っても 何も 買われへんやない」
「二人共、絶対に持ってた方がイイって!」
「ウチなんてドリ車さえないんだから贅沢な悩みだって」
キムコとヤワラが
羨ましいそうに言う
「そんなモンか〜」
「結局、車でもバイクでも 売らずに 長く持ってた人が 勝ち組なのよ」
「今の車は、要らない装備が多すぎるよね」
「そうそう、軽自動車とアルファードの装備が変わらないんだから」
「そうなん?」
「凄いのよ、今の軽自動車って広いし」
ヤワラが
豚子とユンソナに説明する
「TRDのエアロだから目立つだろ?」
キムコが話題を変えて
ユンソナに聞いた
「そうなの!一人で買い物に行くと声かけられる」
「あるあるだねー」
「爆音だしね」
「GRより、やっぱり TRDよねー」
豊子が言った
「ナムルは何乗ってんのや?」
「ナムルはアルテッツァだよ」
キムコが豚子に答えた
「三人で白い三連星とか、馬鹿なこと言ってるよ」
ユンソナが呆れた顔
「ジオン軍かよ!」
「ジェットストリームアッタクやな」
キムコと豚子が突っ込む
「キムコはドリ車欲しがらないから 偉いよね」
ヤワラが
豊子に言うと
三人はキムコの顔を
マジマジ見た
「カネゴンとミクラスも単車だし、俺はヨンフォアでいいって」
「ふーん」
「怪しいねんなー」
「欲しい車あんの?」
豊子がキムコにズバリ質問
「。。。。」
「何よ、買うとは 言ってないから 答えなさいよ」
「そうや、豊子は希望というか アンタの趣味を聞いてるだけや」
「ゲームと同じ GTS Rじゃないの?」
「アレは駄目、31のハイキャスってのは使い物にならない」
豊子がブッた切る
「アレじゃないって」
「じゃあ何よ?」
「はよ、言わんかい」
「言うだけだぞ」
「分かってるわよ、買うとは言ってないでしょ」
「怒るなよ」
「何で怒るのよ?」
「絶対に怒るなよ」
「さっさと言えよ!」
ユンソナが
昔のような口調で
キツく言い放つ
「じゃあ教えるけど」
「ハッキリと 嫁の前で言ったらんかい!」
豚子も追い討ち
「トヨタ2000GT」
。。。。。
。。。。。
。。。。。
「テメ~は、舐めてんのかよー!」
豊子の罵声が 店内に響いた
続きま~す 🐷
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Reservoir Cats | 日記
Posted at
2024/06/30 10:49:56