
2023年 7月16日、日曜日。
学生の身分から一皮むけて、自分のためにお金を使ってみる。
エンジニアの友人と、都会の喧騒を抜けてデジタル・デトックスを図ろうという話の運びだ。
午前10時頃に彼の住む赤羽で待ち合わせをし、自慢のプレッソをお披露目したのち、山鹿村の旅館、「山塩館」へ向かうという旅順。
無事車のお披露目も済ませこれから旅行、という高揚した気分のなか、僕は用意していたとある秘密兵器を出した。
「Bluetooth カセット」 という、カセットとしてプレイヤーに挿入し、Bluetoothをカセットに接続し、カセット端末からスマホの音声を直接再生するという、新しいのだか古いのだかよくわからない道具をインターネットで見つけていたのである。
昔ながらのカーオーディオを維持しつつ、スマホから音声を再生する。まさに文明の利器によるいいとこ取り。
得意げな僕は松任谷由実の「中央フリーウェイ」を流しつつ、中央道でプレッソを走らせた。
好きな車で、好きな時期に、好きな環境へ向かう─。
人生で最も幸せな時間と言っても過言ではないような環境で、自分の所有するプレッソがDSPオーディオグレードではないことをほんの少しだけ残念に思っていたのは忘れたほうが良い事実と言えるだろう。
三車線のまさしくハイウェイ、という道から南アルプスを目指し、徐々に長野の山道に入っていく。
急峻で狭隘な切通を抜けるとあらゆる音や光、エネルギーを吸い込んでしまいそうな迫力を持つ垂直にそびえ立つ山々が現れる。関東平野ではなかなか見られない地形である。
都会で感じていた「死物狂いで人の耳目を引いてやろう」といった気配のインターネット広告はおろか、電波もないような山奥。
20代前半の夏の一頁、現代を生きる他の若者よりもほんの少しだけ素敵な瞬間を過ごすことができたと思う。




Posted at 2023/10/09 05:28:39 | |
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プレッソ | 日記