N-BOX/(スラッシュ)、N-BOXの派生車種として昨日登場しました。
端的には、N-BOXのルーフを11cm低くしてリヤドアをスイングドアにしたものと言えばわかりやすいでしょう。
昔ならば、もっとルーフを低くして2シーターか2+2にした2ドアクーペやハードトップを新車種として出すのでしょうが、今時クーペやハードトップなど買う人は少ないし、オープン2シーターミッドシップのS660という真打ちが控えている限りちょっと無理。
そこでNシリーズのクーペという位置付けで、比較的手軽な方法でモデル化可能な(と言っても開発費はかなり掛かっているはず)N-BOX/が出てきたということでしょう。
企画途中には昨年東京モーターショーに参考出品された、ハスラークーペが参考になったのではないでしょうか。ハスラーがバカ売れしたので、さすがのスズキも余力が無いのか未だ市販されませんが、コンセプトが瓜二つであることは誰が見ても明らかです。
なので、N-BOX/には新しい技術としてはあまり見るところはありません。
敢えて挙れば電子制御パーキングブレーキと、モード切替ステアリングです。また上級グレードにQi(チー)規格のワイヤレス充電器が付きます。またN-ONEでおなじみのディスプレィオーディオも選択可能です。
ようやくリヤシートがチップアップかつスライド可能になったこと(測ったら約18cm)も必要とする方には朗報です。
慣例の12月を見送って2月に発売予定とされるN-BOXの2015年モデルにはこれらの機構が採用されるのは間違いないでしょう。
N-BOXとの変更点は、エクステリアでは顔はN-BOXノーマルベースで全車HIDヘッドランプ、フロントグリルのデザイン変更程度に見えますが、フロントセクションは実は全てN-BOX/専用パーツでN-BOXノーマルとは異なります。
サイドはフューエルリッドにフューエルフィラーガーニッシュというメッキの加飾が付きます。そこが開きそうですが、開閉方法は従来通りであくまでも飾りです。細かいところでは、N-BOXと違ってフューエルタンクキャップを引っ掛ける長いツメが無いので、N-BOX/ではテザー(キャップに付いているヒモ)をフューエルリッドの短いツメに引っ掛けてぶら下げるようにと取扱説明書には書いてあります。
リヤドア開口部が後ろ下がりのため、うっかりリヤシートに座ろうとすると頭を打つ可能性も。
ホイールは14インチスチールホイールにフルホイールキャップ上級グレードにはハーフキャップが基本です。主要グレードがアルミホイールのN-BOXと扱いが違いますが、おそらくコストでしょう。レトロなデザインだけど個人的には今更スチールホイールなんてと思います。全車14インチのN-BOX+と違って上級タイプのターボには15インチアルミホイールが付きますが、こちらはN-BOXカスタムターボと同じデザイン。
リヤは一転してN-BOXカスタムのイメージ。やっとハイマウントストップランプもLED化されて外付けになりました。テールランプはN-BOXカスタムと同じと思いきや、下のガーニッシュが一体化された専用品。リヤバンパーもガーニッシュの形状が異なる専用品です。
インテリアはN-BOXと差別化を図るためか、結構頑張っています。
目につくのがコンソールボックスにドーンと設置されたウーハーです。これは大容量のエンクロージャーを備えた本格派。前後左右スピーカーはそれぞれ2ウェイで計8個+サブウーハー=9個スピーカーがセットされています。何やら現行bBの初期型と同じような音楽傾倒具合ですね。
フロントガラス上下が短くなったためか、ハーフシェイドは廃されて、フロントルームランプには上級グレードのみサングラスボックスが付きます。
インテリア配色の基本はN-BOXと同じブラックとベージュですが、
ブラックではストリートロッドスタイルとして、グレードによってメーターパネルセットがミディアムガンメタリック塗装です。パッと見N-BOXカスタムのピアノブラックかと思いきや違います。メーターはN-BOXカスタムと同じブラック盤面にブルーのリング。
ベージュではブライトロッドスタイルとして、グレードによってメーターパネルセットがホワイトパール塗装になります。メーターは濃いベージュ盤面にレッドのリング。
グレードは、G、G・Aパッケージ、G・ターボAパッケージ、X、X・ターボ。
Gはベーシック、G・Aパッケージはおなじみのあんしんパッケージを主にした売れ筋モデル。G・ターボAパッケージはそれにターボを載せたもの。
更に上級グレードとしてXが出ました。こちらは運転席&助手席シートヒーター、ステアリングヒーター加飾メッキホイール、クルーズコントロール、サウンドマッピングシステムが追加されます。X・ターボでは15インチアルミホイールも装着されます。
更にXとX・ターボでは、インテリアカラーパッケージが選択出来ます。インテリアカラーパッケージは3種類。
カリフォルニアダイナースタイルはレッドを基調に、ブラック/ホワイトチェッカー模様が粋なスタイル。メーターはブライトロッドスタイルと同じ。スマートキーはレッドにブラック/ホワイトチェッカーの加飾。
ハワイアングライドスタイルはアイボリーを基調に、サックスブルーをあしらったさわやかなスタイル。よく見るとエアアウトレットはアイボリーにメッキ加飾が付いています。メーターは濃いベージュにブルーのリング。スマートキーはサックスブルーの加飾。
テネシーセッションスタイルはブラウンを基調に、ダークブラウンとウッド調パネルを用いたシックなスタイル。ステアリングホイールにはブラックの加飾が付きますが、N-BOXカスタム2トーンスタイルのピアノブラックではなくて、ミラーブラックという新色です。メーターはN-BOXカスタム2トーンカラースタイルと似たブラック盤面にレッドリング。スマートキーはブラウンブラックストライプの加飾。
といった具合に、かなり個性的なインテリアパッケージとなっています。Xグレードも含めてシートのアクセントラインは左シートのみに入ります。これも「左右非対称」にこだわりを感じます。
ボディカラーはモノトーン8色。
ブリリアントスポーティブルーメタリック(B593M)、サーフブルー(B609)、ポリッシュドメタルメタリック(NH737M)、スマートブラック(NH850)、プレミアムホワイトパールⅡ(NH875P)、ミラノレッド(R81)プレミアムイエローパールⅡ(Y70P)、プレミアムディープモカパール(YR586P)。
G・Aパッケージ以上では2トーンカラースタイルも選べます。
ブリリアントスポーティブルーメタリック/タフタホワイト、サーフブルー/タフタホワイト、ポリッシュドメタルメタリック/スマートブラック、スマートブラック/タフタホワイト、プレミアムホワイトパールⅡ/スマートブラック、プレミアムホワイトパールⅡ/?レッド(R564)、ミラノレッド/タフタホワイト、プレミアムイエローパールⅡ/タフタホワイト、プレミアムディープモカパール/タフタホワイト、プレミアムディープモカパール/スマートブラック、計10色。
新色はサーフブルーとプレミアムホワイトパールⅡです。既に上級車ではホワイトオーキッドパールが採用されていますが、軽と小型車用に開発されたのがプレミアムホワイトパールⅡでしょう。ちなみにダイナースタイル専用のプレミアムホワイトパールⅡ/レッド2トーンカラースタイルはスカルキャップやリヤスポイラーのミラノレッドではない新色がルーフに塗られています。カラーNO.はR564ですがまだ名前が不明です。
また、パーツリストではG・Aパッケージ、X、X・ターボ、グライドスタイル、セッションスタイルにアッシュグリーンメタリック(G545M)と、G・Aパッケージにプレミアムピンクパール(R562P)という2種類の新色があることになっていますが、なぜかパーツが削除されています。市販直前で見送りになったのか、将来設定されるのか分かりませんが、グリーンのセッションスタイルなんて個人的には素敵だと思いますがね。
グレードによって選択できるボディカラーに制約があるので、カタログをしっかり確認した方がよいです。
もしあなたがお仕着せのスタイルに満足しない場合は、アクセサリーカタログを見るとよろしい。
オプション品の中から、色別にレコードレーベルの名を冠した3種類のスタイルが提案されています。
ホットサウンズファクトリーは、ロックのノリでブラックにレッドをあしらったスタイル。
サンセットレコードは、サーフミュージックをイメージしてサーフブルーにイエローのアクセント。
ブルージーサウンズは、ブルースにこだわったモカにブロンズのコーディネート。
上記のレコードレーベルは架空のものですが、それぞれ「Since1976」と起源年が記されています。これはでたらめな設定ではなくて、実はホンダアクセスの設立年です。こういうお遊びは私は大好きですね。
個別に見ましょう。
まず交換タイプのフロントグリルがあります。スピーカー(のグリル穴)をイメージしています。
フォグランプは、N-BOXノーマルと異なり、円形タイプのランプユニットとガーニッシュです。しかもLEDフォグランプもあります。
スチールホイールで不満な向きには、こんなアルミホイールがあります。レコード盤をイメージした溝が刻まれたデザインのガーニッシュを装着可能です。これはナイスアイデア。でもちょっと豚の鼻に似てませんか?
インテリアパネルは、ホワイト、レッド、イエロー、ブロンズ、ピンクの5種類。これまで無限にしかなかったルームミラーカバーも5種類設定されました。
N-BOXでは設定の無いサスペンションキットが設定されました。
もう一つのスタイル提案としてバービーコレクションがあります。バービーとは言わずと知れたあのバービー人形のこと(イエス、フォーリンラブ。ではない、念のため)ムーブやタントのハローキティやディズニーに対抗してだろうけれど、バービーでどれくらい女性のハートをつかめるのでしょうか。
シフトゲートカバーにはホワイトも登場。キーカバー(樹脂製)も設定されましたが、ボタン数の関係(スライドドアスイッチが増える)でN-BOXのG以外には流用不可。これは2015年モデルまで待ちましょう。
アームレストコンソールもいいねえ。ちなみに標準装備のアームレストには角度調整機能が付きましたが、これに交換すると角度調整は出来ません。
USBチャージャー。N-BOX2014年モデルでセンターコンソールのデザイン変更になったのは、これらを増殖するスペースが必要になったからなのでした。また、照明付きドアミラースイッチも。これはCR-V用とは品番が異なります。
サウンドマッピングシステムが売りですが効果を上げるために、ピュアサウンドブースというのがあります。純正デッドニングキットですね。こんなものまで設定されるとは驚き。
と、ディーラーオプション品も実に多く掲載されています。本当に寂しい内容だったN-BOX2012年モデルとは隔世の感があります。
インテリアカラーパッケージを見て分かるように、スラッシュ→チョップドトップ→ホットロッドと基本線はアメリカンなドレスアップなのです。元々ホットロッドやチョップドトップは、フォードAタイプを本当に各ピラーを切ってルーフを低めて、チューンしたエンジンを搭載してドラッグレース(の真似事)が1930年代のアメリカで行われたことに端を発するものです。最近はVIPやスーパーユーロが多くアメリカンはほとんど見ないので、着目点としてはなかなかよいのではないでしょうか。
さて、N-BOXオーナーとしては一番気になるパーツ流用情報です。
■フロントグリルは面積は同じに見えるので行けそうですが、ボンネットが異なるのが気がかりなところ。多分大丈夫と思いますが。
■インテリアパネルのインストルメントパネル部分は可能。
■ドアーライニングは、前後長を調べるとN-BOXのフロント69cmリヤ70cmに対し、N-BOX/はフロント84cmリヤ63cmとフロントが長くリヤが短いため不可。
■またフロントスピーカーにはメッキリングが付いていますが、「足」が裏に出ているので装着は困難。
■ステアリングホイール自体の形状は同じ。出来ればステアリングヒーターを取り付けたいものです。
■サングラスボックス付きフロントルームランプは面積は同じだが、N-BOXのルーフでは後ろ側にあるブラケットを処理しなくてはいけないので、困難としておきます。
■フューエルリッドは取付け部の形状を見る限り可能。但し塗装が必要になります。
■テールランプは先に書いたように下側のガーニッシュが一体成型になっているため不可。
■リヤバンパーは上下寸法が違うので不可。
他にも色々流用が効きそうなパーツはあります。上記は私の独断ですので確証はありません、誰か試してみませんか。
個人的チョイスでは、
どうせならばグレードはXで。ダイナースタイルも気になるけど早めに飽きそうなので、セッションスタイルを奢りましょう。このインテリアにグリーンのボディカラーならぴったりだけど無い物ねだりなので、プレミアムディープモカパール/スマートブラック2トーンカラースタイルにすればシックで快適な仕様になりそうです。
しかしN-BOXの利点は自転車が積めるほどの空間にあると思うので、それを自己否定したN-BOX/には乗り換えたいほどの魅力を私は感じません。
でも、このようにシャコタンにすると、
背が低いだけあってN-BOX/の方が決まって見えます。今後はドレスアップ指向の若者はN-BOX/に流れるかも、というのが私の予想です。
それにしても豊富なディーラーオプション品と、
無限のパーツの充実はうらやましい。N-BOXノーマルも最初からこれくらい選択肢があればよかったのになあ。