むかしある作家が次のようなことを記していたように記憶する。
人は生きるために衣食住以外のものが必要だ。
それは例えば、
自動車レースであったり、
変態的なセックスであったり・・・・。
変態的なセックス・・・。
アルファロメオと変態的なセックス・・・。
その共通点は倒錯した美しさということだろうか。
僕の友人で美術を生業としている男がいる。
彼との話のなかでアルファロメオの魅力とは?という話になった。
要点をかいつまんで話をするとこうだ。
現代のアルファロメオのデザイン。
特にGTV、916スパイダー、156、156GTA、147、147GTA、
共通するのはugly(醜さ)の一歩手前の美しさ。
寸止めの魅力。
美醜という表裏一体。
それは自由と孤独といったambivalent(アンビバレント=一つの物事に対し、相反する 価値が共に存し、葛藤する状態のことをいう。二律背反)な魅力なのだろうと。
綺麗な線でまとめてデザインされたクルマって第一印象は良くても時間が経つと凡庸になってしまうことが多い。
激しい違和感。
147を初めて見たときに感じた。
なんじゃこりゃ?
へんなかたち。
かっこわる。
同時にこころの何処かに、それはまるで魚の小骨が喉にひっかかるような違和感。
それがあるときストンと心の中に落ちてくる。
あれ?なんだかかっこいいじゃん、と。
147GTAは、まさにそんな類のクルマだった。
あれはいつのことだったか。
青山通りで停車している147GTAの横を通り過ぎた。
そのアイドリングの音に思わず立ち止まった。
これが147GTAか。
いい音しているな。
ノーマルの147とは随分違った印象を持った。
かっこいいじゃん。
それから僕の心の中には147GTAというクルマが無意識のなかに深く存在していたのかもしれない。
そう考えると今、147GTAのオーナーであることはとても幸せなことなのだな、と思う。
それがたとえ家族の送り迎えだけに使われる家族車であっても。
たとえ2万7千キロでウォーターポンプに亀裂が入っていたとしても。
それ以上の魅力があるのだ。
アルファロメオ。
なんと美しく素敵な響きを持っている自動車なのだろう。
Posted at 2011/01/29 23:18:17 | |
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