
ロードスター自体の車としての総評は他の方々が散々語り尽くしているので、私はエンジンとターボ化にフォーカスして評論します。
名車と呼ばれる車は必ずエンジンと対にして語られます。4発NAエンジンであればトヨタの4A-G、ホンダのB16B、対象を広げれば2J-Z、3S-GTE、RB26、SR20、C30、F20C、13B、4G63、EJ20等々。
00年代初頭までの名車はエンジンが全てで、極論車なんて名エンジンが入ってるだけの箱でしかありませんでした。
しかし、ロードスター自体を名車と呼んでも、そのエンジンを名機と呼ぶ人は少ないように思います。NA、NBに載っていたB型エンジンは元はファミリアのエンジンです。はっきり言ってB16BやRB26のようなレースで勝つためのエンジンとは比較にならない平凡なエンジンです。パワーもトルクも吹け上がりも極めて平凡。トヨタで言えばカローラの5A-FEエンジンくらい特徴の無いエンジンです。
しかしながら、それをメカチューンとコンピュータセッティングで吹け上がりをメインに出力等を改良したのがB6-ZEエンジン、その1.8リッター仕様がBP-ZEエンジンです。
とはいえ、このエンジンは、吹け上がりはまぁまぁ良いのですが、素性が祟ってか、出力やトルクは良いとは言えませんでした。そこでボディの軽量化を徹底し、エンジンスペックとは別の土俵、すなわち車を操る楽しさというステージで戦ったのがロードスターです。
さて、ここにターボを載せたらどうなるでしょうか?まずエンジンのフィーリングが悪化します。NAエンジンの滑らかな吹け上がりと比べるとどうしてもターボラグが発生するためです。そしてロードスターの土俵にモアパワーのためのターボは相入れません。このためロードスターにターボは邪道と言われているのです。
しかし、実際にはBP-ZET型エンジンは小型のマイルドターボで、馬力を絞り出すよりはトルクフルにするためのターボでした。このため、ベタ踏みしなければターボラグは気にならず、激坂でも気にならない極太トルクを味わえました。台数限定でメーカーも採算なんて取れないはずなのに、しっかりとロードスターらしいフィーリングを残したセッティングには感動しました。
結論としては、ロードスターの性能を引き出す乗り方をする人にはターボは邪道でしょう。しかしながら、まったりドライブやワインディングを軽く流す程度であれば、自然吸気エンジンとは異なるものの、後のNCに繋がるエンジンに余裕のありながらもロードスターらしい操る楽しみを満喫することができる車でしょう。