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2022年07月24日

三本和彦氏逝去

三本和彦氏逝去 2022年7月16日、自動車ジャーナリストの三本和彦氏が亡くなりました。

三本氏は大学にて写真技術を学んだ後、東京新聞に写真部記者として入社。並行して自動車ジャーナリズムにも参入し、フリーランスとして独立後は自動車専門誌への執筆やTV番組の司会で活動されました。

私が三本氏を知ったのは、

1960年代のモーターファンやモーターマガジンの誌面でした。

父は1963年頃から自動車専門誌を複数社購入していましたが、特にモーターファン誌がお気に入りで、ようやく字が読めるようになっていた私もよく読んでいました。その頃氏は30歳を越えた時期で執筆者としては若手でしたが、写真を積極的に取り入れた記事作りなど独特の筆致が印象的でした。

それよりもこのブログをご覧の40代以上の方には、


テレビ神奈川(TVK)で製作されていた「新車情報」のキャスターを1977年から2005年まで長期間務めたので記憶されている事でしょう。

それまで深夜番組などが自動車を数分単位でトピックスとして取り上げる事はありましたが、30分単位で自動車に特化したTV番組の登場は意外に遅く、この新車情報が最初だったと思います。司会の三本氏と女性アシスタント、セミレギュラーの自動車評論家陣(鈴木五郎氏、園部裕氏、山口京一氏、故池田英三氏など)で、毎回特定の車種を取り上げ、高速道路とワインディングロード(箱根、番組内ではいつもの山坂道と呼ぶ)にて試乗して、国産車であればその開発者、外国車であればインポーターの責任者をTVスタジオに招聘して質問をするというのが主な内容でした。

新車情報は神奈川とはいえ地方のUHF放送局なので、全国ネットの放送ではなかったのですが、幸運なことに地元の岐阜放送では1978年頃木曜日22時から放送が始まったので、もういっぱしのカーマニアだった私は欠かさず観ていました。

三本氏が「いつものように不躾なものですが」(私がぶしつけという単語を知ったのはこの番組だ)という前置きで展開する質問は忌憚ないもので、メーカーの開発者もたじたじとなり対応に苦慮し「次回の改良ないしは次の新型車にて改善をしたい」とお茶を濁す場面もよくありました。もっとも、広報担当者とは違って開発者はしゃべるのが本業ではない技術者なのが多いので、致し方ない面もありますが。

三本氏は東京出身生粋の江戸っ子であり、ある時はべらんめえ口調でまくしたてる事で、
○頭の上に握りこぶしが○○個入る(実際にシートに着座して頭上に握った手を置いて)
○番組中期から実際に10cm単位の印をつけた手作り定規(視聴者から不躾棒と呼ばれる)を持ち出して、ラゲッジスペースの寸法測定をする
などなどの、三本節と称される名言や迷言を多く残されました。そこまで言っても大丈夫なのか?と思うことも。

氏がこだわったカーアイテムには、フロントドアの三角窓があります。全開にすると外気を取り入れ、少しだけ開くと走行時の負圧で内気を排出するのに役立つというもので、1960年代までの国産乗用車にはほぼ装備されていました、しかし視界の妨げになるという理由であっという間に廃止。その代わりに前方から外気を取り入れて室内に導入し、ボディ後部のダクトから排出するというベンチレーションシステムが取り入れられたのですが、当初は設計が上手く行かなくて空気の抜けが悪いクルマが多々ありました。そのため氏は三角窓の復活をことあるごとに要望していましたが、開閉可能な三角窓が装備されたのは1989年の日産パオだけだったと記憶します。

個人的に三角窓の付いた車は、会社で乗ったサニートラックとポーターキャブですが、サニートラックは三角窓周囲のウエーザーストリップゴムの劣化による雨漏り、ポーターキャブは開閉に節度が無くて、開いても風圧に押されて閉じてしまうという不具合で、恩恵に浴することが出来なくて、三角窓の機能は認めても経年劣化に弱い事も、三角窓が廃止される原因になったのだろうと身をもって知りました。

結果的にボディ側面のリヤバンパーの裏面にダクトを設置することで、内気の排出が効果的であることが分かり、全面的ではないにしても三本氏の提言は効力を発揮しました。

また、氏はハッチバックやワゴン車の跳ね上げ式リヤゲートに開閉を、手を汚さずに手助けする、ハンドルの設置を熱心に説いていました。

それも、1991年1st三菱RVRや、1995年1st ワゴンR(の2型モデル)に外付けのグリップ式リヤゲートアウターハンドルが装備されたり(その後続かなくなってしまったのは残念)、現在ではほとんどのリヤゲートに、手を差し入れるポケット式のリヤゲートインナーハンドルが設置されているのは、氏の提言がメーカーを動かした成果でありましょう。

また三本氏は、カーグラフィック誌の名誉編集長、故小林彰太郎氏とは大学時代にアルバイト先(アメリカ大使館で日本語を教える仕事)で出会って以来の友人で、専任カメラマンが不在だったカーグラフィック誌の写真撮影を担当して創刊当時を支え、その後も小林氏が編集長を勇退する1989年まで巻頭コラムの執筆を続けられました。


左でしゃがんでいるのが三本氏、ひとりおいて右でシトロエンDS19に右手を掛けているのが小林氏

今頃は雲の上で、9年前に逝かれた小林氏や、新車情報にも度々ゲスト出演をされた故徳大寺有恒氏と再会されて、昨近の自動車情勢を語り合っているのでしょうか。
三本和彦氏のご冥福をお祈りします。

掲載写真は、
カーグラフィック誌 2014年1月号
モーターファン誌 1971年11月号
新車情報'77 1977年7月6日 第1回放送分
より転載させて頂きました。
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Posted at 2022/07/24 22:50:59

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