
Jaguar X308。
その名を聞くだけで、クラシックな英国の気品が脳裏に浮かぶ。
しかし、街中の段差やひび割れた舗装路を走るとき、ふと疑問がよぎる——これは本当に“猫足”なのか?
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🧭 猫足とは何か——しなやかさの美学
「猫足」とは、路面の凹凸をしなやかに吸収し、乗員に不快な突き上げを与えず、それでいてコーナリングではしっかり踏ん張る理想的な足回りのこと。
まるで猫が静かに、しかし俊敏に歩くような感触。日本車評論界では、誉め言葉として使われることが多い。
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🚗 X308の足回り——優雅さと粗さの同居
X308は、確かに高速巡航ではしっとりとした乗り心地を見せる。
しかし、段差やひび割れた路面では、意外なほどガタガタとした振動を感じることがある。
これは、X308の足回りが「英国的な高速巡航向け」に設計されているためだ。
低速域での細かい凹凸に対する初期応答は、現代の電子制御サスペンション車と比べるとやや硬め。
その結果、段差では「猫足」というよりも、英国紳士が杖を突いて歩くような感触になる。
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🔧 原因と対策——猫足に近づけるための工夫
段差でのガタつきが気になる場合、以下の部位を見直すことで改善が期待できる:
• フロントロアアームのブッシュ:摩耗すると振動を拾いやすくなる。強化ブッシュや純正新品への交換が効果的。
• ショックアブソーバー:硬めの社外品よりも、BOGEやSachsなど純正系の柔らかめが猫足感に近い。
• タイヤの銘柄と空気圧:コンフォート系(ミシュラン・プライマシー、ピレリP7など)+空気圧調整(2.2〜2.3)でしっとり感が向上。
• スタビライザーリンクやアーム類のガタ:異音や突き上げ感の原因になるため、定期的な点検と交換が望ましい。
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🎩 哲学的な結論——粗さの中の優雅さ
X308は、完璧な猫足ではない。
しかし、その「少し粗い優雅さ」こそが、クラシック・ジャガーの美学なのかもしれない。
段差で揺れるその瞬間も、時代の重みを感じる一幕。
それは、現代の滑らかさとは違う、機械と人間の対話が生まれる瞬間だ。
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✍️ あとがき
X308に乗るということは、単なる移動ではない。
それは、英国的な哲学と美意識を纏って走ること。
猫足かどうか——その問いに答えを出すのは、乗る人の感性次第なのかもしれない。
Posted at 2025/08/06 12:57:43 | |
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