爺:殿、ご出立の準備、ほどなく整いましてございまする。
殿:うむ、爺、では早速参ろう。
爺:この先、不肖の身ではございますが、この爺めが、道中の案内を務めさせて頂きます。
殿:世話を掛けるな。宜しく頼む。
爺:まずは越前福井で‘あさげ‘をご賞味くださいませ。「ポレポレ」という名のパン屋です。
殿:パンは良いが、なにゆえわざわざ越前なのじゃ? 道中山城や近江も通るであろうに?
爺:それは入ってみてのお楽しみと言う事で。さ、さ、どうぞ中へお入りください。
殿:おー!何という種類の多さじゃ。
爺:120種類くらいあるそうです。
殿:これだけあればどれを選べばよいのか悩むのぉー。嬉しい悲鳴じゃ。
爺:お決まりになりましたか。では2階へ参りましょう。
殿:2階とな?
爺:2階が茶屋になっておりまする。ここで頂きましょう。こちらの窓越しの台にどうぞ。
殿:そのような端に座らずとも広い座卓があるではないか?
爺:そう言われずこちらにお越しくださいませ。
殿:爺がそこまで言うのであればよかろう。そちらへ参ろう。むむ、これは!
爺:如何ですか?
殿:ほほぉー、これはなかなか。いやはや良き眺めじゃ。まさかパン屋からこのような景色を拝めるとは思うてもみなかった。
爺:お気に召して頂いたようでなによりです。
殿:パン屋は数あれどこのような景色拝みて食せるところ初めてじゃ。
爺:そうこう言っておると早速参りましたぞ。
殿:少し上からの眺めが絶妙じゃのう。鉄分も補給出来たわ。
爺:味の方も確かと聞き及んでおります。どうぞお召し上がりを。
殿:うむ、確かに良い味じゃ。特に生ハムのカスクートは絶品じゃ。旨過ぎる! 味よし眺め良し申し分ないのぅ。キャラメルラテは普通かな。
爺:ご満足頂けたようで、ようございました。では、次へ参るとしましょう。
殿:次は何処へ参るのじゃ?
爺:次は越中富山の「田村農園」でございます。
殿:そこは以前にも1度訪れた事があったな。さては例のプリンであろう。
爺:ご明察のとおりでございます。
殿:うむ、以前と変わらぬ超~濃厚な味わいじゃのう。わざわざ来た価値があったわ。
爺:せっかくですからいろいろ買って帰りましょう。カブに卵に生サラミ、あと、ソーセージもと。では、次へ参らせて頂きます。
殿:爺よ、それにしても天気予報は大ハズレであるのう。雨が降るどころか見事な晴れ具合。何度も越中には足を運んでおるがここまで見事なのは初めてじゃ。
爺:まこともって絶景でございますな。さ、さ、着きましたぞ。「すし玉」です。
殿:せっかくじゃ、地の物だけを攻めるぞ。クルクル寿司にしては少し高いが、回らない寿司屋と比べれば遥かに安い。味もなかなか悪くないわ。
爺:お次は「富山城」へご案内いたします。
殿:前回時間の関係で行けなかったからのう。楽しみじゃ。ところで爺、お主いったい何処へ向かっておるのじゃ?どんどん城から遠ざかっておるではないか。まさか、もうろくしたのではあるまいな。
爺:さ、着きましたぞ。ここで記念撮影と参りましょう。
殿:むむ、城の外れにこのようなオブジェがあろうとは!これは良きアイデアじゃ。まさにあめ~じんぐ。余はすこぶる気に入ったぞ。城と現代アートのコラボなかなか良いではないか。
爺:殿、嵌まり過ぎです。いつまで撮ってるんですか。そろそろ参りますぞ。
殿:今少し、今少しじゃ!
爺:・・・。止む得ぬ、引きずって行くかのう。
殿:爺、何をする。何処にそんな力があったのじゃ、無茶をするでな~い。
爺:さ、さ、本丸を攻めますぞ。
殿:中は博物館になっておるのだな。天守展望台からの眺めも悪くないが、転落防止用の金網が邪魔じゃのう。ちょっと残念であったわ。
爺:次は「富山港展望台」へ参りますぞ。
殿:お~、少し雲が掛って来たが絶景ではないか!立山もしっかり拝めるのう。
爺:お次はすぐ近くの「田尻本店」です。‘ゆうげ‘用の酒を買いましょう。
殿:これが旨そうじゃ、この店限定らしいしな。
爺:どんどん参りますぞ。お次は「蛯米水産加工」です。こちらで越中の土産を買い込みましょう。
殿:どれも旨そうじゃのう。特に黒作りが楽しみじゃわ。
爺:「海王丸パーク」に着きましたぞ。
殿:久しぶりであるのう。海王丸に新湊大橋、そしてその後方の立山。絵になるではないか。
爺:では、次へ出発致します。
殿:爺よ、また有らぬ方角へ向かっておるが大丈夫なのか。
爺:ご心配ありません。さ、着きましたぞ。
殿:ほほぉ、「新湊大橋」を間近から見ようという思考だな。うむ、良き眺めじゃ。
爺:それだけではございませぬ。
殿:他になにがあるのじゃ?
爺:では、こちらへ。
殿:何と、この橋は登れるのか!立派なエレベータも付いておるではないか。
爺:対岸まで歩いて行けるそうです。少しだけ歩いてみましょう。
殿:富山湾が一望ではないか! 以前に乗った遊覧船も眼下に拝めるのう。
爺:本日の観光はココまででございます。これより氷見の本陣へと籠を進めてまいります。
殿:さようか、もうそのような刻限であったか。ところで籠じゃがかもめに占拠されておるぞ。
爺:お疲れでございました。本日のお宿「永芳閣」です。
殿:爺よ、せっかく手配してくれて申し訳ないのだが、この部屋ちと狭くはないか?
爺:殿、そちらではございません。そこは寝所でございます。さ、さ、こちらです。
殿:何と、もう一部屋あったのか! それにしてもえらく奮発いたしたのう。景色も良いし贅沢の極みじゃ。金子の方が心配じゃが。お、さっきまで居た新湊大橋が戸や湾を挟んで見えるではないか。
爺:今回は特別という事で。ごゆるりしてくださいませ。では、早速安着の乾杯とまいりましょう。
殿:そうじゃの、せっかくのはからいじゃ、今宵は楽しむとしよう。
爺:殿、‘ゆうげ‘の前に湯殿へ参りましょう。
殿:そうじゃのう、一風呂浴びるとしよう。あ~、さっぱりしたわ。
爺:‘ゆうげ‘の準備整っております。こちらが本日のお品書です。
殿:今年の寒鰤はまずまずの味じゃのう。
爺:これも開けてしまいましょう。
殿:これは旨い! 食事には少し濃過ぎるが良い味ではないか。
爺:どんどんやりましょう。追加で河豚の白子てんぷらも頼んでみましたぞ。
殿:食い過ぎたわ。もうぽんぽんじゃ。
爺:では、今宵はこの辺でお開きといたしましょう。明朝朝風呂にまいりましょう。
殿:たまには朝から湯あみも良いものじゃ。爺‘あさげ‘へまいろう。バイキングはついつい、ちょっと取り過ぎたのう。
爺:さ、名残惜しいですが、出発致しましょう。2日目はまず「氷見ハッピータウン」へ参ります。
殿:氷見へ来るといつも寄っておるスーパーじゃな。けっこう地の物もあって下手な土産物屋よりよっぽど楽しいからのう。
爺:今回も良き品が沢山手に入りましたな。では次へ参りましょう。
殿:な、なんじゃ、この人の多さは!?
爺:金沢名物(ほんとは違うけど)「第7ギョウザ」で‘ひるげ‘をと思うておったのですが、開店時間に来て既に1時間半待ちとは・・・。爺としたことが不覚。
殿:確かにこれは待っておられんのう。
爺:止む得ません、第二候補「8番ラーメン」へ向かいます。ここも金沢名物の野菜ラーメンがありますのでご堪能頂けるかと。
殿:野菜たっぷりで、キャベツがシャキシャキしていて、なかなか良き味ではないか。
爺:急遽変更になりましたが悪くありませんな。
殿:このサン・ラー・タン・メンなるものも酸味と辛みが程よいバランスじゃのう。
爺:産直店で少し買い物をして帰りましょう。野田の「ほがらか村」
殿:お、能登牛があるではないか。県外ではあまり見かけないから買っておこう。
爺:鶴来の「汐井酒店」へ寄ります。殿、とても良き酒が手に入りましたぞ。菊姫の山廃生原酒です。
殿:爺、でかしたぞ。これは楽しみじゃ。
爺:同じ鶴来「おはぎ屋」に着きましたぞ。
殿:おはぎは好物じゃ。ではさっそく茶でも所望して頂くとしよう。
爺:殿、そちらではございません。
殿:どういうことじゃ。おはぎを食わせんのか?
爺:こちらには笹寿司の教授に参ったのでございまするぞ。
殿:しかしのう、おやぎ屋に来ておはぎ無しというのは・・・。
爺:おはぎは土産として城に帰りて‘ゆうげ‘後に頂きましょう。
殿:それなら良しとしよう。では、笹寿司作り教わろうかのう。
爺:こちらが材料になります。丸めて具材をのせて、笹で巻いて箱に詰めて出来上がりです。‘ゆうげ‘の頃には食べれるとの事です。
殿:コツはいるが意外と簡単に出来るもんじゃのう。道具もそのまま頂けるし、城に帰ってもまた作ってみよう。
爺:良き土産が出来ましたな。では、次は「西圓寺」へ参ります。
殿:寺に参るのか。ま、それも悪くないかのう。
爺:殿、寺は寺でも普通の寺ではないのですぞ。
殿:ほぉ、何か特別な物でも展示しておるのか?
爺:いえいえ、ま、行ってのお楽しみと言う事で。着きましたぞ。
殿:爺、やっぱり、普通の寺ではないか。
爺:さ、さ、中の方へ。
殿:むむ、何とここは銭湯か!それとも温泉か?
爺:左様でございます。良き湯が湧出る温泉でございます。早速入りましょう。
殿:お、硫黄(硫化水素)の香りが漂い、鉄分の淡い黄色湯、細かな気泡も確認出来る。ただの塩化物泉ではないな。とんでもなく素晴らしい湯ではないか!久しぶりに感動の湯じゃ。ところで爺、なんで湯船に葉っぱの付いた大根が丸のまま2本も浮いておるのじゃ?
爺:本日は26日は風呂の日と言う事で、今月の「変わり湯」らしいですぞ。
殿:なるほどそうであったか。ここではいつもこうなのかと思ったわ。
爺:良き湯でありましたな。殿、本堂の方へお越しくださいませ。風呂上がりの一杯といきましょう。奥能登ビールの生が飲めるそうです。私はラムネで。
殿:あっさりしていて飲みやすいのう。
爺:さ、では、最後の目的地へ参りましょう。最後はこの旅の始まりで締めくくりたいと思います。「ポレポレ」です。明日の‘あさげ‘を買って帰りましょう。
殿:爺、良き旅であったな。さ、城へ帰るといたそう。
お・し・ま・い
番外編
*満寿泉純米 食事にはちょっと味が濃いが、濃いめのおつまみとなら相性抜群。味の素性そのもののは良好。
*鰤の燻製 富山らしい一品。まだ食べてないので味は不明。
*菊姫山廃生原酒 とんでもない超濃厚酒。でもバランスは悪くなく味は極めて良好。ソーダ水で1:1で割っても美味しい。
*おはぎ屋のおはぎ 珍しくこし餡のおはぎ。その分上品でさっぱりした感じ。けっこう美味しい。
*田村農園のたまごS 前回よりあっさり。淡白な味わいながらそれなりに美味しい。
*ほがらか村の姫神とろろ芋 まだ食べてないので味は不明。
*氷見ハッピータウンの氷見牛A5 柔らかく味の方も良好。脂の素性も良い。買って損なし。
*ほがらか村の油揚味噌漬 素朴な味わいで万人受けするがコスパは良くない。
*ほがらか村の能登牛切り落とし しつこくなくさっぱりしているがその割に味が濃い。コスパも素晴らしい。
*蛯米水産加工の惣菜 黒作りはご飯のアテに最高。想像以上の旨さで当たりでした。鰤昆布巻きは可も無く不可もなく。他はなかなかのお味でした。
*氷見ハッピータウンのすりみ 地元食の雑魚のすりみ。汁ものに入れて食べる。まだ食べてないので味は不明。
*田村農園のソーセージと生サラミ ソーセージはジューシーで味も良好。さらにコスパも良く言う事なし。 生サラミは噛めば噛むほど味が出てくる。良い味をしていて買って損なし。
*氷見ハッピータウンのいか昆布生ふりかけ ご飯の友の最高。旨過ぎてびっくりした。
*氷見ハッピータウンのセコガニ 食べるのが少々面倒だが鮮度抜群で味は抜群。
*氷見ハッピータウンのバイガイ ぬめりが強過ぎて処理に手を焼いたが味はバランスが良く当たりだった。(ぬめりはレモン汁・塩等で取れる)
*おはぎ屋の笹寿司 素人製なので味は落ちると思うが、素朴で飽きの来ない味は悪くない。