海外ニュースの弟二弾ですが、昨年ドイツで開催されたユーロ・ボディ・アワード(分かりやすく言うとホワイト・ボディ・オブザイヤー)でアウディQ5のボディが最優秀賞を獲得しました。このイベントは実にドイツらしいもので、ボディを専門とするエンジニアが集まり一票を投じて選考するのです。各メーカーのエンジニアがそれぞれパワーポイントを使って技術の優位性を発表します。選考委員は参加車も聴衆も全員が清き一票を持っているのです。
トヨタはグループで全体で約30名くらいのエンジニアが参加してたと聞いてますが、上には上がいてホンダは約50名のエンジニアを派遣したそうです。そこまでしても獲得したい名誉ある賞なのです。しかも現実は企業秘密に触れるくらいの詳しい資料をお互いに公開し、夜な夜な議論を楽しむイベントです。日本メーカーのエンジニアにとっては英語とボディ技術のお勉強会なのですね。
でも、入手した各メーカーの資料を精査すると、日本メーカーのボディ技術が欧州にくらべて遅れていることが分かったのです。例えば二種類の特性が異なる素材を部位によって使い分ける「テーラードブランク」は日本でも実用化されてますが、欧州では素材の段階から鉄鋼メーカーが提供してます。しかも生産技術ではレーザー溶接はVWやアウディではものすごく進んでいるのです。
多くの読者はボディ剛性は高ければ良いと思いがちですが、実際はタイヤとフレームとボディなど全体の剛性バランスがとても重要なのです。その意味では「テーラードブランク」はこれからのトレンドになることは間違いないでしょう。衝突安全、環境性能(軽量化)、パッケージ、乗り心地、音と振動、ハンドリングと実に多くの機能に影響力を持つボディ特性で欧州に負けていたら、燃費で勝ってもクルマの価値には繋がらないのです。
生産性/効率/コストだけに終始しないで、本質的な技術で欧州メーカーに挑んでほしいと思いました。
Posted at 2009/01/03 17:05:03 |
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自動車技術 | 日記