
先日走行中の自動車からタイヤが1本外れて歩行中の方に直撃した…等といった痛ましい報道を目にします。ネット界隈でもその話をよく広げられ、中にはその情報どこから得て書き込んでいるのか?と疑問を持たざるを得ないような内容もあったりなかったりします。他人の不幸を煽って面白半分に無責任な事を表現の自由だと勘違いして蛮行に走るのかどうかは分かりませんが、今時点で報じられている多くの内容としては、
・外れたタイヤが当たった被害者は未だ意識不明の重体であること
・ドライバーと自動車のオーナーとは別人であったこと
・オーナーは加害者に車の修理?を依頼していたこと
等が挙げられます。前提として、走行中の車両からタイヤが脱落するなどといった事はあってはなりませんし通常あり得ないお話しです。その一方で、過去自動車メーカーの欠陥によって走行中の車からタイヤが脱落するといった「事件」もありました。では、通常あり得ないとお伝えした走行中のタイヤの脱落が今回に限らずとも頻繁にとまでは言いませんが一度や二度では収まらない程全国各地で発生しているかと言えば私が考えるに要因或いは原因は少なくとも3つ想像できます。
①ヒューマンエラー
②装着部品不良
③経年劣化や損傷
はっきりと申し上げます。走行中のタイヤ脱落事故というのは
その殆どが未然に防ぐことが可能な事故であること
であると言い切ってもいいでしょう。ではその三点について私見を述べます。
①ヒューマンエラー
ホイールナット(ボルト)には車両ごとに決められた締め付けトルクというものが存在します。
緩すぎても締め過ぎてもいけません。トルク管理の為にプロは「トルクレンチ」という工具を用いて正確に締付管理を行います。中にはダブルチェックと称し一度作業者が適正トルクで締付作業をした後に作業者とは異なる確認者が再度締付確認を行い誤りのないような確認作業を徹底するといったことを当然のように行う業者も多く存在します。全てとは言いませんが多くのタイヤ脱落事故が何故起こってしまったんかと言えば、
素人作業によるトルク管理不備・締め忘れが殆ど。特にDIYでタイヤ交換作業を実施されたりする方。技術知識不足であればそもそも論そういった事に安易に手を出すべきではないでしょうが、有識者であっても単独作業であれば意図しない「締め忘れ」が全くゼロとは言い切れません。なにせ人間が行う作業ですから手でナットを仮締めしてたまたま何処か1本のホイールだけ締め忘れていた…なんてお話しもあります。ですからプロはダブルチェックを行いヒューマンエラーを未然に防ぐ対策を講じている訳ですが、特にご自身の作業に自信を持たれている方、終始単独で作業をされる方等は確認する他者が不在の為に危険度は高いと言わざるを得ません。
②部品装着不良
純正のホイールに純正のナット(ボルト)で。という組み合わせでは取り付け方を誤らない限りは先ず起こり得ないことですが、シーズンによって社外品のタイヤホイールセットと付け替えられる方、カスタマイズで装着品とは異なる商品を装着される方、或いはそれら以外何らかの理由で純正装着品とは異なるものを付けられる場合、スペーサーと称するトレッド幅を広げるアイテムを使用する場合などが挙げられます。よくある(あっては困りますが)お話しで、純正のホイールナットであっても本来テーパー面をホイール側に向けて締付作業を行う所、真反対の座面側をホイール側に当てて締付をされる方。規定トルクで締まりはしますがテーパー面でホイールを抑えるものが全く効かずがたつき・ゆるみの発生、ひいてはホイール脱落に陥ってしまいますので
部品は正しくても取り付け方を誤ったが為に事故を誘発することもあります。プロは知識がありますから先ずミスはしませんが、知識を持たない方が安直に作業を行うとあるあるなお話しです。それと同じくしてホイール形状に合わないホイールナット等の選択。シーズン用に社外品のタイヤホイールを買ったり、それこそ目的を持ってカスタムホイールに付け替えたりする方も居るでしょう。ところが、それらに適合するナットを調達し忘れ、取り外した純正ナットを利用すると言ったケース。形状が合えば問題はありませんが、合わないナットを無理やりつけて締め込むとどうなるか…。ホイール側が壊れるで済めばまだ(高い)勉強代で済みますが、まかり間違い締付に成功した(と思い込む)として走り続けるとどうなるか・・・。ホイールの破損、そして脱落です。トレッド幅を変更するスペーサーの類も一緒。ハブナットの締め代が無くなるような厚いスペーサーやハブボルト付きのスペーサーでも強度の無い低品質なものやそれこそタイヤは締めたけれどワイトレ締め忘れ、なんて言う事もあり得ます。
品質が保証された社外品であっても、取り付け方や組み合わせの選択を誤ればヒューマンエラーと結果は同じです。
③経年劣化や損傷
これこそ極稀なケースですが、ハブベアリングが経年劣化で傷んでいたが為にハブ毎ホイールが外れるといった事も全く無いとは言い切れません。本来、きちんと定期点検や車検等を実施していればその間隔の間で余程酷使するような状況が起こり得ない限りは先ず不具合が先に発見されますが、期間中にユーザーが変わったですとか使用目的が変わった等といった車両を酷使する側に変化があれば要注意事項では御座います。それと外的要因にはなりますが、事故により損傷を受けタイヤもろとも吹っ飛ばされるケース。余程のスピードが出ていない限りタイヤが車両から引きちぎられるようなことはありませんが、こちらは安全運転であっても相手方が猛スピードで突っ込んでくる可能性もあります。最も、被害者として自車のホイールが車体から引きちぎられて吹き飛んだとしてもその責任は衝突してきた加害者側にあるでしょうからあくまでもタイヤが脱落する要因の一つくらいに考えていればいいのかなと思います。
近年、大手であっても中古車販売店の不正や新車を扱う正規ディーラーであっても整備に関わる不正が発覚することもあります。状況は各々で異なるでしょうが、そういったプロの立場でありながら顧客の信頼を結果的に損ねる行為に足を踏み入れてしまうとユーザー目線からすれば「プロでも信用できない」といった疑念を持たれても仕方がないと思う一方で、そうした機能不全を起こす問題企業は全体の極一部歪んだ組織体制が組まれている場所でしか起こり得ません。
多くの自販店や整備工場はしっかりとしたルールに則り、安全を最優先に顧客の車を手掛けている筈です。その結果、対価として費用が発生しユーザーは安全をお金で買うことになります。部品代や交換工賃等を考えれば、決して安価なものではない場合もありましょう。部品代金はどうしようもないとしても
技術料をケチってなのか自称車に詳しいとされる知り合いや友人知人等に無料若しくは破格で依頼しそれを請け負うといったことを往々にして聞き及びます。胸に手を当ててよーく考えてみてください。いいですか?それらの行為は、
絶対にやめてください!!!!!
結局、何ぞ事があった時に問題がより大きくなる訳ですよ。
ありがちな話を列挙しますと、お店では5千円でも1万円でも工賃が発生する作業を知り合い(業者ではない個人)に知人価格として無償やそれこそ数百円程度のお土産程度な金額で依頼するとしましょう。たまたま請け負う方が従順な方で承諾します、依頼者は工賃が浮きます・作業者は極々僅かな利益を得ます、その作業の結果、車を返却した後にタイヤ外れますからの第三者損害を発生させてしまいますとなった場合、その先に何が待ち受けると思いますか???
先ず間違いなく作業者と運転者との間で責任の擦り付け合いが発生する
でしょう。
運転者は作業をしたのはお前だと言い、作業者はフィーを貰っていないと言い張ります。そんなことは関係ないと運転者は捲し立てますが、賠償が絡む以上巨額になればなる程責任を認める=賠償とセットですので先ず間違いなく逃げます。第三者損害を被った被害者としては運転者に賠償を求めるでしょうからこの時運転者はどうするか?という話しです。
たった数千円や数万円をけちったがばかりに巨額の賠償を背負うのには余りにリスクとリターンとの天秤のバランスが違いすぎます。これをきちんと対価を支払った店舗での作業の結果、同様の事になったとしましょう。先ずそのような事は無いと言ってもいいでしょうか不幸にも人が行う事ですからミスがミスを重ね結果として同様な事案になったとしても
整備不備があれば店舗側が金銭賠償を負うようにもなるケースはありましょう。これらは個別判断ですので一概には言えない所も御座いますが、
対価をお支払いするというのにはそういった意味合いもあるというお話しです。
ご自身のお車をご自身が手掛け、その結果他者を巻き込まない事故が発生してもご自身が痛い目を見るだけで誰も何も言わないでしょう。ただ、そうであっても他人を巻き込まない保証は何処にもなく結果として作業ミスがあり第三者損害を生じさせてしまったのであれば、正直何をしているのか分かりません。これが整備の過程で他人が絡むともっと厄介なのは上記の事例を見ても想像に難くないでしょう。これが修理工場と同じ料金で個人が請け負うよ、なんて言うと誰も依頼はしないでしょうし何でしたら金額が同じであっても責任を負ってくれるとも限りません。メンテナンスだとかカスタマイズなどは興味を持たれる方にとっては楽しいことでもありますし費用がかさむことでもあります。多くの方は最小限のコストで最大限の結果を求めがちですが、お車を維持するというのはそれだけ責任を問われる事ですしお金も掛かるということです。私がこんなことを言った所で何がかわるものでもありませんが、
費用の圧縮等を目的として業者でもない第三者にお車等の作業を依頼することは絶対にやめてください。
マージン等を目的に知識を持たない方が第三者の依頼を安易に受けて作業等を遂行することは絶対にやめてください。
請負先が無いからと言って他人(個人)をアテにするのも同様です。
お人によっては厳しい事を言っているように受け取られるかもしれませんが、当たり前のことを当たり前にすることで、ご自身を守り、他者さまを守り、機器を安全に稼働させることができます。車やオートバイに限ったお話しではありませんが、モノを持つということはお金が掛かるものなんです。車というのは正しい扱い方をすれば便利なものであり有意義なものである一方で、誤った扱い方をすると自身は疎か他者にも牙をむく危険なものでもあります。恐怖を煽るようですが、間違えなければ楽しいカーライフはお約束されると言ってもいいでしょうからユーザーの皆さまは私を含め肝に銘じ維持管理して頂きたいものです。
この際ですから申し上げますが、素人の方がHOWTOモノとしてなのかどうか分かりませんがご丁寧に整備要領をネット開示する方も散見されます。中にはとんでもない誤りを公開する方も居ますが、知識の無い方からすればそれを教科書替わりにする方も居るかも知れません。作業自体が簡単に映れば安易に作業に挑戦しようとする方も出てきかねませんから、その結果危険なDIY整備車両が我が物顔で公道を走り回られると危険以外の何ものでもございません。整備要領の公開に何の意味を持つのか時折疑問を持つこともありますが、私の考えとしては
安易な整備要領の公開は自粛すべきだとも提唱いたします。
私はそれらを懸念して一貫して整備要領の公開は今後も致しません。
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2023/11/16 17:00:01