今年の夏は暑く、夕方になると決まって大雨になる。
「バケツをひっくり返したような雨」と言っていた昨日のニュースが、今日は「経験したことのない雨」に移っていた。
先日の出来事だ。
夕方の頃、俺は洗車場にいた。
朝が苦手な俺は、車のボディが冷える夕方に洗車をしている。
今日は快晴だったが、この時間になり空模様は急速に悪くなっていく。
セブンスターに火を付け大きく吸い込んだ後、溜息を吐くように煙を出した。
今日も雨だなと思った時、アスファルトに黒い斑点が出来はじめた。
俺は明日、サーキットへ行く予定だった。
サーキットに行く前日はいつも洗車して綺麗にしている。
昔はボロボロの外装かつ汚れたままの車で走っていた頃があり、行けば必ずどこかをクラッシュして帰ってきていた。
そんな車がいつまでも長続きするはずもなく、年に数台は入れ替えていた。
数年が経ち、こんな俺でも少しは上手く走らせる事が出来ていた。
今では車も綺麗に保っている。
単純にクラッシュしない「腕」が身についただけだと思うが、いつしか汚い車で走りに行くとクラッシュするという「ジンクス」になっていた。
雨はまだ止んでいない。
「今日はもう帰ろう」
連日の仕事で疲れていた俺には雨上がりを待つ気力はなかった。
もう一本タバコに火を着け家路についた。
気がつくと朝が来ていた。
朝に弱い俺はギリギリまで布団から出る事は出来ない。
愛車は数日間、蓄えた汚れが付いたままになっていた。
昨日、頭にあった朝の洗車はすでに消去されている。
当然、時間の余裕もなくバタバタとサーキットへ出発した。
後で知った話だが、その日は大荒れの天候で隅田川の花火大会も途中で中止になっていた。
俺はサーキットに向かって車を走らせていた。
出発時は晴天だったが次第に雨が降り、土砂降りへ移っていった。
「洗車しなくてよかった」と俺は思っていた。
サーキットが近づくにつれ辺りは暗くなり、経験したことのない雨が車を叩きつけた。
子供のころの俺は近くの池で遊ぶのが大好きだった。
特に大雨の後は水かさが増し、一回り池が大きくなる。
そこに長靴で入っていくのが面白く、深みにはまってはよく長靴を置いて帰っていた。
俺は今、激しく降る雨に浮かれていた。
危険に足を踏み入れ楽しんでいた幼少期の池のような感覚だ。
山道に差し掛かりカーブがきつくなる。 ブラインドコーナーもあり先が見えない。
俺はスピードを緩めながらもテンポよくコーナーをクリアしていた。
「?」 アスファルトの道路上に砂利がうっすら乗りはじめた。
「工事でもしているのか」と思ったがその気配はない。
違和感を感じながらも走り続けた。
だんだんと砂利は大きくなっていった。
俺の車はいわゆる「車高短」で地上高が極端に低い。
車体の下へ石が当たる音が痛々しいが、俺は気にせず走っていた。
比較的、長い直線に出た。 アスファルトの上の砂利の道は続いている。
そのとき、砂利の大きさの異常に気がついた。 ゲンコツ大の大きさのものが並んでいる。
「ヤバイ想定外の大きさだ!」
車速は60km/h 「止まれない!」
俺は今まで経験したことのない砂利の上を走らせる事になった。
免許を取って1年目の冬、吹雪のなか俺は石狩○新港でドリフトを楽しんでいた。
初心者の俺が見せる雪上ドリフトは、今では目も当てられないだろう。
初心者のうちはよく練習の為メインから外れたところで走る傾向がある。 しかしこれには罠があった。
メインを外れると新雪が積もっており「車高短」で走ると大きな確立でスタックするのだ。
俺も例に漏れず、減速した車体はあっという間にスタックした。
初心者なのでスコップなどの装備もなくメインから離れているので助けも来ない状態だった。
幸い通りかかった70ランクルの人に牽引してもらい助かったが、それまでの間は生きた心地がしなかった。
このとき車体が雪に乗ったときはアクセルを踏み切る事を学んだと同時に70ランクルが欲しくなった。
俺は今まで経験したことのない砂利の上を走らせる事になった。
突入前、瞬間的に色々な事を考える。
俺は車体ダメージを回避するためアクセルを抜いて突入した。
大きな音とともに車体が減速をはじめた。
この減速感はあの時、そう石狩○新港の時と同じだ!
スタックの恐怖が頭をよぎる。
俺はアクセルを大きく踏み込む。
エンジンが吼え、リアタイヤが地面を蹴りだした。
石と車体の戦いが続いている。
その車は、まるでくるおしく身をよじるように走っていた。
今まで「車高短」で乗っていて経験したことのない激しいビートが響くなか無我夢中で走り、石のエリアを抜けた。
頑張った俺の車だがやはり損傷があった。
「ハンドルが左へ取られる!」
車を降りるとフロント左タイヤがパンクしていた。
タイヤ交換を余儀なくされる。
激しい雨のなか・・・・
サーキットへたどり着いた俺は、ゾウさんとアルパカさんと戯れて終わった。
(この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません)
と、いうわけでトラブルです。
タイヤにパンクの跡が見られなくてホイール裏を見たら、こんなんなってます。
ばらして
内リムに穴開きましたW
原因は大きい石がキャリーに挟まりました♪
画像の石は気づかないでずっと乗っけて走ってましたWW
こんなサイズです(怖
9J-Bはスペアに5本あったのでディスクを入れ替えました。 皮肉にも偶数本になりました(泣