日産自動車が
「マーチ コレット」発売でカーボンオフセット活動を実施とのことです。プレスリリースは
こちら。
ナンですか、「カーボンオフセット」って?それって食べられるモノですか?!どれどれ…
そもそもカーボンオフセットとは、何かCO2排出するような活動をした際に、そのCO2排出量に相当する分を埋め合わせとして事業者(カーボンオフセット業者)から購入し、それを元に排出権市場等を通じCO2を吸収・削減する活動が行われ、自らが主導して実行する訳ではないが、自らのCO2排出量削減に寄与することができる、というもののようです。
(
日経BP)
(
環境省のレポート)
ユーザーは、マーチコレットを買うことによりクルマを使用したことによるCO2増量分を相殺することができ、その結果京都議定書でいうところの温暖化対策に寄与できる、ということになります。
(話を絞るため、ここではCO2排出と温暖化の因果関係の是非の議論はとりあえずおいときますね~。はっきり原因ではないが想定される原因の一つだからCO2増加を抑制しようと考えたとき、というくらいの前提で。)
やらないよりは、まぁやってもいいんでは、と思うことをまず言っておきます。
が、マーチコレットが「乗ってもCO2を増やさない環境に優しいクルマ」かというと、実効性や細かい点では色々問題ありそうです。
まず、オフセットされる1トン分のCO2は約8,000km走行した際のCO2排出量に相当するとのことですが、当然8,000km以上乗ったらそれ以上になることに加え、この排出量計算は10・15モード燃費19.0km/Lで行われてます。普通実際の燃費はそれより悪いですよね。8,000kmも乗らなければOKですけど(笑)。
これを見ると、コレットのベースとなるマーチ1200CCのATは13.3km/Lでクラス8位となってますね。燃費がいい≒CO2排出量少ないとするとそんなにCO2削減に貢献しているという訳でもなさそうです(^^;)。まぁクルマ全体で考えると好成績の方ですが。
さらに細かいとこ突っ込むと、マーチコレットには瞬間燃費計がついてなさそうなんですよね。これがあるとないとでは省燃費運転に対する意識は明らかに異なってきます。環境云々を語るクルマならば、これくらいついていてもいいのではないでしょうか。
次にクルマ以外に仕組み自体に目を向けると、取得したCO2排出権は
日本カーボンオフセット(COJ)に委託ということで、結局は
日本国に移転されることになります。これをもって実際に例えばクルマCO2削減の活動等実際の排出量削減が行われればいいのですが、単に海外から排出権を買うだけであれば、なんか日本のノルマに貢献するだけの話になってる気がします。
ハイブリッドの遅れなどでユーザーに環境をアピールできない日産が、話題性で企画したと言われても仕方ないのではないでしょうか。
このオフセットのコストがユーザーに転嫁されているとすると、意地悪く言うと、クルマに罪悪感のある環境意識の高いユーザーから金を集めて日本に寄付させ、クルマを売りつつ環境に優しいメーカーですよと宣伝している、という構造に見えなくもないんですが。
(
カーボンオフセットを体験して分かった問題点)
#たださらに皮肉に見ると、日本の京都議定書削減目標に貢献するのであればとりあえず日本としてそれでいいかもと思う自分もいます。
こんなことより、本当に環境をアピールするならば、より環境負荷が低くしかもその効果が高い(よく売れる)クルマを開発しヒットさせる方がいいでしょう。
ただし例えばハイブリッド自体がCO2排出量が少ないクルマかと言うと、ユーザーに手が渡ってからだけではなくそれ以前の製造過程で発生するCO2排出量もあるでしょうから難しいですね。
このご時勢では、クルマのカタログの1項目に「総CO2排出量」なんてのが載る日も来るかもしれません。
環境ってすごく難しい問題で自分自身わからないことの方が多いのですが、クルマに乗るだけで環境問題的にとやかく言われる昨今、クルマ好きとしてはどう捉えるか考えざるを得ないことになってきているようです。
ただ、四角張って偽善的に「何を実行しなければ…」となるより、
「経済的メリットがあって」
「楽しくて」
ということをやってたら結果的に環境に貢献する、というような仕組みがないと、発展しないと思うんですけどね。
Posted at 2008/05/30 23:15:07 | |
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