3代目のインサイトが発売されました。
今回の座っただけのインプレッションは、4年ぶりに復活したインサイトと行きましょう。
インサイトは、
初代(1999年-2006年)は、1L 3気筒ガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムを搭載した、アルミフレーム+プラスチックボディの2シーター3ドアクーペで、ホンダ初のハイブリッドカーでした。
2代目(2009年-2014年)は、1.3L4気筒ガソリンエンジン+モーターのハイブリッドシステムに、5ナンバーサイズのクーペルックの5ドアハッチバックボディの、当時売れていた2代目プリウスをターゲットにしたクルマでした。
初代は軽量ボディを利して当時としては燃費の良いクルマでしたが、2シーターでバッテリーのためラゲッジスペースが狭いなどが災いしほとんど売れずに終わりました。
2代目は発売当初はプリウスをしのぐほどの売れ行きでしたが、プリウスがモデルチェンジで3代目になり人気が更に出ると、インサイトはさっぱり売れなくなってしまい、2011年にマイナーチェンジで1.5L エクスクルーシブシリーズを追加しても回復せずに2014年販売終了となりました。
ということで2世代連続でホンダ車では不遇な立場のインサイトでしたが、捲土重来(多分)を期して、
3代目は1.5L 4気筒ガソリンエンジン+2モーターのハイブリッドシステムを、ルーフラインが円弧に近い4ドアセダンと、ガラッとコンセプトを変えてきました。
諸元表を見ると、ホイールベース/前後トレッド/サスペンション形式(前マックファーソン/後マルチリンク)は現行10代目シビックセダンと同じ。つまりインサイトとシビックセダンはほぼ同じフロアパンを使用した兄弟車ということになります。シビックは1.5L 4気筒ガソリンターボエンジン(セダンとハッチバックではチューンが異なる)ですが、インサイトはハイブリッドエンジンと、エンジンの違いによる棲み分けとして、お互いに食い合うことを防いでいるようです。
ハイブリッドシステムのマネージメントは、フィットよりもアコードに近い制御になっています。
ホンダセンシングはもちろんのこと、ドライバーの死角である斜め後ろの車両が接近すると注意
を促すブラインドスポットインフォメーションや、
走行時のステアリング操作から、注意を促すドライバー注意力モニターもあります。
CVTミッションでは、アくセルオフ時のエンジンブレーキが利きすぎでスピードが落ち過ぎたり、弱くてブレーキを踏むことになったりして、もどかしいことが多いですが、減速力を3段階に切り替える減速セレクターはそのイライラを解消してくれるかも知れませんね。
シフトレバーを廃して、プッシュボタンでギアチェンジをする方式も増えてきました。またハイブリッドバッテリーをリヤシート座面下に追いやったので、トランクスペースはかなり広く、トランクスルーで拡大することも可能ですが、写真のように後席中央シートベルトが残ったままでせっかくの機能を阻害しています。シートベルト下端をバックルを設けて切り離し可能にすれば、未使用時にラゲッジシェルフ内に収納出来るのに何でそうしないのでしょうか。(うちにあったコロナプレミオはそうなっていた)
スマートキーを持って車に近づくと、ドアアウトサイドハンドル内側にLEDランプが点灯する、スマートウエルカムランプはよい仕掛けです。
歩行者と衝突時にフード後端を持ち上げて歩行者の頭部衝撃を緩和する、ポップアップフードシステムも普及して来ました。
グレードはベーシックなLX、上級のEX、外装にブラックメッキを多用して、専用のブラックインテリアとしたEX・ブラックスタイルの3種類。
ボディカラーは、コスミックブルーメタリック(B607M)、クリスタルブラックパール(NH731P)、モダンスティールメタリック(NH797M)、ルナシルバーメタリック(NH830M)、プラチナホワイトパール(NH883P)、プレミアムクリスタルレッドメタリック(R565M)。
EX・ブラックスタイルは、クリスタルブラックパールとルーセブラックメタリック(NH821M)の2色しか選べません。
さてEX・ブラックスタイルの黒ずくめは自分は気に入りません。前にも書きましたがルーフライニングまで黒だとどうも陰気な気分になってしまうので、EXにしたいのですが強いて挙げればボディカラーはプレミアムクリスタルレッドメタリックでしょうか。
ボディカラーが全てシビックと共通カラーというのは、いくら兄弟車といっても魅力に欠けます。初代インサイトはNSXやS2000と共通色も設定されてカラフルだったし、2代目インサイトもスペクトラムホワイトパールという薄紫のホワイトパールという専用色を用意していたのです(残念ながら1回目の小変更で廃止になったが)。
ハイブリッド専用車なら、せめて1色くらいスペシャルなボディカラーを用意したって罰は当たらないと思いますがね。
ところで、同一車名でコンセプトが激変したクルマといえば、
日産レパードが挙げられます。
初代(1980年-1985年)は、910ブルーバード(正確には対米仕様の910マキシマ)をベースに、2.8L
2L、 6気筒エンジンをメインにした2ドアハードトップ/4ドアハードトップの高級パーソナルカーとして発売。
4ドアハードトップはカリーナEDよりも4年も早く、スタイルも斬新だったが、当時の日産はエンジン開発が遅れていて旧態化したL28E、L20Eエンジンでは見劣りがしました。翌年ソアラがDOHC2.8Lエンジンを引っ提げて登場すると大人気となり、レパードはL20ターボ、VG30ターボを追加したものの、挽回には至りませんでした。
2代目(1986年-1992年)は、2ドアクーペのみになりました。初代BMW6シリーズや初代ソアラに似たサイドビューのスタイルで、エンジンはV6 3L/2Lになったものの、同時期に2代目になったソアラにまたしても水をあけられることに。TVのあぶない刑事の劇中車に採用されたことで人気を保ったくらいでした。
一応専用シャーシーですが、7代目R31スカイラインスポーツクーペと共通パーツが多いです。
3代目(1992年-1996年)は、打って変わって「J・フェリー」のサブネームが付く4ドアセダンに。Y32セドリック/グロリア/シーマのシャーシーに、曲線基調の尻下がりのトランクを持つボディをかぶせたアメリカ人が好みそうなデザインです。エンジン設定はシーマに近くて、V8 4.1Lと V6 3Lです。
キャッチコピーは「美しい妻と一緒です」、つまり経済的余裕のある中年男性が以前は美人であっただろう奥方とパーティーやゴルフに向かう際にサマになるクルマというコンセプトですが、日本ではそういう人は外車を買うだろうし、そういう光景に出くわすことも少ない。案の定アメリカではそこそこ売れたが日本ではてんで売れませんでした。
4代目(1996年-1999年)は、またまた変わって4ドアハードトップに。J・フェリーはシャーシーはセドリックでも独自のボディだったが、サブネームが取れたもののドアやルーフパネルは共通化されてフロント/リヤデザインの違い程度になってしまいました。
バブルがはじけて日産の経営が傾き始めた頃の登場というハンディはあるが、レパード独自のものはほとんど無くなってしまい売り上げも低迷。セドリック/グロリアがY34にモデルチェンジされる際に生産打ち切りになりました。
話が逸れましたが、インサイトも代替わりの度にコンセプトが激変しています。しかも生産中止から3-4年後に同じ名前で再登場なんて他メーカーではあまり聞きません。どう考えても販売政策としては不利でしょう。
個人的にはトランクが広いといっても使い勝手ではハッチバックのほうが好みです。そうなるとシビックハッチバックに軍配を上げたくなりますわ。インサイトと名乗るならセダンではなくてハッチバックにした方がよかったのではないかと思いますがね。