五味やすたか氏による最新アクア試乗動画を視聴しながら(私のオーダーしたZグレード16インチ)、新型モデルの走行特性を改めて考察した。
結論として、このアクアは単なる商品改良を超え、「成熟の臨界点」に達しつつあるコンパクトHVである。
■ ハンドリング:入力に対して“正しい”動きを返す
五味氏が強調していたように、今回のアクアは操舵に対する車両の反応が実に自然だ。
ステアリングを切った瞬間、過剰でも不足でもない挙動を返し、
「ドライバーとクルマの対話がスムーズ」という印象を受ける。
これは単なる軽快さではなく、信頼性を伴った応答性だ。
■ 乗り心地:都市速度域で際立つ“しなやかさ”
低速での乗り心地改善は特筆すべきである。
段差の角がうまく丸められ、“ひとクラス上”のしっとり感を得ている。
街中を主体に走るユーザーにとって、この差は非常に大きい。
ダンパー特性の最適化とボディ制御の緻密さが、快適性を底上げしていると感じた。
■ 微振動の課題:改善の余地を残す“余白”
一方で、床下から伝わる微細な振動については、五味氏の指摘通り改善の余地がある。
路面によってはわずかな共振が残り、静粛性評価にわずかな影を落とす。
しかし、この点は“熟成の余白”とも言える領域であり、
今後のアクア進化にとって興味深い改善ポイントでもある。
■ THSハイブリッド:滑らかさと効率の最適解
発進から巡航までの一連の動きは、トヨタのTHSシステムらしく極めて滑らか。
電動とエンジンの切り替えが自然で、扱いやすくストレスが少ない。
特に街中では、EV的静けさ × ガソリン車的扱いやすさのバランスが秀逸だ。
★まとめ:アクアが示した“成熟の到達点”
五味やすたか氏の最新試乗レビューを踏まえて総合的に評価すると、今回のアクアは、都市型コンパクトハイブリッドとして新たな指標を提示した一台と言える。単なる小変更ではなく、走行性能・快適性・効率性といった根幹要素が高い整合性をもって再構築されており、その完成度には確かな進化が感じられる。
特に、操舵応答の自然さ、低速域でのしなやかな乗り味、そしてハイブリッドシステムの滑らかな動力制御は、従来モデルを明確に上回るポイントである。コンパクトクラスでここまで総合バランスを整えた車両は多くなく、その意味でアクアは“都市で最も素直に使えるHV”という新しい価値基準を提示していると言えるだろう。
こうした特徴を踏まえ、五味氏は本モデルに対し「おすすめできる仕上がり」と明言し、総合評価として78点をつけている。決して満点ではないが、今後の熟成を含めて期待を抱かせる余白が残されている点も、アクアというモデルの魅力のひとつだと感じられる。私自身、過去にBMWを所有していた頃、五味氏から多くの示唆を頂いた経験がある。その時に培った“走りの見方”が、こうしてアクアのようなコンパクトカー評価でも確かに活かされていると感じた。今回の試乗記は、まさにその延長線上にある発見の時間だった。
Posted at 2025/11/19 14:06:09 | |
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