南極点往復調査のため設計された全装軌式雪上車である。燃費は 1リットル当たり250m と極めて悪く、遠征時は燃料ドラムを積んだそりを複数台牽引して走行する。ハイスピーダー給油機は1回転で約1L給油でき、燃料補給の作業効率を高めた。
極地での長期行動に備え、車体は徹底した断熱構造を採用。黒色外装で太陽熱を最大限吸収し、室内は暖色系で明るさを確保。エンジン冷却水熱を利用した造水器や調理設備も備え、隊員の生活性を高めている。暖房・換気性能も強化され、−60℃環境下での運用に対応した。
1968年、第9次越冬隊はKD604を4台用いて昭和基地から南極点へ往復5200kmを走破し、83日目に到達した。
主要諸元は以下の通り。
• 全長5.47m、全幅2.5m、全高2.66m
• 空車重量7.4t、総重量7.9t
• 最高速度30km/h(舗装)、圧雪路20km/h、牽引時5〜7km/h
• 2tそり4台を牽引可能
• 水冷4サイクルディーゼル(140PS)、排気量6.4L
• 前進5段・後退1段、全装軌・独立懸架
• 座席4、寝台4、調理室・造水器完備
極地仕様として総合的な居住性・耐寒性・長距離性能を融合した、日本南極観測の象徴的プラットフォームである。
国立局地研究所 南極・北極科学館で撮影。
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2025/11/20 16:57:52