追い抜きと追い越しの違いは各所で説明されているのだが、追い越しの定義が微妙に違って気になるところがある。
道路交通法第二条の21によると「追越し」の定義は以下の通り。
「追越し車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう」
進路を変えて(=車線変更して)側方を通過まではどう読んでも誤解がないけれど、当該車両等の前方に出ることの解釈が分かれている。
具体的には再び車線変更して元の車線に戻ることが要件に含まれるかどうかだ。
いくつか例を上げる。
元の車線に戻らなければ追い越しではない派
・トヨタ系の
Gazooは「
前のクルマの前に出るために進路変更(車線変更)し、追い越した後に元の車線に戻ること」と書いてある。
・講談社の
ベストカーのこの記事では「高速道路で走行車線を走行中、前車に追いついたため右側の追い越し車線に移動し、前車を越した後に元の走行車線に戻る」との記述がある。
・
TOYO TIREは「先行車両に追い付いたら、右側の追い越し車線に車線変更して先行車両を追い抜き、再び走行車線に戻るまでの動作が「追い越し」に当たります」
車線変更後に追い抜いた時点で追い越しになる派
・
チューリッヒ、おとなの自動車保険は微妙な書き方だが、③の位置と再度の車線変更が点線になっていることからして、前に出た時点で追い越しという解釈だろう。・
ガリバーは「もともとそのクルマの後ろを走っていたが、追いついたので右側に出て、そのクルマを通り過ぎる」で再度の車線変更については触れていない。
よくわからん
国家公安委員会は「追越しは、進路を変え、加速した上で再び進路を戻すという複雑な運転操作を必要とします」と書いているので、元の車線に戻らなければ追い越しではないと言っているのかと思いきや、「最も右側の車両通行帯を通行して追越しをする場合は、追越しが終わつたときは、速やかにそれ以外の車両通行帯に戻らなければなりません」とも書いているのでよくわからん。
きりがないので引用はこれくらいにしておく。
保険屋さんは車線戻りは関係ないとかいているところが多く、個人ブログは関係ありとかいているのが多い印象。
要は「前方」の解釈だが、個人的には対向車線を「前方」と言っている例もあることからして、元の車線に戻らなくても追い越しになると思う。
なお条文では名詞は「追越し」、動詞は「追い越す」と送り仮名が異なる。これを間違えて書き直しを命じられた警察官はどれくらいいるだろうか。
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2025/01/02 22:52:49