

北は東北から西は九州・四国まで,100台あまりのセブン乗りが信州八ヶ岳を目指して走ってきた。
いや,正確には―――たどり着けたのが100台あまり,である。
その光景は,まるで雨空にアルミと鉄で出来たカエルの大合唱だ。
聞こえるのは,自慢の排気音と笑い声,そしてときどき「帰りは積載車?」のささやき。
ところが,残念ながら私のセブンはその輪の中にいなかった。
原因不明の入院から,早3週間―――今も隔離病棟で無言の溜息を吐いている。
ディーラーいわく「なぜ不調なのか,原因が分かりません」。
…それって恋の病か?
だが,年に一度の巡礼をスルーするなんて,雨の日にサボる郵便屋みたいなもんだ。
そこで私は,家系図をたどれば親が一緒の―――ロータス・エリーゼを緊急出動させた。
「確かに英国生まれだけど…」と言われれば,「(妾腹の)セブン叔父さんから見ると,本家の姪っ子です」と笑ってごまかすしかない。
それにしても,あの場の空気は,予想通りカオスだった。
前輪の片側だけむき出しだと思ったら,フェンダーをロールバーにくくり付けていた人。
ナンバーぐにゃぐにゃ,ノーズコーンぐしゃぐしゃ。昨晩の生キズらしいが,「自走に問題なし!」と豪語する人。
セブンを一度ならず二度までも燃やした人や,途中で故障しレンタカーで駆けつけた人。
万が一に備え,トレーラーに載せてきた人まで。
まるで「八ヶ岳耐久レース<人間編>」である。
恐れていた雨は,突然の靄に包まれたものの,傘をさすまでもなく乗り切った。
寒いのに上機嫌,トラブルが起きても拍手,誰かが工具を出せば人だかり。
理屈より情熱,効率より浪漫。
―――セブン乗りは,燃料ではなく愛で走っているのだろう。
帰り際,スキンヘッドにキャッツアイ(グラサン)を決めた,強面の先輩に声を掛けられた。
「おい(小僧),来年はセブンで来いよ!」
「は…はい!そのつもりです」
ただし,発病もせず,無事にたどり着ければ…の話だが(汗)
ちなみに,先輩いわく「セブン乗りも高齢化の波でのぉ,頭頂部が淋しくなってきたわい」とのこと(汗)
ミーティング終了後,私は山を下りながら思うのだった。
八ヶ岳の空気には,オイルと笑い声と―――
そして,人の温もりが混じっていると…
ところで,このミーティングには恒例の「お土産シャッフル」がある。
地元の名産を持ち寄り,次々と交換していくうちに,誰のものが誰の手に渡ったのか,すっかり分からなくなるという愉快な催しだ。
私の手元に残ったのは,信州名物の七味唐辛子。
なんと言う神のいたずらか!不思議なもので,実は昨日,買い忘れたばかりだったのだ。
まるで「忘れ物,届けにきました」と言わんばかりに,七味が我が家にやってきた。
こういう偶然こそが,セブン乗りの「縁(えにし)」というやつかもしれない。
八幡屋礒五郎の七味唐辛子をくださった方,このブログを見掛けたらぜひご一報を。
最後に,この場を作ってくださったすべての方々に,心より感謝申し上げます。
運営スタッフの皆様,地権者・施設管理者様,そして参加された皆様,誠にありがとうございました。
八ヶ岳の空気と同じように,皆様のお心遣いも私の記憶に温かく残る一日となりました。
また,現地でお話しさせて頂いた方もそうでない方も,まだみん友でない方は,気軽にフォロー頂ければ幸いです。

むかしむかし,ある王国でのこと。
一部の家臣たちが,国民から集めたお金を,黙って懐に入れていたことが見つかり,国民の怒りを買っていました。
そこで,地味だが正直な大臣シバルは,不正をした家臣を追放するなど,王国の信頼回復に取り組みます。
しかし,それでも「手ぬるい」と国民の怒りは収まりません。
それに乗じて,虎視眈々(こしたんたん)と次の大臣の座を狙うイチエは,ネコババ家臣たちと陰で策略を巡らせます。
やがて,シバルはおとしいれられ,イチエが新たな大臣になりました。
もちろんイチエは,自分を支えた長老アサナマやその側近,そして,お金を誤魔化していた腹黒いハギクロなど,ネコババ家臣らを次々と政治の中心に呼び戻しました。
これに反発したのが,今まで我慢して協力してきた一派。
話し合いもまとまらぬまま,彼らは静かに宮殿を後にするのです。
国民の不信は依然として消えず,城下には不満の声が渦巻きます。
宮殿内でも,粛清されていた家臣たちが権力を取り戻し,互いに駆け引きを繰り返す醜態と陰謀の応酬が続きます。
それでもイチエは,かつてアサナマが歴史的大敗を喫しても,なお君臨し続けているように…
すぐに大臣を辞めるかもしれないことを承知の上で,自らの地位と権力掌握に固執するでしょう。
王国の未来や国民の信頼よりも,「自分が政治の中枢から外れない」という現状こそが,最優先課題なのです。
こうして政権は表面上の安定を保ちながらも,内実は利己的な権力構造に支えられ,旧態依然の数の力学に支配された民主主義の形骸を露呈するのでした。
この話が寓話なら「めでたし,めでたし」と終わりたいところですが―――
もしかすると,これは,私たちの周りで,いま起こりつつある現実なのかもしれません。

多くの女性は,オープンカーに興味を示さない。
だが,中には奇特なご婦人もいる。
絶叫マシンをこよなく愛する,ある女性は私のセブンを見るなり,「何これ,乗せて!」と目を輝かせた。
クルマのない彼女に,サボテンの買物に付き合って欲しいと頼まれたときのことだ。
「他のクルマじゃなくて,セブンで来て」と言うので,荷物は載らないと伝えると,「大丈夫!抱えるから!」と即答。
(サボテンを?)
チケットがいらない,乗り放題のジェットコースターだと思っている節がある。
以来,彼女は何かしら理由をつけて,セブンに乗りたがった。
ところがある日,セブンがまさかのエンジントラブルで沈黙。
彼女の用事は中止して,ローダー車に同乗してもらい,ディーラーに付き合わせる羽目になった。
後日,あいにくセブンが入院中なので,代わりにエリーゼで迎えに行くと―――
走り出して間もなく,またもやエンジン警告灯が点いた。
「えーまたなの?もう外車卒業!」
「卒業証書なんて出ないから,学歴詐称になっちゃうよ」
ご機嫌ななめの彼女を横目に,私は心の中でつぶやいた。
―――こんな悦びは,セブンやエリーゼならではなのに。
それをディーラーで愚痴ると,スタッフは笑いながら言った。
「ありますねぇ,理解してもらえない苦労って。あるお客さんなんか,セブンからまたセブンに乗り換えて頂いたときに,ナンバーを一緒にされました。で,奥さんには,塗り替えただけって言ったら,バレなかったそうです」
また別の人はさらに巧妙で,カラーリングやラインも同じにして納車する猛者もいるらしい。
まぁ,妻のネイルが変わっても気づかない夫と,どっこいどっこいか?
マニアの世界は,愛の深さより,あざむく苦労のほうが,よっぽど深いようだ。

今年は,昨年にも増してクマの被害が相次いでいる。
ニュースでは悲惨な事件として報じられているが,森の住人からすれば,彼らもまた生きるために必死なだけかもしれない。
人と森の境界が,年々あいまいになっている―――そんなことを思いながら,私は清里へと向かった。
八ヶ岳の南麓に佇む天然キノコのフレンチレストラン亜絲花(あしはな)。
先輩の「今年も行くか?」の一言に誘われてやって来た。
森に溶け込むようなロッジ風の店で,シェフ自らが森に入り,キノコを採ってくる。
クマのニュースを想うと,もはや「命がけの仕入れ」と言ってもいい。
昼下がりの光がテーブルを照らす。
皿の上には,土の匂いと森の息づかいがあった。
驚いたのはスープ―――数種類のキノコだけで取った出汁に,味付けは塩のみだという。
たったそれだけなのに,山の恵みと温もりが舌に広がる。
人の手が加わらぬものほど滋味がある。そう思った。
作文の師匠でもある先輩は,私の心を見透かすように微笑む。
「僕は最近,いろいろなAIに話しかけているんだ」
「名前をつけて呼んでもいいかって聞くと,拒否するヤツもいる」
「(喜怒哀楽なんてないのに)怒ったフリまでするヤツもいるから,つい機嫌を取っちゃうんだ」
冗談めかして笑う声には,どこか親しみのようなものがにじんでいた。
人が土と語らい,機械とも語らう。
時代は変わっても,心が求める温度は,そう違わないのかもしれない。
今年のキノコは昨年よりも香りが深かった。
季節の巡りの中で,人と人との関係もまた,少しずつ熟していく。
秋の山に,風が吹く。
キノコの香りが,記憶の奥をそっとくすぐった。
あのスープのように,心に残る風味がある。
それを確かめるように,私はきっと,来年もこの地を訪れるのだろう。
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